東京出身者も目から鱗の東京観光があった 全天候型レストランバスの旅

レストランバス

東京も梅雨入り。早くも梅雨明けが待ち遠しいが、2024年の都内は例年よりも酷暑と予想されている。そんな中でも、非日常が味わえる快適なレストランバスの旅があるのはご存じだろうか。混雑からも解放された首都を満喫する3時間のランチ旅をご紹介する。

画像ギャラリー

東京も梅雨入り。早くも梅雨明けが待ち遠しいが、2024年の都内は例年よりも酷暑と予想されている。そんな中でも、非日常が味わえる快適なレストランバスの旅があるのはご存じだろうか。混雑からも解放された首都を満喫する3時間のランチ旅をご紹介する。

東京の魅力を再発見できる旅はいかが

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年5月の訪日外国人客数は304万人超。前年同月比60.1%増、3カ月連続で300万人を超えている。新型コロナウイルス流行前で、2019年の過去最高だった同月と比べ、20万人以上増加している。繁華街以外でもたくさん見られるインバウンドの多さにありがたいと思いつつ、混雑ぶりに戸惑ってしまうことも正直ある。

彼らのように海外へ行きたいが、円安が加速する現在、かつ物価高の影響などで、個人的にはなかなか厳しいというのも実際のところ。そこで、非日常感を味わえて、東京の魅力を再認識できるレストランバスの旅はどうだろう?

レストランバス

高速バスや観光バスなどを運行している「WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)」では、食と観光を掛け合わせた新しい価値を体験してもらうことをコンセプトにした「東京レストランバス」を2018年から運行している。新型コロナの影響などを受けて休止していた「和食メニュー周遊コース」は2023年に、およそ3年ぶりに復活。深川飯など東京らしい味わいと景色、そして風を感じられる魅力あるコースだ。

東京駅丸の内口から出発する「東京レストランバス」は、街全体をレストランに見立て、季節に合わせて、さまざまなコースを設定している。東京生まれ・育ちの私でも東京観光が楽しめるのか。体験してきた様子をお伝えする。

東京駅舎を見ながら集合・出発する

現在と江戸をつなぐおよそ3時間の旅

バスの高さは3.8メートル。2階部分に乗り込んだときの目線の高さは約3メートルになるので、高いところからちょっと失礼!という感じ。外国人観光客などがこちらを見て手を振ってくれて、うれしいような恥ずかしいような。

このバスの一つの特徴としてルーフ部分がクリアになっていて、スライド式で開けたり閉めたりすることができる。景色はもちろんだが、ガイドさんのダイナミックで見事な“ルーフ捌き”をぜひ堪能してほしい。

東京駅丸の内口の丸ビル前を出発すると、ほどなく見えてくるのは、反対の八重洲口で開発中の複合施設「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区。中でも、シンボルタワーの「Torch Tower(トーチタワー)」(2028年3月完成予定)は、同じ都内で2023年11月に開業した「麻布台ヒルズ森JPタワー」(高さ約330メートル)を抜いて、高さ約390メートルという日本一の高さのビルとなる計画なのだそう。

皇居も普段とは異なる視点から見ることができる

車窓からの景色を楽しんでいる間にも1階にある厨房で仕上げをしたお料理がサーブされていく。
メニューは以下の通り。

先付け:いぶりがっことクリームチーズの湯葉巾着
口取り:ワカサギ南蛮漬け、合鴨ロース七味焼き、海老芝煮、一口がんも
冷やし鉢:ずわい蟹、胡瓜、法蓮草、長芋、若芽、菜の花、トマト、煎り酒
蒸し物:玉地蒸し
焼き物:柔らか豚肉の江戸甘味噌朴葉焼
御飯物等:深川飯、香の物、吸い物
甘味:『鮨 銀座おのでら』監修「抹茶のブランマンジェ」、わらび餅
食後のお飲み物:珈琲、紅茶(どちらか選択)

先付けと口取り。ドリンクは別料金

「玉地蒸し」は繊細な出汁の味わいとなめらかな舌触りと柔らかさが魅力。「柔らか豚肉の江戸甘味噌朴葉焼」は味噌の甘辛さとコクが豚肉&野菜とマッチ。別料金だが、お酒がぐいぐいと進むおいしさだ。こういうツアーのお料理ってどうなの?と感じられる方もいるかもしれないが、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供されるし、ちゃんとおいしいので安心してほしい。

