現代の感性を生かした、若手の作家の作品も必見
日本画家の板倉星光(いたくら・せいこう、1895~1964年)による四季の草花が描かれた「星光の間」では、現代を生きるアーティストが手がけた、月をテーマにした作品と出合うことができる。特に目を引いたのは、錆和紙作家の伊藤咲穂(いとう・さくほ)の作品『夜の礼拝』だ。
子供の頃、真っ暗な道を歩きながら月と話をしていたという伊藤。本作では月のエネルギーが人間と呼吸し合い、融合している姿や月から生まれる水により、芽吹いた花などを独自の和紙手法で表現している。画面上に月の姿を見ることはできないが、そこから満ち溢れる神秘的なパワーを、作品を通じて感じ取ることができるだろう。
因みに会場に着物で来館したゲストは入場料が200円割引になるほか、ホテル内の月のアートをモチーフにしたポストカードをプレゼントしているそうだ。(当日会場受付でチケット購入の場合のみ)週末は日本美を堪能できる『ホテル雅叙園東京』で、粋な月見を楽しんでみては。
「月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~」
[期間]2024年10月5日(土)~12月1日(日)※11月5日(火)は展示替のため休館
[営業時間]11時~18時(最終入館17時半)
[住所]東京都目黒区下目黒1-8-1 ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
[料金]一般1600円、大学生・高校生1000円、中学生・小学生800円※未就学児無料、学生は要学生証呈示
[チケット販売]ホテル雅叙園東京(一般入場券)、公式オンラインチケット(一般入場券、グッズ付)
文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り