セカンドカーに最適な軽自動車のEV「サクラ」が売れている
そこで注目されるのが軽自動車サイズの電気自動車だ。軽自動車は複数の車両を所有する一戸建ての世帯で、セカンドカーとして使われることが多い。遠方への外出では、併用するファーストカーを使うから、軽自動車サイズの電気自動車であれば「1回の充電で走行できる距離が短い」という批判を受けにくい。
駆動用電池の総電力量も少なくて済むため、価格も安く抑えられる。例えば日産サクラXの価格は254万8700円で、国から交付される補助金額の55万円を差し引くと、実質価格は199万8700円だ。その代わりリチウムイオン電池の総電力量は20kWhと小さく、1回の充電で走行できる距離もWLTCモードで180kmと短いが、セカンドカーの用途ならこれでも問題はない。
つまり充電設備を設置できる一戸建てに住み、ファーストカーのほかにセカンドカーとして軽自動車やコンパクトカーを所有しているなら、後者をサクラなど軽自動車サイズの電気自動車に乗り替える方法が合理的だろう。そのために、2023年に国内で販売された電気自動車の内、42%を軽自動車のサクラが占めた。
以上のような条件に当てはまらないユーザーは、電気自動車に対する強い要求がないと、推奨しにくい状態にある。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/日産、Adobe Stock(アイキャッチ画像:あんみつ姫@Adobe Stock)