ご当地グルメ“旅”歩き

北海道で「店内に銭湯の入り口がある」ラーメン店を発見! 競走馬とグルメ旅

新冠町の「優駿スタリオンステーション」

美味しいものと競馬をこよなく愛する著者が、身銭を切って体感した「競馬&グルメ」旅。 名馬に思いを馳せつつ、厳選した味の名店3軒をご紹介します。

画像ギャラリー

美味しいものと競馬をこよなく愛する著者が、身銭を切って体感した「競馬&グルメ」旅。名馬に思いを馳せつつ、厳選した味の名店3軒をご紹介します。

馬産地日高地方でグルメと名馬の足跡を巡る

前回(https://otonano-shumatsu.com/articles/416837)は、北海道を代表する「肉料理」をご紹介しました。

今回は馬産地日高地方のグルメをご紹介します。競馬シーズンはいよいよ秋競馬真っ盛り。年末の有馬記念まで、G1レースが毎週のように開催されます。サラブレッドの熱き戦いを見ながら、彼らが生まれ育った日高の名物グルメに思いを馳せるのもまた楽しい。

ところで1年に生まれるサラブレッドは毎年約7000頭と言われていますが、うち98%は北海道産です。特に日高地方がその聖地で、街道を走ればあちこちで馬の放牧を見ることができます。今回は、名前を聞けば誰でもわかる、懐かしい名馬の足跡を巡りながら素敵な馬産地グルメをお届けします。

ディープインパクトの背中で空を飛べる!?

新千歳空港に到着したら真っ先に寄りたいのが苫小牧(とまこまい)市にある体験型公園「ノーザンホースパーク」です。空港からは車で20分ほどで到着するアクセスの良さに加え、乗馬や馬車はもちろんのこと、パークゴルフもありますし、美味しいレストランも兼ね備えた総合テーマパークです。

そして2023年6月には新たな名所が加わりました。名付けて「ディープインパクトゲート」。2005年の三冠馬(三歳馬限定のG1レース。皐月賞、日本ダービー、菊花賞をすべて勝った馬)で、日本を代表する名馬「英雄」デープインパクトを記念したモニュメントが完成しました。

「ディープインパクトゲート」

残念ながら、ディープは2019年に亡くなりました。武豊騎手が「空を飛んでいる」と形容したディープそのままに、真っ青な空にかけられたゲートに立てばディープの背中で空を飛んでいる気分になること間違いありません。

ディープに想いを馳せつつ、濃厚な黄身を堪能するピザとパスタ

ノーザンホースパークで遊んだら、次は腹ごしらえ。海岸線にある厚真(あつま)町を東に走ると「FORT BY THE COAST」というレストランが登場します。

「FORT BY THE COAST」

「海岸の砦」という名前の通りに、2階建てアパートのようなごつい建物が目印です。なんでも農業倉庫をベースにしているとか。当店の売りはズバリ「卵」。隣の農場で生産される平飼い卵を使ったピザやパスタをいただくことができます。普段食べている卵よりも黄身の色が薄く、いかにも美味しそうで食欲をそそります。筆者は2度訪問したことがありますが、1回目はピザの定番マルゲリータに卵のせ、2回目はこれもパスタの定番カルボナーラをいただきました。写真を見ただけで美味しいことがおわかりいただけるかと。

「FORT BY THE COAST」のマルゲリータ
「FORT BY THE COAST」のカルボナーラ

オープンしてまだ3年ほどのようですが、いかにも馬産地見学に来た人らしきチームや地元の若者で店内はいっぱいです。近くにはサーフィンができる海岸もあるようで、北海道の中でもオシャレな地域なのかもしれません。

「音速の貴公子」「芦毛の怪物」名だたる名馬が眠る地へ

お腹もいっぱいになったところで、「音速の貴公子」サイレンススズカに会いに行きましょう。デープインパクトが最後の追い込みで勝つ競走馬の代表とすると、大逃げを打って勝つサラブレッドの代表がサイレンススズカでした。

1998年10月11日の東京競馬場「毎日王冠」で見せた大逃げ優勝は今も語り草。次のレースで怪我をして残念ながら天国に召されましたが、今でもディープより速かったのではないかと言われています。稀代の逃げ馬と天才的末脚(すえあし)を持つ英雄との闘い。もし実現していたらと思うと想像するだけで胸が高鳴ります。

厚真町から車で40分ほど東に走った平取(びらとり)町には、同馬の碑があり訪れるファンが絶えません。

サイレンススズカの墓碑

さぁ、サイレンススズカの次は「芦毛の怪物」オグリキャップの記念碑へ。時はバブル真っただ中の1990年。年末のグランプリ有馬記念はオグリの引退レースになりました。中山競馬場に集まった競馬ファンは何と17万人と言われています。

オグリキャップの記念碑

大観衆に背中を押され、4番人気と低評価だったオグリは見事優勝し有終の美を飾りました。彼が繋養されていたのが新冠(にいかっぷ)町にある優駿スタリオンステーションで、その隣にあるメモリアルパークにオグリの墓碑があります。

