町寿司、町中華、どっしり濃厚な天丼!浅草橋~蔵前の粋な美味店7選

JRのガード下には居酒屋、寿司屋、とんかつ屋などが並び、周辺には焼きとん、ラーメンといった庶民の味が揃う浅草橋。浅草方面に少し歩いた先の蔵前は雑貨店、カフェ、こだわりある個性的な飲食店が点在。はしご酒から特別な食事まで幅広い「おいしい」巡りにぴったりなエリアです。

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JRのガード下には居酒屋、寿司屋、とんかつ屋などが並び、周辺には焼きとん、ラーメンといった庶民の味が揃う浅草橋。浅草方面に少し歩いた先の蔵前は雑貨店、カフェ、こだわりある個性的な飲食店が点在。はしご酒から特別な食事まで幅広い「おいしい」巡りにぴったりなエリアです。

『中国菜 仁(ジン)』 @浅草橋

町にひそむ名店を発見 新味を感じる中華に拍手が止まらない!

町にある中華だから町中華には間違いない。けれども、この店の味は大衆的なそれとは一線を画す洗練された味わいだ。なんせ店主の田村さんはウェスティンホテル東京にある名店「龍天門」の厨房で20年間腕を振るった経歴の持ち主。

よだれ鶏や麻婆豆腐といった定番料理も揃えるが、自身で頻繁に香港を訪れ、旅の途中で仕入れた知識と食材で作るその時々のおすすめ料理が面白い。

具沢山海鮮のせご飯のせいろ蒸し 2200円

『中国菜 仁(ジン)』具沢山海鮮のせご飯のせいろ蒸し 2200円 エビや白魚、シャコやアサリなど具材にはすべて乾物を使い、その風味が米に沁みている。大澳特産の調味料・蝦膏でさらに深い味わいに

「具沢山海鮮のせご飯のせいろ蒸し」もそのひとつで、ランタオ島の港町・大澳の漁師飯をアレンジしたものなんだとか。ジャスミンライスの香りから乾物のエビやシャコなどの魚介の旨みが広がって、緻密な味の構成に唸りっぱなし。

どれをとってもそんな新味の発見に満ちていて、メニューを全制覇したくなる。

『中国菜 仁(ジン)』

[住所]東京都台東区浅草橋1-33-3
[電話]03-6881-5425
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~21時半(20時半LO)
[休日]日・月(祝は営業)
[交通]JR総武線浅草橋駅西口から徒歩3分

『手打そば 更里(さらり)』 @浅草橋

しっとり盃を傾けつつ下町の粋に酔いしれる

駅前の喧騒から少し離れた路地に、清々と暖簾がはためく日本家屋がある。店主の小林さんは、これまた実家も蕎麦屋というサラブレッドで、大森の名店「布恒更科」で腕に磨きをかけ、20年前に古民家を改築して店を構えた。

漆塗りのテーブルに腰を下ろし、最初に手を伸ばすのはもちろん蕎麦前。

丸干しいか 1300円、チーズの味噌づけ 700円、焼き海苔 700円

『手打そば 更里(さらり)』(手前)丸干しいか 1300円 ワタのコクと旨みが日本酒を進ませる (左奥)チーズの味噌づけ 700円 モッツァレラに合わせ味噌の風味が沁みて、これまた酒のアテに最高だ(右奥)焼き海苔 700円

熾した火種を仕込んだ専用箱で供される「焼き海苔」は、ゆるゆる盃を傾ける間もずっとパリッと音鳴る凛々しさで、「チーズの味噌づけ」も合いの手にちょうどいい。

もりそば 850円

『手打そば 更里(さらり)』もりそば 850円 かえしを使わず、ダシにたまり醤油と味醂を合わせたツユはキレとコクが共存し、蕎麦のふくよかな甘みを引き立てる

蕎麦は店で石臼挽きした外二で、端正なコシとキリッと冷水で〆た清涼感を、たまり醤油のコクを効かせたツユが包み込む。

とは言え店主や女将さんの人柄あってか気取りは一切なし。こんな下町の蕎麦屋で過ごす時間はなんとも心地良いものだ。

『手打そば 更里(さらり)』

[住所]東京都台東区浅草橋1-11-3
[電話]03-3863-6288
[営業時間]11時半~14時半LO、17時~21時LO(土・祝20時LO)
[休日]日
[交通]JR総武線浅草橋駅西口から徒歩2分

