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ほほえましいほど庶民的な昭和天皇のお食事

皇居内には昔から梅林が大切に守られている。皇居東御苑の「梅林坂」には70本ほどの紅白の梅が植えられている。江戸城に最初に城を築いた太田道灌がこのあたりに天神社をまつり、数百株の梅を植えたことから「梅林坂」と名付けられたという。

皇居内の御所のお庭には、紅白の梅が美しく咲く。吹上御苑にも江戸時代より数百株の梅の木があるが、こちらは眺めるよりむしろ梅の実をとることが目的だったといわれる。

かつて昭和天皇は、季節にちなんだやさしいお味のお食事がお好みであった。それはけっして豪華ではなく、ほほえましいほど庶民的であった。

ちょうど梅の花が美しく咲いている昭和59年2月なかごろ、昭和天皇はご昼食に麦入りのご飯と梅干し入り白魚の桜煮、焼麩ときぬさや入りの仙台味噌仕立てのお汁を召し上がられている。

昭和天皇は、二口や三口で食べきってしまいそうなほど少ない量の料理を、大事に残さず召し上がる方であった。ほんのりと赤みがさした白魚の煮物は、やさしい酸味とともに心をも満たされたことだろう。

冬が終わり、これからさまざまな花が咲き乱れる春がやってくる。その胸膨らむ明るさを運んでくれる、梅の花である。(連載「天皇家の食卓」第50回)

昭和天皇(宮内庁提供)

※トップ画像は、JMPA

参考文献:『昭和天皇 日々の食』(渡辺誠著、文藝春秋)、『宮中歳時記』(入江相政編、小学館文庫)、『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)、『美智子さま 貴賓席の装い』(渡辺みどり著、ネスコ/文藝春秋)

文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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