オグリキャップの墓碑

北海道でサラブレッド銀座ともいわれるのが当「新冠町」と「新ひだか町」エリア。この界隈には数多くの牧場があり、そこかしこでサラブレッドが駆け回っています。

新冠町の牧場
新ひだか町の牧場

北海道名物スープカレーの名店

かつての名馬やこれから活躍する競走馬を巡った後は、そろそろ夕ご飯の時間です。新ひだか町の繁華街である「静内(しずない)エリア」はかつてJRの「静内駅」があった町で、多くのホテルや飲食店がひしめき合う競馬関係者や競馬ファンの楽園です。

今回はせっかくの北海道ですので、ご当地グルメの代表スープカレーの店をご紹介したいと思います。出没したお店は「スパイスタイガー」。店内は地元の若者で賑わっています。カレー店というよりもアメリカ映画にでてきそうな田舎のバーを思わせる渋さです。

「スパイスタイガー」

スープカレー以外にもビールやフードメニューも充実しており、メインディッシュの前にまずはのどを潤します。そしてスープカレーも絶品。名前の通り、切れのあるスパイスでますますビールが欲しくなる好循環を楽しめます。

「スパイスタイガー」のスープカレー

翌日は馬産地巡りの最終地「浦河(うらかわ)町」へ向け東にドライブです。浦河には江戸時代から馬の牧場があったと言われています。もちろん競走馬育成ではなく、徳川幕府が対ロシア北方警備のためにつくったものとか。浦河の一番の見どころはJRAの巨大な日高育成牧場。展望台からはその全容を眺めることができますし、メモリアルホールでは明治40年ごろの開拓の様子や競争馬の歴史等の資料が展示されています。一般公開されていますので、ぜひお立ち寄りください。

浦河でご紹介するのは「やっときました!笑」、ということで北海道の代名詞である味噌ラーメンのお店を紹介します。

大泉洋の食レポ写真もあるラーメン&銭湯が楽しめるお店

「ラーメン まさご」

浦河の繁華街にほど近い住宅地にあるのが「ラーメンまさご」です。とても不思議なお店で店内にはなぜか銭湯の入り口らしきものもあります。のれんをくぐるとトイレがあり、本当に銭湯がありました。

ドジャース大谷選手並みの豪快な二刀流に、細かいことは気にしない道産子らしさを垣間見ます。ちなみに「道産子」とは北海道在来の馬を指す言葉で、転じて人や名産品などにも使われるようになりました。

ラーメン店内には道産子大泉洋さんの若かりし頃の食レポ写真もあるなど、いろんな意味で北海道を味わえる名店です。いい忘れましたが、もちろん味噌ラーメンも一級品で、写真の通り味の濃い味噌スープに、中細のちぢれ麺がよくからみます。もやしやメンマの触感も抜群で、皆さまにもきっと満足いただけると思います。

「ラーメン まさご」の味噌ラーメン

今日は馬産地北海道の厳選3店をご紹介しました。ここまで書いて、肝心の競馬場をご紹介するのを忘れていました!最後に地方競馬場である「門別競馬」と「ばんえい競馬(世界で唯一、そりを馬が曳く競馬)」の写真をご紹介して終わりにしたいと思います。

「門別競馬場」
「ばんえい競馬場」

両競馬場あわせて4レース。全て馬単1点1000円で勝負し、まぐれもまぐれ、まずまずの結果だったことを紹介し、馬産地グルメの旅を終わりたいと思います。

「門別競馬場」でのレース風景
「ばんえい競馬場」でのレース風景

文・写真/十朱伸吾 
おとなの週末Web専属ライター。旅と食とビールと競馬をこよなく愛する。ツーリングとゴルフも趣味。ツーリングの成果でダイエットにも成功。

※トップ画像は、新冠町の「優駿スタリオンステーション」

画像ギャラリー

この記事のライター

関連記事

名物のサラダカレーはスプーンが止まらない!東日本橋『カレー屋 SATCHMO』は主人の思いを忠実に守る

ブーム!大阪スパイスカレーの原点は?ルーツを巡る【厳選】4軒 「理想です」と言わしめた名店とは

【入門編】大阪カレーの人気店3選!「毎日食べられる味噌汁のようなカレーを作りたい」

【ランキング】「多皿系カレー」ベスト4を発表! 東京で奥深きカレーの世界を堪能せよ

おすすめ記事

“タワマン”の日本初の住人は織田信長だった? 安土城の「天守」ではなく「天主」で暮らした偉大な権力者の野望

芝浦市場直送の朝締めホルモンは鮮度抜群 高円寺『やきとん長良』は週末の予約は必須

不思議な車名の由来は「ブラックボックス」 ”ミレニアム”に鳴り物入りでデビューした革命児の初代bB 

大分県に移り住んだ先輩に聞く(2) 移住でウェルビーイング「移住とはコミュニティの中でその想いを受け継ぐこと」

収穫を感謝する「加薬うどん」 美智子さまと雅子さま夫妻で交わす大切な重箱

講談社ビーシー【編集スタッフ募集】書籍・ムック編集者

最新刊

「おとなの週末」2024年12月号は11月15日発売!大特集は「町中華」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…