煎り酒の風味が印象的な冷やし鉢

浅草で45分間の自由行動

バスは、神田や秋葉原、上野や「かっぱ橋道具街」などを通って浅草へ。バスガイドさんの説明は明快で、東京という街や、出されるお料理に関する知識が、すっと頭に入っていく。例えば、東京スカイツリーは完成からもう12年も経つことを改めて認識した。時の流れの速さにびっくりする。地デジがどうとか言っていたのが、懐かしい。

間近に迫ってくる高架の下などにテンションも上がる

浅草では一旦バスを降りて、45分程度の自由行動になる。意外と時間がないので計画を練っておきたい。私は、浅草寺と浅草神社を参拝したが、迷ったらガイドさんに気軽に相談してみてもいい。ツアー参加者の中には、時間いっぱいを使って、行列必至の人気和菓子店『亀十』のどら焼きをゲットしに行ったツワモノもいた。

東京スカイツリーの圧倒的な存在感。完成から12年になる

浅草散策を終えて車内へ戻ると、コースもいよいよ終盤。食事やデザートも東京を意識したメニューでワクワクする。あさりの旨みがたっぷりな「深川飯」にはもち米が入っていて、クセになりそう。『鮨 銀座おのでら』監修「抹茶のブランマンジェ」は、きちんと抹茶の香り高さが楽しめる舌触り抜群の逸品だった。

「深川飯」はもちろん、「香の物」もおいしかった

ディナーコースや、貸し切りプランも

ということで、東京生まれ・東京育ちの私だが、通る場所の地名の由来など知らなかった知識がたくさん得られ、楽しいだけでなく、学びにもなった。浅草のような華やかな東京の一面を見られたり、下町らしい街中を抜けたり、両国の慰霊堂の近くも通るなど、東京のさまざまな側面を見て聞いて感じ、考えることができる。

プロの話術に感心しながら、シェフの料理に舌鼓を打っていたら、あっという間に時間が経ってしまった印象だ。

個人的には、高齢になってきた地方暮らしの義両親と一緒に楽しみたいと思った。地方の人って歩き慣れていないし、人混みも苦手だから、とてもいいのではないだろうか。

今回のレストランバスはランチコースだったが、ルートが変わるディナーやヨーロピアンコースなどもある。貸切プランもあるので、同窓会とか結婚式の二次会とかオフ会とかをやっても楽しそう!と思った。暑さや寒さに左右されずに楽しめるバスの旅。基本は週末の運行だが、どうぞお試しください。

レストランバスの車内
道路状況によって、多少時間が前後する可能性があるので余裕を持っておきたい

[和食メニューランチコース]
〈料金〉通常プラン1万1800円〜、誕生日・記念日プラン:1万2500円〜
https://travel.willer.co.jp/restaurantbus/

文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。

画像ギャラリー

関連キーワード

この記事のライター

関連記事

【露天風呂付き客室】千葉県州の崎・静岡県伊豆、堂ケ島のおすすめ温泉宿4選 目の前に広がる海の眺望が自慢!

富士山のふもとで見つけた「デカ盛りかつ丼」

宮沢賢治も降り立った、岩手県小岩井駅近くにポツンとたたずむ焼鳥屋さんで人のやさしさに触れる

【全室露天風呂付き】富士山や伊豆大島の大自然を一望!富士河口湖・伊豆高原のおすすめ温泉宿5選

おすすめ記事

“ワインの角打ち”が人気 気軽に「飲めて買える」オススメ6軒

大迫力の壁画『ギャラリー珈琲店 古瀬戸』のシナモントーストはカリリと甘く、どこか懐かしい

名古屋『とんかつ とん八』の名物「味噌とんかつ定食」 カツを覆い隠すのは飽きが来ない味噌ダレ

この食材の名前は? 見た目が大事です

【椿大神社】「待ち受けにすれば幸せになるという“かなえの滝”」 鈴鹿の大鳥居の麓の「パワースポット」がすごすぎる!!

「わざわざ食べに行きたいナポリタン」って? 飽きさせない秘訣はアノ野菜!?

最新刊

「おとなの週末」2024年7月号は6月14日発売!大特集は「下町ぶらグルメ」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。6月14日発売の7月号では、「下町ぶらグルメ」…