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長く続けなければ、網羅的に知ることができない「そのための700杯」

とはいうものの、「杯数限界のようなものがある気がしています」と話す。

「例えば月60杯台だったら何も変わらないけれど、これが70杯になってくると体重が増えますし、80杯を超えてくると体調的にもガクッとくるんですね。もし年800杯を食べるとなると、日常生活で2.5杯は刻まなければならないので、3杯の日を意図的に作ることになります。僕にとって無理がないペースはやはり、年700杯台かなという感じです」

太るイメージがあるラーメンだが、習慣ともなるとそういう体になるのだろうか。くれぐれも健康第一でお願いしたいものだ。

「個人的な意見ですが、例えば1年で900杯とか1000杯台を超えるペースを3年続けましたという方がたまにいます。その杯数は確かにすごいかもしれませんが、長く続けなければ、結局ラーメンについて網羅的に知ったことにならないのではと思います。それよりは、20年、30年と700杯を続けていく人間のほうがおそらく詳しくなれるのではないかと考えます」

継続は力というのは本当にそうだと思う。

累計杯数は、2万1800杯以上

「基本的にラーメンを食べているだけなので、何の才能もいりません。妻にも『食べてるだけじゃないか』って言われます」と笑う。

それでも20年、30年と、ライフステージが変わっていく中でも同じペースで食べ続けていることに凄みを感じる。2026年1月現在の累計杯数は、2万1800杯以上にもなるのだそう。

「TRY」審査員を務める田中一明さん

2009年のテレビ出演、“ラーメン官僚”が生まれた

2009(平成21)年、「お願い!ランキング」というテレビ朝日系の深夜の情報番組に“ラーメン官僚”として登場した田中さん。

「僕のラーメン好きというのは、周りの人間たちにも割と知れ渡っていました。灘から東大に進んだ幼馴染がテレ朝でディレクターをやっていて、バラエティにうってつけのキャラクターだからちょっと出てくれないかと言われたのが始まりです。実はそれまでも何度かこうしたお話はあったのですが、お断りしていました。ただ、当時の上司が優しかったり、そうした活動に理解があったり、これまでと少し違うアプローチもいいのではないかと話してくれるなど、いろいろな歯車が偶然うまく噛み合ったんですね」

苦笑しながら教えてくれたのは、“ラーメン官僚”というニックネームの由来だ。

「その友達が付けたんです。自分で官僚なんて言うと鼻につくから、ラーメン公務員とか違う名前にしてくれと反対しました。でもバラエティだし、このほうがキャラ立つと押し切られて結局折れました」

2013年まで続く人気コーナーに

当初は1、2回くらいで終わる予定だったが、結局2013年まで続く人気コーナーとして、さまざまなラーメン店を紹介することになった。

「僕が出てきた時、『あれは、らーめんナビの達人の“かずあっきぃ改”だ』とわかったという視聴者の方やラーメン店店主も多かったようです。深夜枠の番組だったとはいえ、テレビで紹介することでお店の方に喜んでいただけ、感謝される経験もうれしかったですね。ただし、自分自身のことだからはっきりと言えるのですが、あの時はそれなりにできていると思っていましたが、あとから振り返ってみたら知識も経験もめっちゃしょぼい。特に最初の頃は実力を示す裏付けといったものがなかったこともあり、ネットなどでも叩かれていました。またポッと出てきた感じもあったのでしょう。ラーメンに精通した人の中にはおもしろくないと感じていた人もいたと聞いています」

情報発信において知識と実力を伴ったものにするため、とにかく杯数を重ねていき、今に至る。

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ラーメン王子との出会い
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市村 幸妙
市村 幸妙

市村 幸妙

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