カウンターで楽しむお寿司といえば、まずはつまみを頼み、おまかせで握ってもらう。そんな流れが定番でした。時は令和。コロナ禍を経て、スタイルが多様化。気軽に楽しめようになっていました。カジュアルにお寿司を楽しみましょう!。 …
画像ギャラリーカウンターで楽しむお寿司といえば、まずはつまみを頼み、おまかせで握ってもらう。そんな流れが定番でした。時は令和。コロナ禍を経て、スタイルが多様化。気軽に楽しめようになっていました。カジュアルにお寿司を楽しみましょう!。
人形町「すし其一」
好きなネタを好きな順番で、気の向くまま。それはちょっと、ひとり旅の快楽に似ている。小肌の次は好物の玉子かホタテか、寄り道で毛ガニを肴に一杯やろうか。もちろん行先が決まったツアー的なおまかせもいいが、それ一択じゃないのがうれしいところ。何てったって上質な素材が1貫80円~の明朗会計だ。
懐と相談しつつ自由旅を楽しめる。そう、旅の舞台は人形町、初台の人気店『すし宗達』が手掛けた期待の新鋭である。お値打ちの秘密は代表の新田真治さんが毎朝豊洲へ出向き、仲卸と信頼関係を築いて質のいい魚を手に入れる努力を惜しまないから。
特にマグロは有名仲卸「やま幸ゆき」から仕入れる上物で、ハッとする色香が赤酢のシャリと蜜月に絡まり口いっぱいに広がる。穴子もあえて通常より大物を使うのは、仕込みに手間を掛けてもよりふっくら感を楽しめるように。目指すはなるべく安く、おいしく、気軽に。『其一』の旅、間違いない。
麻布十番「寿司海路」
銀座で長年愛された老舗割烹『ぎんざ山路』が大人の街、麻布十番で新たに寿司屋を始めた。と聞けば一瞬ひるむが心配はご無用。カウンターに座ればポチッと気軽なモバイルオーダー制。システムはいかにも令和だが、魚はといえば山路時代から古い付き合いのある仲卸が目利きした極上の天然物だ。
しかも付け場に立つのはこの道40年前後の熟練職人。軽く塩を当てて酢に通した春子鯛や酢〆してひと晩寝かせた小肌など、確かなネタは江戸前の仕事をきっちり施している。それがさくっと数貫つまむだけでも歓迎とはありがたき幸せ。楽しみ方はあなた次第。
板橋「すしひこ」
気取らなさとクオリティの高さのギャップにやられた。「かしこまって食べるのが得意じゃない」と言う和食出身の店主が開いたのは、寿司をメインにした小料理屋。おまかせでネタを決めてくれるコースもいいけれど、ここは気さくな店主と「今日は何の魚がいいの?」なんて話しながら一貫ずつ出してもらう。
その握りがまた旨いんだ。平目はしっとり昆布〆にして旨みを引き出した身に、サッと削りかけた柚皮がふわりと香る。この職人仕事をテレビが流しっぱなしの店内で気を緩めて食べられる。こんな楽しみ方ができるとは、いい時代になったもんだ!
新宿三丁目「EDOMAE SS」
品書きを見ればハイオクにレギュラー満タン? なるほど旨い寿司で活力=ガソリン補給という訳か。本格江戸前寿司をカジュアルな横丁で味わえるこちらは人気店『築地青空三代目』の新業態。冒頭のおまかせのネーミングといい、遊び心が楽しいねえ。とはいえ握りは極めて正統。
例えば提供直前に茹でる車エビや同じく直前にサッと湯通しする北寄貝など、1貫1貫をおいしく味わってもらうため労をいとわない。ネタの良さも推して知るべし。高級店が惚れ込む「フジタ水産」の本マグロや、それを使った「とろたく巻き」はぜひ。身も心もとろけます。
広尾「寿志團」
細長~いグルメ横丁の奥にある寿司劇場。ここがそんじょそこらの店と一線を画すのは銀座の高級店『はっこく』の新ブランドということもあるが、何より仕込みからネタの切りつけまで、見た目の楽しさや口に入れた時の旨みの広がり、シャリとのほぐれ具合を考え尽くした握りがすこぶる旨い&驚きの太っ腹価格だから。
酢飯は3年熟成のコク深い赤酢に酸味を補うためもう1種をブレンド。どのネタにも合うよう計算されている。おまかせは定番人気と旬の味をバランス良く。気取らず本物を味わえて、しかもお子様ウェルカム。魅力が何拍子も揃った店だ。
『おとなの週末』2024年11月号より(本情報は発売当時のものです)
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