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英国といえば紅茶やアフタヌーンティーをイメージされる方も多いかと思いますが、コーヒーの方が早く普及し、街中でも飲めたそうです。では紅茶を飲む習慣はどのように広まっていったのでしょうか。そんな英国の食文化や歴史の背景をアートで楽しみながら学べる展覧会『おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり」が東京・西新宿のSOMPO美術館で開かれています。2023年1月15日まで。野菜、果物などの植物画のほか、古いレシピ帖や食卓を彩るティーポットなども展示され、歴史的背景とともに英国の食文化を“見て味わう”展覧会となっています。

リンゴ 「デヴォンシャー・カレンデン」1818年 ウィリアム・フッカー作 Photo Michael Whiteway(画像写真の無断転載を禁じます)

植物研究機関としても有名な世界文化遺産「英国キュー王立植物園」の協力のもと実現

ボタニカル・アートとは、薬草学や植物学といった科学的研究を目的とした植物の特徴を緻密に描いた「植物画」のことです。17世紀の大航海時代、珍しい植物を追い求めたプラント・ハンターたちの周辺で多く描かれ、専門の画家も活躍し急速に発展しました。18世紀以降になると鑑賞的価値も高まり、芸術性の高い作品も描写されるようになりました。ロンドン南西部にある英国キュー王立植物園は世界最大級のボタニカル・アートのコレクションを所蔵しており、今回はその中から英国の食生活に関わる作品を展示しています。

緻密で色鮮やかに描かれたボタニカル・アート

展覧会は市場や農耕風景を描いた序章から始まり、第1章から第6章に分けられています。根もとまで緻密に描かれた野菜や瑞々しい果実、穀物の植物画などをテーマに合わせて展示。果実の香りや果汁の多さ、デザートに適しているなど品種ごとの解説がついている作品もあり、読むとイメージが広がります。

イチゴ 「ストロベリー・オブ・ヴェルサイユ」1788年 作者不明 Photo Brain Trust Inc.(画像写真の無断転載を禁じます)
ブドウ 「レザン・ド・カルム」1818年 ウィリアム・フッカー作 Photo Michael Whiteway(画像写真の無断転載を禁じます)

特に目を引くのは、アフタヌーンティーという英国特有の食文化の始まりがわかる第3章です。薬として伝わったお茶が王室で“飲み物”として好まれた経緯がよくわかります。英国王室御用達の陶磁器メーカー「ウェッジウッド」のティーポットや、紅茶が高級品だったことがうかがえる鍵付きの茶葉入れなど数々の食器も並び、紅茶の発展がミニスクリーンで見られるスポットもあります。

チャの木 1800年 作者不明 Photo Brain Trust Inc.(画像写真の無断転載を禁じます)
ティーポット・セット(シルバー)1861年 ロバート・ヘンネル社 Photo Michael Whiteway(画像写真の無断転載を禁じます)

そのほかコーヒー、ホットチョコレート、りんごの醸造酒“シードル”など、イギリスで親しまれてきた飲み物の原料を描いたものや容器も展示されています。誰かに話したくなるような興味深いエピソードも随所にあるので、帰る頃には「英国通」になっているかもしれません。

コーヒーカップ&ソーサー 1879年頃 ロイヤル・ウースター社 Photo Michael Whiteway(画像写真の無断転載を禁じます)

家庭料理の古いレシピ帖や、華やかな食卓も展示

最後の第6章では、英国の一般家庭で食べられていたスープやデザートなどの手書きのレシピ帖や、1861年に出版された『ビートン夫人の家政読本』が展示されています。この本は出版社を経営する夫の妻、ビートン夫人が自身の経験を踏まえて英国が絶頂期を迎えたヴィクトリア朝時代の理想的な暮らしを提案したもので、ベストセラーになりました。これを参考に再現された19世紀のテーブルのセットはフォトスポットにもなっており、当時の暮らしぶりを間近に見ることができます。

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山本麗子さんが古い資料をもとにイギリス伝統菓子のレシピを再現...
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おとなの週末Web編集部
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