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2000年に創設された「TRYラーメン大賞」(通称「TRY(トライ)」)は、ラーメンフリークや業界からも熱い視線を集める“業界最高権威”の賞だ。長年ラーメンを食べ続けているスペシャリストのTRY審査員と名店審査員の計7人が審査して選んだ各店を、毎年1冊のムック本にまとめて紹介している。2025年12月からはWEBサイトでの展開も始まっている。国家公務員として働く傍ら、“かずあっきぃ〜通称・ラーメン官僚〜”として、メディアやSNSなどで積極的にラーメンについて発信している田中一明さん(53)は2020年から「TRY」の審査員を務める。ラーメンへの思いを聞く3回連載の最終回は、田中さんが考える「ラーメン」に迫る。

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遠かった「TRY」の審査員になるまで

「『TRY』の審査員になるまで、本当に長い時間がかかりました。実はテレビに出始めて数年経った頃、そろそろ『TRY』の審査員をできるのではとアプローチさせていただいたこともありましたが、実現には至りませんでした」

「TRY」の審査員になるには、テレビ東京系列の番組『テレビチャンピオン』で「ラーメン王」になる、「TRY」の審査員を長く務めたラーメン評論家の第一人者である大崎裕史さんたちに認められるなどという雰囲気があり、かなりハードルが高いものだった。

ところが2019(平成31、令和元)年、2004(平成16)年から「TRY」の審査員を務める青木さんの推薦という形で「『TRY』の審査員をやってみないか」という話がきたという。他の審査員を降りることで、2020年度から「TRY」に関わるようになった。

「『TRY』って、ジャンルごとに名店と新店のランクをつけているだけに見えますが、それって実はすごいことなんです。人間の本来的な欲求は、コレクターかリピーターのどちらか。しかし審査員はコレクター的に新店を回りながら、名店をリピーターのように行くという、ふたつのことを両立するんです。僕や一緒に審査員になった尾瀬くんは、元々コレクター型の人間なので意識しないと新店ばかり回ってしまいます。しかし強制的に矯正せざるを得ないのが『TRY』の審査であり、僕が『TRY』の審査員になった理由や魅力でもあるのかなと思っています」

「TRY」審査員を務める田中一明さん

名店審査が大変

「TRY」についてどう感じ、考えたのだろう。

「『TRY』は新店部門にフォーカスが当たりがちです。当然ながらこれまで載ったことがない新しい店が掲載されるので、仕方のないことだと思います。中には新店部門しか見ないと言っている方もいるくらいです。でも実は名店の審査のほうが、審査にかける手間や実際に食べて考える過程が新店に比べて何十倍も大変なんです。僕も『TRY』を外から見ていた時は、名店部門で毎回お馴染みの店ばかり載っていて変わり映えしないな、他にもいい店はもっとあるだろうと思っていました」

筆者は「TRY」のライターもしているが、それでも毎年、名店部門のランクの入れ替えや誰もが知るような名店が突如載ることに驚かされる。特に印象に残っているのは、2022年度版でランクインし、以降掲載されている1955(昭和30)年創業の『永福町大勝軒』(東京都杉並区)だ。

「いろいろと食べ回っていて気になったお店は、改めて行き確かめて良かったら他の審査員に情報共有しています。そうした見直しの過程がないと名店の顔ぶれは変わっていきませんし、掘っていくことをしっかり行わないと母数は増えていきません。あとは前年の新店の中でも上位店は翌年もきっちりと拾っていきます。しかしそれよりも、今までもあったけれど、改めて食べてみたらやはり旨いという店が新たに載るケースが多いと思います。各審査員は、ラーメンの経験値が増すことで、毎年新しい気づきがあります。向き合い方も変わりますし、審査員によって好みも違います。さらには、僕らはもちろん、お店側の当日のコンディションもあるでしょう。そうした掛け合わせが掲載という結果に現れるんですね」

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審査員になる前からチェックしていた店
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市村 幸妙
市村 幸妙

市村 幸妙

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