山形県南陽市宮内に鎮座する熊野大社では、月に一度、お月さまの力を借りて良縁を願う祈願祭「月結び(つきむすび)」が行われています。2025年10月は5日の日曜夜に開催されます。知る人ぞ知る、この祈願祭には、全国から多くの参拝者が訪れ、添乗員付きの女性限定の旅も企画されるなど、人気を博しています。秋は特に月が美しく見える季節。「すてきな人と出会いたい」「愛する人と結ばれたい」「仕事で良き出会いが欲しい」。それぞれの願いを胸に、いざ山形へ。
1200年の歴史、由緒ある神社に隠された「三羽のうさぎ」
熊野大社は、和歌山県の「熊野三山」=熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)・熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)・熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)=と、長野県軽井沢町にある熊野皇大神社(くまのこうたいじんじゃ)と共に、「日本三熊野」に数えられ、平安時代から信仰を集めてきました。
創建は、806(大同元)年。天皇や法皇、名将たちの恩恵を受け、1200年を超える時を受け継がれてきた由緒ある神社です。
石段を登ると、山形県内最古とされる茅葺屋根の立派な拝殿が姿をあらわします。どこか懐かしさを感じる境内には三十柱の神様がお祀りされていて、あらゆる願いを叶えてくださいます。
本殿裏に隠し彫りされた「三羽のうさぎ」を見つけることができた人は、良縁に恵まれるという言い伝えがあるんですよ。
熊野大社には、素敵な挿話が伝わっています。雨上がりの満月の日、水面に浮かんだ月にうさぎが映し出され、風で揺れる月とうさぎの姿から「波にうさぎ」と呼ばれるようになったとか。このお話が、隠し彫りにも繋がっているようです。
月結びの神事といい、ロマンティックですね。
神さまは「果物みたいに成(な)る」
この熊野大社に祀られている神さまは、イザナキノミコトとイザナミノミコト。「むすひ」の神さまとしても知られています。
皆さんは「むすひ」という言葉をご存知でしょうか?
熊野大社の北野達(とおる)宮司さまが、「むすひ」について、教えてくださいました。
「目の前にある岩に長い年月が経つと、自然に苔が生えますね。その命の誕生を、古代の人々は『むす』と表現し、命の働きかけをなさる大いなる存在を示す言葉『ひ』を加えて『むすひ』と呼び、神さまとしてお祀りしました。神さまというのはつくられた存在ではなく、葡萄や林檎が成(な)るように自然の営みとして成ったのですよ」
「むすひ」の神さまであるイザナキノミコトとイザナミノミコトが結婚し、日本の国土が誕生したというのが、日本神話における成り立ちです。
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