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コラム
覆面取材で見つけた間違いない店だけを掲載しているグルメ専門誌『おとなの週末』
名古屋グルメ_本格的な江戸前寿司がリーズナブルに味わえる穴場店。錦3丁目『鮨 古川』/名古屋エリア限定情報(84)

名古屋グルメ_本格的な江戸前寿司がリーズナブルに味わえる穴場店。錦3丁目『鮨 古川』/名古屋エリア限定情報(84)

数ヵ月前、一度引退を宣言した寿司職人から電話があった。 「60歳になって、もう一度、寿司職人として仕事ができたらと思って……」。 また、あの人が握る寿司が食べられると思うと、わくわくした。 そして、今年7月1日。中区錦3丁目に『鮨 古川』はオープンした。 メニューは「おまかせ」(8000円)のみ……。

本格的な江戸前寿司がリーズナブルに味わえる穴場店。錦3丁目『鮨 古川』


今年4月、取材に向かう途中に携帯電話が鳴った。

ディスプレイを見ると、懐かしい名前が表示された。

2012年の秋に『おとなの週末』の寿司特集で取材した上前津の『鮨 古川』の大将、山口慶二さんからだった……。


山口さんは、東京生まれの東京育ち。

実家は寿司屋を営んでいて、若いころには銀座の高級寿司店で修業した経歴を持つ。

しかし、結果的に家業は継がず、縁あって名古屋で寿司職人としての才能を開花させたのだった。


『鮨 古川』は、ネタを熟成させたり、酢や塩で締めたりと、一つ一つにていねいな仕事を施した江戸前寿司。

名古屋にも食べさせてくれる店はあるが、庶民にとっては敷居が高い。

そんななか、上前津という場所柄なのか、『鮨 古川』はかなりリーズナブルだった。

取材後も私は足繁く通うようになった。


ところが、店が上前津から錦、丸の内へと移転したり、寿司から割烹へと業態が替わったりした。

そのたびに値段も高くなっていき、足が遠のいてしまった。

そして、昨年11月。

山口さんは寿司職人を引退すると宣言した。

もちろん、私は食べに行った。

もう山口さんが握る寿司が食べられないと思うと、残念でたまらなかった。


電話に出ると、
「60歳になって、もうひと花咲かせたいと思ってるんです。
もう一度寿司職人として仕事ができたらと思って、今、店の物件を探してるんです」と、山口さん。

また山口さんの寿司が食べられる!

そう思うと、ワクワクした。

そして、オープンを心待ちにしていた。


今年7月1日、中区錦3丁目に『鮨 古川』はオープンした。

メニューは「おまかせ」(8000円)のみ。

錦3丁目界隈にある寿司店は、だいたい8000円から。

しかし、ほとんどの客はその上の、12000円や15000円のコースを注文する。

だから、8000円という値段はかなりリーズナブルなのである。


オープンしてから何度か足を運んでいるが、「おまかせ」で出される付き出しから、寿司、味噌汁まですべてをご覧いただこう。


こちらが、付き出し。

これらをアテに生ビールで喉を潤す。

その間、大将は鮨の準備をしている。

否が応にも期待が膨らむ。


一貫目は、平目。

昆布締めにしてある。

あまりの旨さに悶絶した(笑)。

ノッケから腰の入ったストレートを食らった気分。


子イカ。

ムチャクチャやわらかい。

歯でスッと噛み切れる。

しかも、じんわりと甘い。


真鯛。

シャリとネタの間にあるのは塩昆布。

これが実にイイ仕事をしている。

鯛の旨み、香りを十二分に引き出しているのだ。


シマアジ。

ネットリとした食感がたまらない。

口の中でシャリがほどけてネタの旨みと一体化する。

これも、悶絶(笑)。


マグロ漬け。

見よ!

このエッジの立ったさまを!

これもまたネットリと舌にまとわりつくような食感。

マグロの味と香りが見事なまでに引き出されている。


トロ。

いうなれば、ひと夏の恋。

はじまったかと思うと一瞬で終わる。

でも、味の余韻という思い出が残る。

詩人だな、私は(笑)。


イワシ。

実は私、青魚が苦手だった。

しかし、ここのは別。

くさみも何もないから、むしろ、好きになった。

上にちょこんとのせたショウガが、イイ仕事してる。



のどぐろ。

中盤に入ったところで、アッパーカットを食らった気分。

のどくろといえば、焼き魚の最高峰。

ゆえに、軽く炙ってあるところがニクい。

同じものをあと20カンは食べられる(笑)。


マアジ。

のどぐろで完全にダウンしているところにフルボッコ。

もう、勘弁してくれ(笑)。


いくら。

ヨソで食べるいくらは味が濃すぎて、正直、苦手なんだけど、ここのは別格。

とても上品な味わい。

これも20カンはイケるな(笑)。


車海老。

しかも、直前まで生きていたものを使用。

ゆえに、甘みがしっかり。


穴子。

手前が塩で、奥はツメ。

いずれも口の中でとろけるような食感。

ギリギリ形を維持している穴子を握る大将は、やはりタダモノではない。


玉子焼き。

カステラのようなふんわり、しっとりとした食感。

甘いけど、シャリに合うのが不思議。


だし巻き。

だしがきいていて、ほんのりと甘い。

〆にはぴったり。


最後にアオサの味噌汁。

ほっとするね。

ご馳走様でした。


それにしても、また山口さんの寿司が食べられるとは思わなかっただけに、一貫味わうごとに感動すら覚えた。

山口さん、また食べに行きますね!

ありがとうございました!



鮨 古川
[住所]愛知県名古屋市中区錦3-18-3 栄グリーンビルB1
[TEL]052-385-0489
[営業時間]18時~22時
[定休日]土・日・祝※予約があれば営業









永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

このグルメ記事のライター
永谷正樹@まとメシ

名古屋メシの専門家として、実際に食べてみて本当に美味しかったものや、名古屋のグルメ事情について、好き勝手に書き綴る。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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