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なんと、揚げ時間わずか10秒…おかずにもなる「やりいか」と「新ごぼう」のから揚げ「おつまみレシピ」の超簡単調理法

『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒…

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『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。連載第5回の「雨水」編なんと「たった5分」の超簡単「おつまみレシピ」…100円以下で作れる「なめたけ」はおにぎりにも合うに続く「啓蟄」編をお楽しみください。

旬を迎えた「やりいか」と「新ごぼう」を高級スーパーの総菜ふうに味わう

春3月。その入り口の時期を二十四節気では「啓蟄(けいちつ。3月5日からの2週間)」といいます。

愛用する辞書『大辞泉』によれば、「冬ごもりの虫が地中からはい出るころ」とあります。桜の木々を探せば、固いつぼみの先端が少しずつ色づき始めていました。桜が咲くのももうすぐです。

この時期のスーパーやデパ地下の総菜売り場には、「やりいかのから揚げ」がまず間違いなく並んでいます。サクッとした薄衣で、カラリと揚げられたヤツ。大好物です。

みなさまにとっては、から揚げといえば「鶏のから揚げ」だと思いますが、オイラにとってのから揚げとは「いかのから揚げ」なのです。

とくに春先の素材は、から揚げにするとおいしいものばかりです。やりいかに次ぐオイラのおすすめは「新ごぼう」です。春早い九州から出回る新ごぼう。皮が薄く、アクも少ないので、まさにから揚げにうってつけなのです。

ということで、啓蟄の酒肴は、から揚げ二題。高級スーパー・紀ノ国屋さま、成城石井さまの総菜売り場で並ぶものを、勝手にイメージいたしました。

手作りの最大の魅力は、作りながらアツアツで食べられること。つまみ食いですね。味も格別。その晩は酒量が進み、グデングデンになること必至です。

「やりいか」と「新ごぼう」のから揚げの作り方

作り方は簡単です。やりいかも、新ごぼうも下味をつけて、薄く衣をまぶし油で揚げるだけ。特段、レシピというほどのレシピではありません。手間のかかり具合では、下処理が必要な分、新ごぼうのから揚げのほうは揚げるまでの準備が多いかと思います。 オイラの作り方をご紹介いたします。

【仕込み編】やりいかのから揚げ

1)生のやりいかを用意する。※1パイでも、2ハイでも大丈夫です。

2)やりいかは胴と足に分ける。胴のハラワタと、軟甲(透明な硬い部分)は取り除くが、皮はむかない。軽く水洗いし、食べやすく切る。

3)しょうゆ、酒、すりおろしたしょうが、すりおろしたにんにくで浸け汁を作る。そこに切ったやりいかを入れ、30分ほど浸け置いたら、ザルで水けをきる。※分量はテキトーですが、いか2ハイの場合は、しょうゆ大さじ1、酒大さじ2くらいです。

4)やりいかの水けがきれたら、小麦粉で薄くまぶし、続いて片栗粉同量を加えまぶしていく。※ポリ袋にやりいかを入れてから、小麦粉投入→シャカシャカと振りもみ→片栗粉投入→振りもみすると、割と薄い衣になる気がします。粉の量はテキトーです。

【仕込み編】新ごぼうのから揚げ

1)新ごぼうは水洗いし、タワシでこする。※新ごぼうは2本ぐらい。皮はむきません。

2)食べやすい大きさに切り、酢水に10分ほどさらしてから水けをきる。※高級スーパーの総菜ふうは、割と長めにカットします。

3)鍋で下ゆでする。水から新ごぼうを入れ、アクが出てきたら取り除き、5分ほどゆで、ザルに上げる。

4)下ゆでした新ごぼうの水けがきれたら、味つけをする。鍋に水2カップ(400ml)を入れ、沸騰したら新ごぼうと市販のだしパック(8g)、市販のめんつゆ少々を加え、5分ほど煮る。※ようするに、ごぼうの煮物ですね。揚げるので柔らかくなるまで煮る必要はありません。濃い味つけがお好きなら市販のめんつゆを追加し、味をお好みに調整してください。煮るときに赤唐辛子を入れると、スパイシーに仕上がります。

