今やお茶は概念を軽々と超え、未知なる妙味へ。選ばれし相方は、ウイスキーやジン、ラムといったお酒たち。その深淵なる世界へ、ようこそ。
画像ギャラリー丁寧に淹れたひんやり冷たいお茶は夏の疲れた体を癒してくれる、最高の涼味。そのひと滴に驚くほどの旨みが凝縮していてエネルギーチャージにすら感じるほど。今やお茶は概念を軽々と超え、未知なる妙味へ。選ばれし相方は、ウイスキーやジン、ラムといったお酒たち。その深淵なる世界へ、ようこそ。
日本茶が秘めた能力を引きだす鮮やかな茶酒
日本茶とお酒の親和性は今や広く知られ、お酒を出すお茶の専門店も増えている。なかでも、一歩先を行く日本茶と酒の可能性を探っているのがここ『櫻井焙茶研究所』だ。凛とした佇まいの店内はバーのようでもあり、茶室のようでもある。カウンターの釜ではシュンシュンと湯が沸き、目の前で優美にお点前を披露する姿が心地いい。
ほうじ茶は茶葉を選ぶところからスタートし、注文が入る都度に炒って出す。そうしたきめ細やかさは、この店が茶酒と呼ぶ、漬け込み酒にも及んでいる。お茶の個性と酒の精緻な組み合わせはハッとするほどで、日本茶の魅力を再発見できる。
例えば「煎り番茶ウイスキー」は、親しみやすい日本ウイスキーに京番茶の香ばしいスモーキーさ、バニラのような甘い香りをまとわせて極上のブレンデッドのように変身させてしまう。
ロンドンドライジンがベースという面白さ
冷茶と見まごう萌黄色の「煎茶ジントニック」は、スタンダードなロンドンドライジンがベース。トニックを控えて茶葉の持つまろやかな甘さを生かし、香り控えめなジンが煎茶の爽やかさを引き立てる。煎茶らしい繊細な口当たりに、お茶とジンの幸せなマリアージュを知るのだ。
No.8 煎り番茶ウイスキー 1620円、煎茶ジントニック 1800円
茶酒は漬け込む時間も冷凍庫で数日だったり、くぐらせるだけだったりと千差万別。茶の個性を図り、酒とのベストバランスを見極める姿勢はまさに研究所といえる。「お茶の旨み、塩味、焙煎による奥行き、それらを駆使する茶酒は日本でしか表現できないものです」とスタッフの今村明優美さん。
昼は秀逸なお茶のコースが目当ての海外ゲストで賑わうが、夜はカクテル1杯からでもどうぞと気軽。カクテルや和菓子は二十四節気にのっとって入れ替わるので、季節ごとに目新しさもある。お酒のアフターに温かい番茶をいただけば、いい酔い覚ましとなり、気分すっきり足取りも軽い。
『櫻井焙茶研究所』 @表参道
[住所]東京都港区南青山5-6-23 スパイラルビル5階
[電話]03-6451-1539
[営業時間]11時~23時、土・日・祝〜20時
[休日]無休
[交通]地下鉄銀座線ほか表参道駅B3出口から徒歩1分
撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン
※2024年8月号発売時点の情報です。
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