なぜ、 中目黒〜恵比寿にピッツェリアが多いのか?
みなさんは、街の名物料理といえば何を思い浮かべるだろうか。大阪のたこ焼き、広島のお好み焼き、香川のうどん……枚挙に暇がない。これは、あくまで県レベルの話。
東京に限っていえば、月島のもんじゃ、神保町のカレー、浅草の煮込み通り、広尾のお好み焼きなどが挙げられる。気づけば、あの街って○○が多いよね、てな具合に。
今、東京の街でその域に達しつつあるのが、「中目黒のピッツァ」だ。
編集部のスタッフもそれぞれが何度も訪れているが、確かに多かった。改めて調べてみると、中目黒駅を中心とする半径500m 以内に6 軒のピッツェリア、ピッツァ自慢のイタリアンも加えると、実に13軒あった。これは、ピザが食べたくなったら中目黒へ行け! と言っていい数字ではないだろうか。そう言いながら、今回の特集に中目黒の店はあまり入っていなかったりするが……。
そんな「中目黒のピッツァ」の始まりは、『聖林館(せいりんかん)』のオープンだろう。今から20年前、『サヴォイ』として営業をスタート。当時まだまだ少なかった、本格的なナポリピッツァが食べられると、瞬く間に人気店の仲間入りを果たした。
そして、『サヴォイ』と同じ年にオープンしたのが『サルヴァトーレ』。ナポリの職人が造った薪窯で焼くピッツァが食べられる店で、奇しくも2店のピッツェリアが中目黒に誕生した。
評判の店ができれば、自然と店が集まってくるもの。その後、2004年に『イル・ポーネ』、2010年には『ピッツェリア エ トラットリア ダ・イーサ』が開店。どこかで行列ができれば、待てない人は並んでいない店へと足がむく。食べてみると美味しくて、その店に続けて足を運ぶようになる。このような相乗効果があるからこそ、味に自信がある店は、敢えて人気店の近くに店を出す。気がつけば、王道のナポリピッツァ、世界一の職人が作るピッツァ、ワンコインピッツァ、炭火焼きも食べられる店など、多種多様なラインナップになっていた。『聖林館』でピッツァを食べたとき、女性スタッフと話をした。聞けば、大阪からピザ店で働きたいと上京。東京でピザといえば中目黒、ということで評判の店を周り、一番美味しかった『聖林館』で働くことにしたと教えてくれた。まさか、大阪にまで中目黒がピザの街だということが知られているとは驚いた。「月島のもんじゃ」のように観光客がこぞって訪れる日も近そうだ。
恵比寿にも同様のことがいえる。広尾で人気を集めていた『ピッツェリアパルテノペ』 が14年前に出店。
2011年にオープンした「ピッツェリア パルテノペ」のピッツァは小麦粉と酵母、塩、水のみを材料にした生地を手だけでのばし、薪窯で焼き上げるというナポリそのままの軽やかでモチモチしたピッツァを楽しませてくれる。ピッツァ以外の南イタリアの郷土料理も美味揃いだ。[交]JR恵比寿駅東口から徒歩7分 ※ランチタイム有
その後、2003年に『リストランテ・エ ピッツェリア ダ・イーヴォ』、
2012年に『ダ・ミケーレ』がオープン。
ナポリの名店「ダ ミケーレ」が東京進出と話題になったのが2012年。当時ほどの行列ではないが、やはり少し待ち時間のある人気店。[交]JR恵比寿駅東口から徒歩2分 ※ランチタイム有
恵比寿駅の半径500m 以内にはピッツェリアが4軒しかないが、イタリアンが11軒あり、ピッツァを食べるには申し分ない環境である。恵比寿もまたピザの街といえるだろう。
『聖林館』は大井町に『ピッツァマン』を、『イル・ルポーネ』は三軒茶屋に『ラルテ』を中目黒ではなく、別のエリアに出店している。
職人歴21年の井上さんが作るピッツァは「現状に満足せず、味を追求したい」という入魂の1枚。薪窯の状態を見て瞬時に焼き方を判断し、一途に窯と生地に向き合う姿に食す前から味への期待感が高まる。生地はイタリアの小麦粉を2種類配合し、重過ぎず軽過ぎずの絶妙な食感。ラルテ[交]東急田園都市線三軒茶屋駅南口から徒歩3分
東京に新たなピッツァタウンを作ろうとしていると思うのは考え過ぎだろうか。
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