5)出来上がったら、ザルに上げ水けをきる。ごぼうの水けがきれたら、小麦粉を薄くまぶし、続いて片栗粉同量をまぶしていく。※やりいかのまぶし方と同じです。

【調理編】

1)厚手の鍋に油を入れ加熱する。

2)中温(160~170度)くらいで揚げていく。浮き上がるまで揚げて出来上がり。※やりいか→ごぼうの順で揚げましょう。生で食べられるような鮮度のいいやりいかなら、10~20秒も揚げれば十分です。

食品業界で働く知人によれば、総菜売り場のから揚げは、実は注意が必要である加工品だそうです。もちろん、旬の素材で調理しているところもあるでしょうが、要注意ポイントは3つも4つもありました。

1)店頭調理の総菜は産地表示が義務づけられていないので、外国産のものが多い。
2 )多くが冷凍の食材を使っている。数年前の加工のものもある。
3 )製造上、解凍と再凍結を繰り返し味が抜けるため、味つけは濃いめになりがち。
4 )見ための色をよく見せるため、カロチノイド系着色料などが使われている。

すべての店がこうだとは言いません。しかし、総菜売り場もビジネスである以上、求めやすい値段で安定的に提供するためには、こうした「企業努力」が必要なのでしょうね。

とはいえ今の時代、お店の総菜と縁を切ることはなかなか難しいことです。けれど、せめて旬の時期ぐらいは、総菜売り場に頼りたくないものです。

魚屋でするめいかを買うときの「小ワザ」

3月は日本海に面する富山や兵庫の海からは「ほたるいか」が揚がり、魚屋の店先には「やりいか」が並び始めます。やりいかは秋冬から出回りますが、産卵の季節は冬から春にかけて。そのため春先のやりいかは大きく成長しており、肉厚です。

八百屋の店先には「新」のつく野菜が並びます。新じゃがいも、新たまねぎ、そして新ごぼう……。通年出回る根菜たちですが、新ものが出回り始める春先は、いずれもやわらかく、みずみずしい。こうした出会いも春ならではです。

いっぽうで、卒業などで「別れの季節」とも言われます。魚屋や八百屋の店先でも、「別れ」と「出会い」が交錯する時期でもあります。オイラの大好きな「いか」を例にしても、別れと出会いがあるのです。 秋から冬の間、ずっと楽しんできた「するめいか」は春の声を聞くころ、店先から姿が消えていきます。

もちろん、東西に長い日本列島ゆえ、するめいかにまったく出会えないわけではありません。ただ、塩辛にできるような大きな肝を持つするめいかには、秋までまず出会えません。つまり、手作りの塩辛とは、しばしのお別れです(泣)。

ですが、別れを惜しむ気持ちも大事にしたいもの。たとえば、「するめいかの手作り塩辛とはお別れしたくない……」という方には秘策もあります。商店街の魚屋でオイラがお願いする小ワザは、「いかの肝、余っていたら何個かください」というもの。丸のままのするめいかを買うときの声がけです。

つまり、「肝が小さければ、その分、数を集める」というジジイの知恵です。するめいかは、刺身用にさばいて売られているものもあり、繁盛している魚屋では、はずした肝をとってある店もあるからです。もちろん、サービスなのでタダですね。

これからの季節、するめいかに出会ったら、肝リクエストをしてみてはいかがでしょうか。普段から顔なじみの魚屋で「塩辛用ね。アイヨ」と、威勢のいい声が返ってきたら儲けものぐらいに考えておきましょう。

これが、スーパーやデパ地下の鮮魚売り場なら、「肝を欲しがる不審者」=キモいやつ、と判断される可能性もあります。なので、そこは自己責任でお願いいたします。

…つづく「「こんなうまいものがあるのか」…20歳の青年が、オホーツクの旅で《ホタテ貝の刺し身》に感動し始めた「意外な商売」」では、宮城県三陸のひとりの養殖家が、うまいカキを探しに世界中を旅した話を明かします。

文・写真/沢田 浩

さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。

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