食事の合間に広がる、日本海の景色
この先、列車は奈具海岸へ。海沿いで一時停車し、ふと窓の外に目を向けたくなる瞬間がやってくる。車窓の右側には舞鶴市。「舞鶴の海軍レシピを味わいながら、舞鶴の海の景色も一緒に楽しんでくださいね」そんな話を聞きながら料理を味わう。
そして列車は、1923(大正12)年に竣工した由良川橋梁へ。水面からわずか6メートルの位置を徐行しながら走る。海や川、山といった沿線の風景が、料理の合間に次々と現れるのも、この旅の醍醐味なのだ。
リピーターが多いのも納得
丹後くろまつ号には、リピーターも多いという。「季節によって景色が変わりますし、お料理も変わりますので、そこを楽しみにしてくださる方も多いです」と尾崎さん。春には桜、冬には雪景色。特に北近畿の冬は、積もった雪と列車が織りなす風景も楽しみのひとつ。
なかには、一度乗って気に入り、今度は家族や友人を誘って再乗車する人もいるという。確かに誰かを連れてきたくなる特別感がある体験だ。
ホスピタリティが素晴らしい
アテンダントの尾崎さんには、忘れられないお客様とのエピソードもある。団体のお客様が乗車したとき、食事のペースがとても早く、次の料理の盛り付けが追いつかない場面があったという。その間、いつも通りに景色を紹介するだけでなく、会話を交わしながら料理を待つ時間も楽しんでもらえるように心がけた。
その後、お客様から「ホスピタリティがとても素晴らしくて、感動しました」と声をかけられた。「自分がやったことに対して、後からそういう言葉をいただけたのはうれしかったです。『ちゃんとできたんだ』と、自信にもなりました」
丹後くろまつ号の旅は、舞鶴の歴史を料理で味わい、日本海の景色を眺め、そして人の温かさに触れる旅。アテンダントとの会話やさりげない気遣いもあり、流れていく車窓と料理をゆったりと楽しめる。
食後にはオリジナルの丹鉄珈琲を。5種類の中からアテンダントが選んだ1種類が提供される。この日は「舞鶴ブレンド」。舞鶴の海と青空を感じさせる、穏やかな酸味ある味わいが特徴だという。一緒に伝説の復刻ビスケットも配られた。こちらはおなかいっぱいなので、お土産として持ち帰ることにしよう。
「丹後くろまつ号」は全3コース。今回参加したランチコースの他に、京のブランド産品・丹波栗を堪能する「モーニングコース」と、地元産の海の幸を地酒などとともに味わう「地魚コース」も用意されている。
次はどのコースにしようか。誰かを誘って乗るのもいい。でも、たまにはひとりで、ちょっと贅沢な列車旅を楽しむのも悪くない。
[名称]丹後くろまつ号「ランチコース」~海軍レシピでめぐる列車旅~
[運行日] 2026年10月~2027年3月の金曜・土曜・日曜・祝日
(※年末年始等に一部運休期間あり)
[料金]15,000円(税込・お土産付き)
[定員]1コースあたり24名
[予約]3カ月前同日発売、午前10時予約受付開始






