2024年11月号『おとなの週末』の特集で奥神楽坂を担当したライター・肥田木、飯田橋を担当したライター本郷、これに加えて牛込神楽坂を担当した編集・武内、神楽坂を担当したライター・菜々山と編集・戎が今回の調査・取材を振り返ります。
画像ギャラリー2024年11月号『おとなの週末』の特集で奥神楽坂を担当したライター・肥田木、飯田橋を担当したライター本郷、これに加えて牛込神楽坂を担当した編集・武内、神楽坂を担当したライター・菜々山と編集・戎が今回の調査・取材を振り返ります。
昔ながらの八百屋さんや総菜屋さん
戎「前は確かコロナ禍だったと思うから久しぶりの神楽坂特集です。今回は、いわゆる繁華街のメインエリアと東西線神楽坂駅周辺の奥神楽坂エリア、さらに牛込神楽坂駅周辺、加えて飯田橋エリアまでと、かなり広範囲に渡ってリサーチ&取材しましたね」
肥「ダンゼンおすすめしたいのはやっぱり私が担当した奥神楽坂エリア。歴史的な神社や古い建物も多く、住宅地でもあるから昔ながらの八百屋さんや総菜屋さんもあったりして、歴史を感じる街並みと地元の暮らしが混在している雰囲気が歩いていて楽しいんだ」
武「ここのエリアはほとんどが個人経営のお店なので、店主との距離も近いし、こだわりが詰まった店も多かったですよ」
肥「ね! まず『ハサボン』はフレンチだけど和の素材や発酵技術を用いた料理が素晴らしくて、ランチも上質。築70年の古民家を改装した店は器のギャラリーも併設していて、茶道体験もできちゃう(要予約)」
『HASABON(ハサボン)』ランチコース 6050円
武「実は新店があったり老舗があったりと路地をテクテク行けば行くほど気になる店が出てきます」
肥「そうそう新店の『餐事』は全国の国産クラフト酒の魅力を伝えたいという信念があるし、『フランコボッロ6丁目食堂』も人と人、国と国、和食を次世代に“繋ぐ”というテーマがあるし。今回掲載する店で共通するのは、自身の店や料理への愛、お客さんへの愛があるというのかなあ。素敵な店が揃った!」
本「うう、いい話や……」
地元住民に愛されている!
肥「でしょう。あと『きくずし』は今までどの媒体の取材も受けていなかったけど、今回はいろんなタイミングが重なって快く受けてくれたの。古い店だけど真心のある料理で地元住民に愛されているのがすごくわかる」
『神楽坂 きくずし』長崎(活)穴子と季節野菜の天ぷら 1700円
本「じゃあ、牛込神楽坂駅周辺のエリアはどうだった?」
武「どこもおすすめですが、個人的には素焼きの土器でお酒を楽しむ『サイメ』を推します」
菜「そうなんだ。写真の料理が地味なので、逆に気になってた(笑)」
武「くうう、確かに。でも蒸し焼きで引き出された素材の滋味は食べたらびっくりするから!」
菜「私もこのエリアで『スヨリト』を取材したよ。焼き物だけじゃなく、羊のスープとかバンシ(ラム肉水餃子)とか、羊という素材をここまで幅広く活用できるのかと目からウロコ」
武「常連になるときっと面白いと思ったのが『みず野』。ご主人は“人見知りなんであんまりお客さんとは会話しないんです”とか言いつつ取材中のエピソードはどれも面白いんだもの。このエリアはわざわざ食べに来る人、近隣の落ち着いた暮らしをする人が多く、静かに食事を楽しめるのもいいなと思いました」
『ひな鳥素揚げ みず野』ひな鳥素揚げセット(手羽、砂肝、もも) 2880円、レモンサワー 750円~
戎「今回は、“神楽坂のその先の美味”ってことで街のはずれにある店も紹介してます」
武「そうそう、ここも面白い店が点在していて、焼肉、和食、割烹、いつ開店するかわからない(?)ケーキ屋さんなど飲食店がちらほら。下宮比町にある老夫婦で営んでいる『S』もぜひ紹介したかったんだけど、もうすぐ店を閉めるかもってことで取材NG。居酒屋なら『秋丸』も料理も醸し出す雰囲気も良くて、抜群」
