どうやら「一気!」も「王様ゲーム」も、「コンパ」すらも死語となってしまったようだ。そしてそれらの舞台となったチェーン居酒屋も、近隣の学生よりもビジネスマンが多く通う居酒屋となっている。かつてを偲びつつ、安くて旨い学生街のチェーン居酒屋で再び飲みたい!
チェーン居酒屋は文化であった
最近、めっきり見かけなくなった光景がある。大学サークルの新歓コンパの待ち合わせ風景だ。
春先の夕方。学生街の駅前には、コジャレたカタカナサークル名を書いた看板を掲げて、今宵の期待にニヤニヤしている先輩男子と、まだ純粋な新入生女子の集団が、何グループもたむろしていた。
コロナ渦中はともかく、そろそろ復活すると思いきや、今年の春もほとんど見なかった。今の学生たちは、学生街で杯を重ねてドンチャンやらなくなってしまったのか?
オレが学生の頃は、当然ドンチャンやっていた。まぁ40年くらい前の話だが、金もないので、よく行くのはもっぱらメニュー価格を知ってるんで安心して入店できるチェーン系居酒屋。
当時、居酒屋御三家といえば、『村さ来』、『つぼ八』、『養老乃瀧』。飲んでいたのはビールに日本酒がメイン。チューハイはやっと市民権を得たばかりで、最初に半割りレモンを自分で搾る生レモンサワーを見た時も驚いたが、半割りグレープフルーツを自分で搾るヤツが登場した時は「日本も裕福になったなァ……。戦後は終わったよ」と心から驚愕し安堵した。
ツマミは鶏の唐揚げがやっぱ不動の人気。あとホッケが北海道の味的にこの頃からメニューに登場。値段の割に量が多く、これ一品でけっこう飲めるのでよく頼んだ、オレは。
ちなみにハイボールは、08年にサントリーがブームを仕掛けるまで、居酒屋にはほぼなかったし、ホッピーは完全に一部の老舗系酒場だけの代物だったなァ。
御三家居酒屋の次に来たのが、『ペンギンズバー』の展開もしてた『北の家族』。そして『庄屋』ときて『甘太郎』。甘太郎はTVCMも打っていて、そのコピーがすごいよ、『甘太郎で決めたろう』だもん!
沢田研二の83年の名曲『きめてやる今夜』的に、みんなというか男は誰しも、飲んだ夜はラブ方面を決めたくて決めたくてしょうがなかった時代である。それが今の学生は、もう決めたくもなんともないのか?
安い居酒屋で出会いを求めるよりも、ネットでマッチングアプリなのか?チューハイよりもエーアイ(AI)なのか?ラブホよりもスマホなのか!?
ま、回顧主義的な昔話は年寄の一番カッコ悪い行動なんでこのくらいにする。
ただ講義の後に軽く一杯、学生街のチェーン居酒屋で友達と直接語りあっても決して損はしないんだけどなァ。スマドリの時代ですから、ドンチャンは抜きでいいし。あとなんも決めなくてもいい。
文/カーツ佐藤
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