東京、コスパ高の「進撃の町寿司」ベスト8店…なんと「3500円」で《まぐろ・いくら・うに・タイ》の高級ネタを発見、一見さん、ソロ活でも問題なし

十方鮨

築地「鮨 しづめ」 この店を見つけた自分を褒めてあげたい。高揚感がグッと高まる一枚板のカウンター。上質な器に心地よい接客。そしてどこから見ても端正な握り。赤身のヅケはもっちりした食感をその身にたたえ、車エビは妖艶な甘みと…

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自身の新しき城を築き上げた店主たち。感服すべきはその心意気けにあらず。伝統を受け継いだ味わい、技術、所作など、これぞ江戸前なる寿司で心から堪能させてくれるのです。

なかでも“気軽に贅沢”を楽しめる、3500円前後での昼寿司を提供してくれる新店を中心に、厳選して紹介します!

野方「本間勝維」

野方という町が好きだ。気取らない風情ながらも、とびきり旨い店がポツリポツリと点在し、夜もふければ角のスナックの扉から昭和歌謡が聞こえてきたりする。そんな場所にまたひとつ訪れたくなる理由ができた。そう、この『本間勝維』だ。

店名は料理人として尊敬する母方の祖父の名前。店主の大村さんは和食からこの道へ入った。独学で研究を重ねた寿司は、セオリーにとらわれず、和食の観点からアプローチする。そのひとつがシャリだ。主役となるネタの風味を引き立て、かつ何貫でも食べ飽きないよう、おだやかな酸味に昆布の旨みを含ませた。加えて魚介は信頼する卸に足を運んで目利きした一級品。マグロやウニといった華やかなネタはもちろんのこと、締めものやヅケなどひと手間加えた握りも光る。若い夫婦で切り盛りする和やかな雰囲気も心地良く、ついつい長居したくなる。

築地「鮨聖」

握りを注文すると、それまでの柔らかな表情から指先に全神経を集中するかのような芯のある眼差しに一変した。きゅっと小ぶりな姿の寿司を頬張れば、ネタとシャリとの見事な調和に陶然となる。店主の佐藤さんは、かつて築地場内で実力随一とも言われる店を取り仕切っていた。

そして場外で晴れて独立。天然の本マグロをはじめ、いわゆる高級店と同等の、いやそれ以上のネタを揃えつつも、ご覧のお値打ちぶりだ。さらにお決まりに追加してでも食べたいのが小肌で、澄み渡った香りと、しっとりとした身の風合いに「これぞ江戸前!」と膝を打つ。

池尻大橋「十方鮨」

席に腰を下せば、いざカウンターの主による“椎谷劇場”の幕開けだ。この日、まずやってきたのは飽和塩水に30秒ほど浸けたタイ。身に染み込んだ塩分で旨みや甘みがぐっと増している。白イカには淡雪のごとく塩を降らせ、炙りは傍にある七輪の炭をジュッと押し当て、えも言われぬ香ばしさを生んでいる。

次にどんな握りがやってくるか、五感をフルに使って楽しむコースに胸の高鳴りが止まらない。加えてシャリは白と赤の2種類を使い分け、淡白な味わいから風味の強いネタまでピタリと合わせてくる。店を後にしても楽しさと美味しさの余韻がずっと続く。

渋谷「すし 光琳」

黒板の品書きに目が釘付け。失礼ながら値段だけを見て「カウンター回ってる?」と思ってしまった。そんな私に「当たり前の努力をしてるだけなんです」と店主は笑う。いい素材を、なるべく安く。つまりは仕入れ先と信頼関係を築くこと。

マグロ好きに知られる仲卸「やま幸」の生本マグロなど高級店も顔負けのネタがお値打ちとなればこれを驚愕と言わずして何と言おう。心掛けるのはネタとシャリの一体感だ。魚の状態を見て隠し包丁を入れるなど計算された旨さは努力の結晶。気軽だが本格的。麗しの1貫に、店主の姿勢が表れる。

築地「鮨 しづめ」

この店を見つけた自分を褒めてあげたい。高揚感がグッと高まる一枚板のカウンター。上質な器に心地よい接客。そしてどこから見ても端正な握り。赤身のヅケはもっちりした食感をその身にたたえ、車エビは妖艶な甘みと香り。ネタは素材の旨みを存分に味わえるよう厚めに切りつけているのだそう。

シャリは赤酢と白酢をブレンドして米にコーティングする感覚で合わせ、熟成ネタには赤酢をやや多めにするなど種類によって変える心配りだ。いい状態で供するため来客の頃合いをみて湯煎で保温する配慮にも脱帽。しかも昼のお得感たるや。次、いつ行こうかな。

麻布十番「京まる寿司」

いわば第2章の幕開けといったところか。およそ35年愛された老舗を雰囲気もベテラン職人の技もそのまま、現オーナーが受け継いで開店した。特徴は「敷居は低く、味は本物」。麻布十番は要予約の高級寿司店も多い。「だからこそ誰でもスッと入れてリーズナブルに楽しめる店を」。もう、泣いていいですか? 

1貫110円~と明朗会計、刺身はひと切れから頼めるなんてうれしくてもはや号泣する。それも店長が豊洲で仕入れる魚の質は上々、とくれば店内は新旧客のエビス顔。当然です。

広尾「寿志團」

いい店の予感しかしない。理由のひとつは銀座の名店「はっこく」の新ブランドであること。品書きは握りのみ。おまかせ3500円~。行くでしょ、そりゃ。さて握りは銀座同様、旨み際立つ赤酢のシャリが特徴だ。

ネタは「この価格で大丈夫?」と心配するほどの高品質。一見シンプルだが口に入れた時の味わいを考え尽くした仕事が施されている。やっぱ一流は違うわあ。ちなみにお子様歓迎、一番若い”常連客”は10か月の赤ちゃん! 私もこんな店をウン十年前に知っていたかった~。

茗荷谷「小石川 すし 茜」

住宅街でキラリと光るいい店に出合った。店主の橋本さんはこの道35年以上のベテランで、いわばこちらは自身の集大成。純粋に握りとしての旨さを追求したそれは、女性の口にもすんなり収まる上品な姿。

赤酢をほんのり利かせたシャリと、江戸前仕事をきっちり施した一流のネタが織りなすこの上ない一体感に惚れ惚れする。とは言っても店に堅苦しさは微塵もなく、隣合わせた客とも自然に会話が始まるような心地いい空気に満ちている。行き付けにするならこういう店がいい。

『おとなの週末』2021年10月号より(本内容は発売時のものです)

つづく「本当にうまい「チェーン店のすし屋」ベスト7店…一貫108円、ソロ活でも大丈夫な《高コスパ店》ご当地ネタも豊富な店を大公開」各地にひしめくチェーン店の寿司屋のなかから、用途別で使えるおいしい寿司店を紹介しています。

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