旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■胃を元気に
正解:ハコベ
難易度:★★★★★
薬効の高い野草です
春の七草のひとつであるハコベ。ナデシコ科ハコベ属に分類され、日当たりの良い道端や野原などに自生しています。秋に発芽して越冬し、3月から9月にかけて白い小さな花を咲かせます。
一般的にはハコベと呼ばれることが多いのですが、古くはハコベラと呼ばれていました。
平安時代に作られた日本最古の本草書である「本草和名」には「波久倍良(ハクベラ)」として登場しています。
ハコベとひと口に言っても、コハコベ、ミドリハコベなど、いくつかの種類がありますが、どれも食べることができます。
七草がゆに使われるのは若葉の部分です。若葉は小さな楕円形で、柔らかく、みずみずしいのが特徴です。
1月7日に食べる七草がゆに使われることから採取時期は1月と思われがちですが、本来の若葉の採取時期は3月から4月頃です。
ハコベはクセが少なく、さまざまな料理に使えます。おひたしにしたり、みそ汁の具にしたり、天ぷらにしたりしても美味しくいただけます。
アクが少ないため新鮮な若葉であれば生食も可能なので、七草がゆなどには下処理なしに使うことができます。ただし、塩水で1~2分ほど茹でてから調理するとより美味しくいただけます。
また、薬効が高く、薬草としても使われることがあります。
ミキサーなどで擦りつぶしてとった搾り汁に塩を加えてフライパンで弱火で炒りながら乾燥させるとサラサラした緑色の粉末になります。これが「ハコベ塩」で、古来、歯茎の腫れを直すための歯磨き粉として使われていました。
現在でも、漢方薬局などではハコベの乾燥粉が売られており、これを使って自家製の歯磨き粉を作る人もいます。
身近に自生していることも多い植物なので、気軽に食卓に取り入れることも可能ですが、農薬や排気ガスがかかっていない場所に生えているものを採取するようにしましょう。
また、イヌホオズキ、タマザキクサフジなど、ハコベと似た見た目の植物で、有毒なものがいくつかあるので、採取する場合には注意が必要です。