歌うもよし、踊るもよし、浸るもよし……
幼少期の微かな記憶から、(一応)多感な中高生+α乱気流時代に至るまでどっぷり昭和だったオレ。音楽バーへ行くとなったら、細胞の一つひとつが覚えているのは“昭和歌謡”に違いない。というわけで、行くぞ「時間旅行のツアーへ♪」(by原田真二)!
最初に向かったのは新橋の『スポットライト』。歌謡曲BARの冠通り、歌謡曲全盛の70~80年代のヒットソングがレコードで揃っている。で、この時代と言えばやっぱアイドル!
その充実具合が感涙もん。スゲーのはシングル盤が1000枚以上、レコード棚に並んでいて、自分で見つけて「コレ!」ってリクエストが可能。B面の曲だって聴けるんだぜ!手書きのリクエストカードを書いて渡してもOK。
「岡田奈々・青春の坂道」。う~、やっぱ超~カワイイ。あ、作詞松本隆だったのね。「セーラー服と機関銃」。カ・イ・カ・ン!……などなど、キラキラしていたあの頃のテンションが血管の中を駆け巡って行く。楽し~い。
次に向かったのは下北沢の歌謡喫茶『昭和』だ。こちら実はミュージックバー『げによい』を間借りして火曜日だけやっている(歌謡だけに!!)お店だ。
特徴的なのは、毎回特定のアーティストに縛った特集をやっていること。最近なら、忌野清志郎、エレカシ、男闘呼組……。顔ぶれを見るとわかるかもだけど、ちょっと男っぽい。
聞けば店主の青島寛幸さんが、そういう「ちょっと不良っぽい人たち」が好き。子供の頃憧れた、そんな昭和の男くささ。わかるぜ。ダルマのロックを飲りながら、松田優作のブルースを聴く。大音量の低音に痺れながら、なんかワイルドな気分に……。そんな夜もいい。
さて最後は目黒のバー『月のあかり』へ。店名は毎日最初と最後には必ずかけるという桑名正博のバラードだ。階段を降りると、落ち着いた空間が広がる。
平成の曲はかけず、昭和の曲をかけるんだけど、懐は深い。キャンディーズのレコードにプッと針を落とす音。ほどよい音量。ウイスキーを飲みながらしっとり聴けるのがいいんだなあ。
あるかなあ?って尋ねたのは門あさ美の「月下美人」だ。青春時代、エアコンのない車の窓を全開にしながら聴いてたわけよ、そのちょっとエロい歌声を。ハイファイセットの綺麗な高音を聴いたら、次は……。過去が数珠繋ぎになって響いてく。やっぱいいなあ。
撮影/西崎進也、取材/池田一郎

■おとなの週末2025年7月号は「夏の麺」
※月刊情報誌『おとなの週末』2025年6月号発売時点の情報です。
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