二番手、三番手のメニューが美味しいことも
さらに「しょう油やみそ、しおなどの部門ごとでマルチに食べるということも『TRY』の大きな特徴だと思っています」と田中さん。
「コレクター時代は、いわゆる看板メニューを食べたら次の店に行っていましたが、『TRY』ではいろいろな部門があるので、それぞれのメニューを食べなければなりません。その店の全メニューを網羅することにより、店主のラーメンに対する向き合い方やラーメンの設計思想、店の成り立ちなどがより深く見えるようになってきました。普通の情報誌では光が当たらなかったであろう、いわゆる二番手や三番手のメニューが実は美味しいということを『TRY』が大々的に宣伝することによって看板メニューになっていくという機能をもつ唯一の媒体でしょう。これはすごいことだと思うと同時に、僕にとっても確実に有意義なことだと感じています」
この数年で名店部門の常連になっている『らーめん とうかんや』(東京都江戸川区)や『とものもと』(千葉県船橋市)なども複数部門でランクインしている。
味わいへの感度の範囲が広がった食べ歩き
先の通り、「TRY」で注目されるのはやはり新店部門。それこそさまざまなラーメンが出てきているが、たくさんのラーメンを食べてきている田中さんはどう感じているのだろう。
ちなみに、これまで食いしん坊として生きてきて公私共にさまざまなものを食べてきたライターのワタクシ、舌も肥えてきたということか、もしくは加齢によるせいなのか、純粋に単純に美味しくて感動する!という機会が減ってきている気がする、という悩みを田中さんにぶつけてみた。
「僕自身は食べ歩きを通じて身についたと思うのは、美味しく感じることのハードルそのものが上がったというよりも、美味しさの感じ方の種類やレンジ(幅や範囲)が広がったということです。そのため美味しいと感じる基準は、逆に僕らのほうが甘いかもしれません」
どういうこと?
「新店の食べ歩きが特殊なのは、ひたすら一次情報を掘っていくような役割です。味に関しては審査員それぞれの嗜好性もありますし、新店ならではのブレが生じた時に当たってしまうなど、店のコンディションに左右されるケースもあり得ます。それでも各審査員は、毎年新しい気づきを得ながら審査を行うのです」