飯田橋エリアの魅力、風情だけじゃない!味で勝負の店を発掘
戎「そうそう飯田橋エリアはどうでした?」
本「私もあんまり行ったことなくて、どんな雰囲気だろうと思ってたら、とても心地良い“普段使いの街”という感じ。オフィス街のせいかあまり高くない価格帯の店が多い印象かな。焼鳥の『遊』は、コース料理に日本酒約20種類の飲み放題が付いて6500円だから、かなりお得なの。たっぷりいただいちゃった(笑)」
『焼鳥×和酒 遊』おまかせコース4000円
肥「それは酒飲みにとってはめちゃくちゃ高コスパじゃん。一方の神楽坂の中心部って、“コスパ悪っ!”って店が多いから最近足が遠のいてるけど(笑)」
武「うんうん、それにメインの神楽坂通りは大手資本系ばっかりになっちゃったし、なんか残念な街になりつつあると思う」
菜「そりゃあ私だって、中心部の担当だって聞いた時、これは店探し苦労しそうだな、って思ったよ」
肥「でしょう。で、ぶっちゃけどうだったの?」
菜「ご想像の通り(笑)。メイン通り沿いのビルの上階にある高級寿司屋の4千円台で食べられるランチに行ってみたら、握りも巻物も崩れていて、初心者かってツッコミたくなったし、予約困難な和食店は、まずくはないけど、旨くもないという中途半端感。とある鴨料理店の鴨は味も香りもないとか。この話題で1時間くらい文句言えそう(笑)」
戎「店の風情はいいけど残念な店がホント多いんです」
肥「やっぱり(笑)」
戎「中心部エリアでいい店があるのは路地裏ですよ。特に熱海湯のある“小栗通り”はツウな店が軒を連ねていますよね」
菜「そうそう。まず『和牛小皿しんうち』でしょ。素材の良さはもちろん、火入れの技によってこんなにも旨さが引き出されるのかとびっくり。そのすぐ先にある『ピーニャ ドーロ』は昨年オープンした新店で夫婦でやってる小さなイタリアン。ほっと落ち着けて居心地いいんだな。こういう店が路地裏にますます増えてくれると、神楽坂がもっと面白くなるんだけど」
『和牛小皿 しんうち』ヒレステーキ(若狭)100g 3600円、牛タンステーキ 2600円
夜だけじゃない、特別感のあるランチも
戎「ですね。あと、中心部エリアは平日の昼間でも人が多いんです。そんなこともあって、夜のお店だけじゃなくちょっと特別感のあるランチのお店も紹介したいと、企画当初から思っていたんです」
菜「そんな中『仁』の昼御膳を見つけられたのもデカかった。石畳の細道を行くっていう店へのアプローチもワクワクするし、ほんのひと口で収まってしまう小さな料理にも丁寧に手間を込めていて、季節感も上手に表現されていた。もう、これ食べたら昼からすごーく幸せな気分になれる」
戎「今回、ページが足りずに紹介できなかったのが買い歩きです。飯田橋駅B3出口からすぐの路地を入った建物の2階には素敵な食器屋さんがあったり、本多横丁を抜けた場所には今治タオルの専門店があったりと、買い物しながらの散策も楽しいですよ」
肥「ランチ→お買い物→ディナーで一日中遊べるね!」
武「そそそ。ただ神楽坂という街自体、飲食店の数がものすごく多いし、店選びに迷うと思うんです。ならば、本誌を道標にしていただいて、間違いなしのお店で楽しんでもらえたらうれしいです」
撮影/西崎進也(HASABON、きくずし)、小澤晶子(遊)、小島昇(しんうち)、浅沼ノア、文/菜々山いく子
※2024年11月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
…つづく『迷宮・神楽坂散歩ガイド』では、さらに、神楽坂の魅力がわかります。