サウナからの絶景露天風呂で“ととのう”
まずは大浴場とサウナを楽しみ、予約時間になったら貸切温泉に移り、湯あみのあとよもぎ蒸しをしてチェックアウト、という流れにした。
すべての行程が楽しみなのだが、特に私は温泉ソムリエの前に熱波師など資格を取ってしまうほどのサウナ好き。猿ヶ京の泉質を楽しむのと一緒に、当地ならではの温熱体験をできるのであれば行くしかないと考えたのだ。
100円リターン式のコインロッカーに着衣と荷物を預け、浴室へガラリ。シャンプーやボディソープは備え付けがあるのも安心だ。はやる心を抑えて身体を清めてタオルで丁寧に拭い、サウナ室へお邪魔する。
ちりちりのほど良い熱は80℃、熱源はベンチの内側に格納されたボナサウナ。かりっとする低湿度の温熱に昭和風の味わいがあり、多くの方に愛されるセッティングと言える。そしてベンチの横にはガラス窓がくりぬかれ、そこから山並みや飛び交う鳥たちを望むことができるのである。
ぼーっと茹だりながら12分計と窓の外を眺め、10分ほどで退出。ドアのすぐ脇にある水風呂を頭から丁寧にかぶって汗を流し、足元からイン。さすがの水質で肌馴染みもよく、茹だった身体をきゅうっと締めてくれる心地よさ。これはクセになりますね。
1分ほど水風呂に浸かってから露天風呂にまわり、石造りのベンチに腰掛けてととのっていこう。
ちょうどベンチの高さから、露天風呂の先に赤谷湖を見下ろすことができた。絶景! なんて清々しいととのいだろう。昨日近くから眺めたこいのぼりが、遠く一列に行儀よくそよいでいるのがかわいらしい。澄んだ空気を目いっぱい吸い込み、とろんとしてくる身体を支えてお次は露天風呂に。
温泉成分分析表を眺めると、泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。泉温54℃とかなり高い。特筆すべき成分は硫酸イオン、カルシウムイオン、メタケイ酸の豊富さで、特に筋肉・神経の安定や、アトピー肌の改善に寄与するカルシウムイオンが関東圏トップクラスの含有量。
総合的に見て、血行促進や湿疹の改善、美肌効果などが期待できる、かなりハイレベルな温泉だった。
湯の肌あたりも柔らかく、芯から温まっていくのがよくわかる。おまけに絶景を見晴るかすことができるなんて。ほんの「立ち寄り湯」にするにはもったいないほどのぎっしり感を楽しめる。