『金太楼鮨 浅草橋店』 @浅草橋

ネタの良さが光る居心地抜群の町寿司

カウンターの顔ぶれはご近所さん。おばあちゃんのおしゃべりに板前さんが笑顔で応じていたりして、気取らない町寿司の光景が広がっていた。

東浅草にある本店は今年で創業からちょうど100年という老舗で、ここ浅草橋店も半世紀以上親しまれてきた町のシンボルだ。

お決まりの握りやちらしは1210円~と手頃ながらも毎朝豊洲で目利きしたネタを揃え、マグロに至っては「やま幸」からも買い付けている。

特上 3520円

『金太楼鮨 浅草橋店』特上 3520円 大トロに中トロ、ウニなど、選りすぐりのネタが揃う。白酢の酸味を立たせたシャリがネタの風味を引き立てる

さらにつまみも上々。刺身の他に焼き物や気の利いた小鉢なんかも置いていて酒のお供にうってつけ。中でも納豆に海鮮をあしらった居酒屋でも定番の「バクダン」(スタミナ納豆)はこの店が発祥なんだとか。

しかもうれしいことに通し営業。早い時間から寿司屋のカウンターで一献なんて過ごし方も粋だ。

『金太楼鮨 浅草橋店』

[住所]東京都台東区浅草橋1-20-6
[電話]03-3866-5698
[営業時間]11時~22時(21時半LO)
[休日]月(祝は営業、翌火休)
[交通]JR総武線浅草橋駅東口から徒歩2分

『柳橋 串衛門』 @浅草橋

ペリカン製の衣が素材の滋味を引き立てる

串にかぶりつけば、その軽やかさに目を見張った。素材そのものの味がくっきりと立ち、重さや油っこさなど少しも感じない上品な味わいだ。

そんな串揚げを出すのがこちら。浅草橋で創業から40年を超す老舗で、現在は3代目の若き店主・尾鷲さんが揚げ場に立っている。

串揚げ 10串コース5000円

『柳橋 串衛門』串揚げ 10串コース5000円 旬の野菜や魚介、肉類、そして創作串をバランスよく楽しめる。コース以外にもおまかせストップ制もあり。写真の他に前菜2種がつく

衣に使うパン粉は、有名ベーカリーの「ペリカン」製で、店で微粉に挽き、ふるいにかけて目を整えたもの。できる限り薄く、そして均一にまとわせることで、油切れよくサクッと音の鳴る香ばしさを生んでいる。

また、ネタもバラティに富んでいて、鮮度と質を目利きした魚介や旬を感じる野菜のほかに、スモークサーモンを乗せたモッツァレラなどの創作串も。木の葉型の器に入った10種のタレや薬味も串の旨さをさらに引き立てている。

『柳橋 串衛門』

[住所]東京都台東区柳橋1-23-3 田中ビル地下1階
[電話]03-3866-7633
[営業時間]17時~22時半(22時LO)
[休日]日
[交通]JR総武線浅草橋駅東口から徒歩2分

『スペイン食堂 エルペケーニャ』 @浅草橋

素材の持ち味を引き出す独自のアレンジに唸る

オーナーの岡野さんは料理人になりたての頃から約10年間、毎年のようにスペイン各地のレストランを食べ歩き、ここぞという店ではその場で門を叩いて厨房に入るという武者修業を繰り返してきた。

今も頻繁に現地に足を運び新たな知識を探求し続けている。そんな彼の料理は伝統へのリスペクトを守りつつも、自身のアイディアとセンスをさりげなくプラス。

魚介のパエリア 2800円

『スペイン食堂 エルペケーニャ』タコのガリシア風~カリフラワーソース~ 1600円 香味野菜やローリエとじっくり煮込んだタコはふんわりとした口当たり。クリーミーなソースによってワインを呼ぶひと皿に

