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小田急線の渋沢駅から北に6分ほど歩いた場所に、その豚骨ラーメン店『ぶたまるき』はある。そこは、これまで“TRYラーメン大賞”を4度受賞した『なんつッ亭』の本店が創業した場所(現在は近隣に移転)だ。数十年来の豚骨ラーメンファンが、食べて涙するうまさだという『ぶたまるき』の珠玉の一杯をご紹介しよう。

松橋厚店主がわずか2か月でオープンした奇跡の物件

『ぶたまるき』の松橋厚店主(左)と『なんつッ亭』を創業した古谷一郎さん(右)。古谷さんが着ているのは、自作の『ぶたまるき』Tシャツ

2024年9月にオープンした豚骨ラーメンの新店『ぶたまるき』は、長年『なんつッ亭』で働いてきた松橋厚さんによるお店だ。創業者にして「うまいぜベイビー」のキャッチコピーで全国に知られる古谷一郎さんにほれ込み、24年前に同店で初めてラーメンの修業を始めたという。

「24年前に情報誌『TOKYO☆1週間(現在は休刊)』を見まして、そこで『なんつッ亭』がTRY(Tokyo Ramen of the Year)の豚骨ラーメン部門最優秀賞を獲得していたので、地元茨城から食べに来ました。衝撃的においしくて、帰りの電車でまたたべたくなるくらいで、このラーメン屋で働きたいと思ってすぐに手紙と履歴書を書きました」

はじめは人手は足りているとの話だったが、無料でもいいから面接してほしいと話すと「週一なら入れるよ」ということで、なんとか採用が決まった松橋さん。そこで近くに引っ越したところ、ちょうど欠員ができてメンバー入り。

『ぶたまるき』の厨房

古谷さんの持つ「ラーメン作りの情熱」を間近で見ながら、いつか超えたいと思って修業を続けた。それ以来2024年の初旬まで勤めていたが、新しいことを始めるために退職したという。

物件を探しているときに奇跡的に巡り合ったのが、古谷さんが『なんつッ亭』を創業した跡地にある現在の物件だ。「見つけた時はすでに3人が手を挙げていて、ここでやるのは無理かと思いました」という。

しかし、松橋さんの創業の地への想いが届いたのか、縁がつながり松橋さんが使用できることになった。

6月いっぱいで前のオーナーが店舗が出たときは、閉店した状態のままで大量の食器などが残されたまま。ごみ捨て、内装の変更及び塗りなおし工事を経て、2024年9月のオープンにこぎつけたという。

師匠の古谷さんは、松橋さんを「同志」と呼び、この『ぶたまるき』を応援している。取材当日は自作の「ぶたまるきTシャツ」を着用。プリントではなく刺繍のロゴが付いていて、当方は最初スタッフウェアかと思ったほどの高い完成度であった。

黒マー油豚骨が激うまの『黒らーめん(930円)』

『黒らーめん(930円)』

『ぶたまるき』の看板商品が、この「黒らーめん(930円)」だ。お店を始めるにあたって大将(松橋さんは古谷さんをこう呼んでいる)に黒マー油を使うことを許可してもらい、かつて大将が完成させた原点の味を目指して作っている豚骨ラーメンだ。お店で毎日炊きだしている豚骨スープの深い味わいが楽しめる一杯。

しっかりとした歯ごたえの麺は、松橋さんが毎日お店で打っている自家製。あえて旧式の機械を購入し、かつて大将が教えてくれた作り方をベースに、粉の配合には自分なりのアレンジも加えて作っているという。

『黒らーめん』の細麺

黒マー油がかかったスープは、食べ進めるごとに豚骨スープとマー油がまじりあっていき、また違った味わいへと進化していく。麺とスープにむしゃぶりついていて出てくるのは、シンプルに「うまい」という言葉だけ。

細麺は、かみしめるとしっかりとした弾力があり、噛むほどに小麦のうまみが広がっていく。麺好きにはたまらない味わいだ。ネギものりもスープにベストマッチで、大きなチャーシューは満足感の高い仕上がりとなっている。

用意されるトッピングも豊富で、味付玉子やもやし、白ねぎor青ねぎが選べる。

「20年前に実は通ってたんだよ」というお客さんが、このらーめんを喜んで食べたという話もあり、創業当時の『なんつッ亭』を目指しているという熱意は確実に伝わっているのではないだろうか。

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しょうがと玉ねぎがよく似合う魚介豚骨『ぶたの海(930円)』...
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おとなの週末Web編集部 深田
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