手が届きそうで届かない“絶妙な贅沢”
「高級食材をあえて家庭料理へ落とし込むなんて……」。2話以降では、500g4700円のミニトマトや10g4990円の謎の粉など、読者にも手の届きやすい絶妙な価格帯の食材が次々と登場する。
節約生活でも、食の楽しみだけは貴族級に――、読んでいるうちに、たまには麗子のようにぶっ飛んだ自炊をするのもいいかもと思えてくる。
人情味あふれる脇役たちの存在
また、アルバイト先の建築現場の親方、麗子の過去を知るかつての許嫁、そして毎回地球のどこかで懸命に働く父親など、彼女の人生に寄り添い、物語に温度を与えていく面々にも注目してほしい。
彼らとのつながりが生み出すドラマが本作をより豊かにしているからだ。
食の喜びが伝染する一冊
何より、没落令嬢が試行錯誤しながら食事を楽しむ姿はこちらまでうれしくなる。本作を読んだあとは自分へのご褒美に、高級食材(もちろん5000円以内)を探しに街に出かけてみてはどうだろう。
■『没落麗子のシンデレラグルメ』

































