「美味しいに対する感受性は経験を積むほどに高くなる」
「経験値を積めば積むほど旨いものがわかるようになるというのは俗説であり、マジックワードで包まれたようなものだと考えています。例えば美味しい店を紹介してくださいと言われ、ラーメン好きたちと回ると、この人たちの舌は異常に肥えるんです。その結果、名店とされる店ばかりを巡った際に、ここはさっきの店に比べると味が落ちるなどと言うことがあり、驚きます。それは下限を知らないからこその発言ですよね。要するに、美味しいものがいかに美味しいのかがわかるようになるのは、そうじゃないものもたくさん食べているから。“美味しい”に対する感受性というのは、経験を積むほどに高くなっていきますし、未知の味に関しても評価できるようになってくるのだと思います」
それでも「僕自身、駆け出しの頃は家系ラーメンを食べ慣れていなかったこともあり、当初は本当の価値がわかりませんでした」と苦笑する。
「あとは杯数を重ねていくと、例えば食べ歩きの初期頃に行った、いわゆる老舗のなんてことないと思っていたラーメンがめっちゃ美味しくなるといったことが起こります。これは経験値の蓄積による、美味しさを感じる領域の拡大ですよね」
心から美味しいと思えたラーメンと出合えた時の喜び
ラーメンというジャンルの特殊性もあるのだという。
「基本的に母数が多くて、評価されている一部の店と評価されていない大多数の店の数が比例しています。失礼にあたるかもしれませんが、ラーメンをものすごく食べている人は自分の口に合わないものへの耐性も高いと思うんです。だからこそ、美味しいものに対する感度が上がるということでもあるのです」
「心から旨いと感じたラーメンと出合えた時の喜びは、まさにひとしおです」
「『TRY』の審査員に必要な資質は、基本的にどんなタイプのラーメンも食べられることだと思っている」と話す。