例えば王道のタコのガリシア風だって、原型は茹でたタコとジャガイモを和えたシンプルな料理ながらも、こちらではカリフラワーのクリームソースで彩り、フライドポテトをあしらった重厚なひと皿へと進化させた。

とは言え、もっとも大事にするのは素材の力。味の足し引きの塩梅によって膨らんだ滋味が、どの皿からもいきいきと伝わってくる。

『スペイン食堂 エルペケーニャ』

[住所]東京都台東区浅草橋1-26-1 YMKビル地下1階
[電話]03-6875-1022
[営業時間]11時半~15時(14時LO)、17時半~23時(22時LO)、土・日・祝12時~15時(14時LO)、17時~22時(21時LO)
[休日]月
[交通]JR総武線浅草橋駅西口から徒歩1分

『蔵前いせや』 @蔵前

どっしり濃厚なツユにご飯がぐいぐい進むこれぞ下町の味!

今じゃ東京のブルックリンなんて呼ばれる蔵前も、ひと昔前までは小さな工場が軒を連ねる町だった。50年以上、この地で営業を続けるこちらは、そんな工場で働く職人さんたちの胃袋を日々支えてきた存在だ。

それゆえ今も丼ツユは濃口仕立ての、これぞ江戸前下町の味。大量のカツオ節を煮出した濃厚なダシを効かせたそれは、甘塩っぱさの中にどっしりとしたコクもある。卵をふんだんに使って風味よく仕上げた衣に沁み込めば、くるおしいほどにご飯を呼ぶ。

天丼 1200円

『蔵前いせや』天丼 1200円 継ぎ足しの丼ツユはまろやかでコクもあり、濃口ながらも素材をきちんと引き立てる

また、先代が考案したオリジナルの逸品が「天サンド」。この丼ツユに浸したエビ天とイカ天を、しゃっきり茹でたほうれん草の茎と共に片面だけをトーストした食パンでサンド。味わい、食感、香りとすべてのバランスの妙に舌を巻く。

『蔵前いせや』

[住所]東京都台東区蔵前4-37-9
[電話]03-3866-5870
[営業時間]11時~15時(14時40分LO)、17時~19時半 ※売り切れ次第終了
[休日]水
[交通]都営大江戸線ほか蔵前駅A5出口から徒歩5分

『焼小籠包ドラゴン』 @蔵前

ストリートフードをずらりと揃える楽しさ満点の中華酒場

壁にびっしり貼られた短冊には中華の小皿に麺や飯と食いしん坊のアンテナに引っかかるメニューがずらり。平日でも早い時間から近所の飲んべえ達で賑わう店内の活気に後押しされて、こちらの胃袋と肝臓のスイッチもパチリと入る。

ジーパイ(台湾風から揚げ)に魯肉飯と屋台グルメが並ぶ中でも、看板は店名にもなっている焼小籠包。店主の熊谷さんが上海に住んでいた頃にハマったストリートフードで、帰国後2年もかけて再現した渾身の作だ。

焼小籠包 396円、特製スープワンタン 715円、カバランハイボール 715円

『焼小籠包ドラゴン』(手前)焼小籠包 396円 餡には豚皮を煮込んだコクあるスープを練り込んでいる (奥)特製スープワンタン 715円 ちゅるんとした皮の舌触りから大きくカットした椎茸の食感と香りが広がる (ドリンク)カバランハイボール 715円 

中力粉と強力粉をブレンドした皮は台湾のそれよりだいぶ厚めに仕上げ、手包みによって内部にキープされた激熱&爆量の肉汁が飛び出してくる。これをビールやハイボールで流し込めばもう快感!おいしさも楽しさも目一杯に詰め込んだ中華酒場だ。

『焼小籠包ドラゴン』

[住所]東京都台東区鳥越2-1-9
[電話]03-5829-5707
[営業時間]11時半~14時、17時~23時(22時LO)、土・日・祝は通し営業
[休日]無休
[交通]都営浅草線ほか蔵前駅A1出口から徒歩3分

撮影/西崎進也(仁、更里、金太楼鮨、エルペケーニャ、蔵前いせや、焼小籠包ドラゴン)、鵜澤昭彦(串衛門)、取材/菜々山いく子

2024年7月号

※2024年7月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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