大阪でブレイクし、東京進出。全国的なブームになった「スパイスカレー」。なぜ、ここまで大阪で支持を集めることができたのか。そのルーツを巡ることで、大阪カレーの変遷が見えてきた。ブームのその先、進化系までお伝えします。 大阪…
画像ギャラリー大阪でブレイクし、東京進出。全国的なブームになった「スパイスカレー」。なぜ、ここまで大阪で支持を集めることができたのか。そのルーツを巡ることで、大阪カレーの変遷が見えてきた。ブームのその先、進化系までお伝えします。
大阪を代表する欧風カレーはフルーティさが魅力!『インデアンカレー 阪急三番街店』
最初はフルーティな甘さで、後半にグッと辛くなるルウで幅広い層から支持される。創業当初、インド人から教えられたレシピを日本人向けにアレンジしたことでスパイシーな味わいを実現。
インデアンカレー 880円
「インデアンカレーのメニューが理想です!」や「あの味を出したいけど、どうしても無理!」という名店の店主が大勢いるほど。クセになる味わいが魅力の大阪を代表する欧風カレーだ。
[住所]大阪府大阪市北区芝田1-1-3 阪急三番街地下2階
[電話]06-6372-8813
[営業時間]11時~22時(21時45分LO)※土・日・祝は10時~
[休日]不定休
[交通]阪急大阪梅田駅改札口から徒歩2分
激戦区に君臨するスパイスカレーの先駆け『スパイスカリー バビルの塔』
名店揃いで知られる谷町四丁目エリアの草分け的存在。あいがけというスタイルを広めた一軒でもある。
あいがけ 1000円
この日のカツオキーマ(肉)、ホウレン草&えのき茸(豆)のように、日替わりで肉カリーと豆カレーの2種を用意。あいがけで味わうと、たっぷり使ったカツオの旨みやえのきの食感など、スパイスとの組み合わせの面白さを楽しめる。
[住所]大阪府大阪市中央区徳井町2-4-5 エクセル内本町ハイツ1階
[電話]090-6234-8264
[営業時間]11時半~15時 ※売り切れ次第終了
[休日]日・月・祝
[交通]地下鉄谷町線ほか谷町四丁目駅4番出口から徒歩6分
ヤミツキになるレモンカレーの爽快感『SPICE★CURRY43』
華やかな盛り付けのカレーは、甘みや酸味が際立つ優しい味わいとスパイスの組み合わせが魅力。
定番は常時4種用意する「あいがけ」。たっぷり鶏ミンチとレモンが絶妙なバランスの「瀬戸内レモン」と、カツオ節を加えた和テイストのチキンキーマ「カリカリ梅」の組み合わせが人気だ。
ほかには、月替わりで用意される「ドライカレー」も好評。
あいがけ 瀬戸内レモン+カリカリ梅+スパイス煮玉子 1350円
[住所]大阪府大阪市西区靭本町2-5-2
[電話]090-3828-4343
[営業時間]11時半~14時半(14時15分LO)※土・日・祝は~15時(14時半LO)
[休日]月・火・水
[交通]地下鉄中央線ほか阿波座駅1番出口から徒歩7分
意外性に驚かされる話題の透き通ったカレー『ドラマチックカリー ゴールデン中崎』
カレーファン視点で、バラエティに富んだメニューを開発する三嶋達也さんが生み出した個性的なカレーを味わえる。
ドラマチックあいがけカリー ~三元豚カツ乗せ~+味玉 2000円
名物のあいがけカリーはしっかりとスパイスを絡めたミンチに透明なあんかけダシをかける「ゴールデン出汁キーマ」と、小麦粉を使用せず豚骨のコラーゲン成分でとろみを出した欧風カレー「中崎ビーフカリー」の2種盛り。
[住所]大阪府大阪市北区中崎1-6-18
[電話]06-6359-8006
[営業時間]11時半~14時半、18時〜21時
[休日]無休
[交通]地下鉄谷町線中崎町駅2番出口から徒歩1分
大阪スパイスカレー、その原点は甘辛い欧風カレー
東西の味覚の違いで、定番となっているのが関東はしょっぱい、関西は薄味というのがある。間違いではないと思えるが、ただしそこに、もうひとつポイントが。関西でも特に大阪は薄味に加えて甘い味わいが好きなのである。
カレーに関しても、それがポイントとなっている。スパイスカレー天国の大阪で原点と言えるのが欧風カレー。
1947年創業の『インデアンカレー』を筆頭に1980年代に創業したといわれる『カレーハウス サンマルコ』や『ピッコロカリー』といった大阪を代表する欧風カレーの大きな特徴が、辛さの前に感じる甘さ。フルーツや玉ねぎなど独自の特徴がありながらも、最初にしっかり甘さを感じさせることで、あとからやって来るスパイスの辛さをより強く感じさせる。
このいい意味で裏切られる甘いと辛いのコントラストが大阪の欧風カレーの魅力のひとつ。これらの店に影響を受けたカレー店が、独自の辛さの工夫として、さまざまなスパイスを使ったことから大阪のカレーファンの舌がスパイスにならされていった。
また、中央区の本町や北浜周辺にはインドから繊維や雑貨を輸入する商社が多いことからインド料理店が多数あり。スパイシーなカレーが身近な存在になった理由のひとつとして考えられる。
2012年頃からグッと増えたフリーダムなカレー
インドでも欧風でもアジアでもないスタイルのスパイシーなカレーが注目を集め始めたのは2012年頃。
2006年創業の『バンブルビー』でカレーを食べて、「スパイスを使って料理をすればカレーなんや!」と思ったという『スパイスカリーバビルの塔』の店主のような既存のカレーライスという形にとらわれなくてもいいと感じていた店主たちがスパイスカレーの店をオープン。
同じ頃、『curry bar nidomi』や、後に東京にも店を構える『旧ヤム邸』などの第1世代的な店が登場していった。
さらにこれらに影響を受けた『BOTANI:CURRY』や『NOMUSON CURRY(ノムソン カリー)』、『Asian Kitchen Cafe百福』など、次世代的な店が出現し始めた2014年夏に専門誌『究極のカレー』がぴあ社から創刊。
さらに、大阪のカレーシーンが盛り上がった2016年には、現在も定期的に開催されている人気イベント「カレーEXPO」がスタート。会場の万博記念公園に30の店が集結した。このイベントの第5、6、9回でグランプリを獲得した『SPICE★CURRY43』のように、個性的で自由な発想のスパイスカレーが、次々に大阪で生み出されている。
『SPICE★CURRY43』あいがけ 瀬戸内レモン+カリカリ梅+スパイス煮玉子 1350円
進化したカレーにも大阪らしく、ダシが生きる!
最近、メディアで話題になっているのは、参加者8000人を超えるフェイスブックファンサイト「口癖はカレー」の主宰者で大阪を中心にさまざまカレーイベントの仕掛け人である三嶋達也さんが手がけた『ドラマチックカリー ゴールデン中崎』のルウが透明なカレー。
これは、辛い味付けのスパイスミンチに透明な餡をかけて混ぜ合わせて食べる。この餡こそが和ダシ。カレーの新店をチェックしていても、大阪の旨さに対するDNAを感じるダシを効かせた店が多いように感じる。
今後も“ダシ”、“甘さ”、“意外性”などをポイントにした大阪らしいカレーが、街に登場しそうだ。
撮影・取材/高田強
※2024年9月号発売時点の情報です。
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