なぜ、こんなにもラーメン店が多いのか?
前略、編集長。こちら葛飾区は堀切の現場から失礼します。他の記事はベテラン写真家によるおいしそうな写真ですね。こちらiPhone SEで心を込めて撮りました。
さて、降りたことあるでしょうか、京成本線・堀切菖蒲園駅。焼酎にシロップなどを加えて炭酸で割る焼酎ハイボールのメッカとして知られ、立石の次に来る酔いどれタウンと目されている街です。ひとつだけある改札を出て、気が向くままに歩いてください。
何軒ものラーメン屋、町中華の店に出くわすでしょう。私の調査では駅から徒歩5分圏に15軒を確認しました。
ラーメン激戦区と言われる池袋駅周辺にはなんと120軒ものラーメン屋があるそうです。池袋駅の乗降客数は1日約46万人。ラーメン屋1軒あたりにすると3833人の計算です。
対して堀切菖蒲園の乗降客数は1日約1万人。ラーメン屋1軒あたりは666人ですから、あの池袋よりも堀切菖蒲園の方が5倍もラーメン屋が多い計算です。
激戦も激戦、キングダム並みの密度です。それでも、他にガチ寄りの中華料理店も何軒かありましたが、見て見ぬふりをしたことを告白します。時間的にも身体的にもギリだったんです。
実は普段はグルテンフリーの生活なんです。そのせいでしょうか、ラーメン一杯の満足感がハンパありません。とある夕方に『大八元』のやさしい醤油味のスープにホッとし、「やっぱりラーメンって世の中で一番おいしい食べ物だ!」と『長門』へはしご。スタミナも付けてしまいました。
綾瀬駅までの往復ウォーキング後、富士の湯で汗を流し、『けんちゃん』で今時なコクのある醤油ラーメンを夜遅くにいただきました。翌昼まで満腹だったのは50歳目前だからかもしれません。
ラーメン弱者(麺弱)の私は、『ラーメン大』のパンチある旨みにひれ伏して即帰宅。後日、『美山亭』の昭和然とした中華そばでリハビリし、『陽』の濃厚な担々麺をペロリといけるほどに成長しました。『三條』では焼豚の増量を考えたほどです。
ところが、濃縮スープ1本の『とんちん軒』では、スープ割してから食べるという貼り紙を見落とす麺弱っぷりが露呈。その後、三日戦争と呼ばれる『一番鶏』『まるいち』『大黒天』との闘いに敗れ、「我にこのおいしさを消化する胃さえあれば」と涙しました。
そんな翼の折れた私を迎えてくれたのは、町中華飲みでしばしば訪れていた『三河屋』と『タカノ』の澄んだスープだったのです。
なぜラーメン屋が多いか?方々で聞きましたが、得られたのは「そういや最近増えたね」「始めやすいからじゃない?」という証言だったことを報告します。国破れて山河あり。仕事を選べば減るばかり。編集長、どうかご自愛ください。草々。
追伸『来集軒』のラーメンにはポテサラが付きます。
撮影・文/渡辺高
※2024年2月号発売時点の情報です。
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