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全店実食調査!『おとなの週末』が自信を持っておすすめするお店をご紹介します。今回は、東京・早稲田の老舗居酒屋『志乃ぶ』です。

学生街に佇む宿木で味わう、粋な風情

都電の停留所からすぐの細い路地を入った先に、赤提灯が並んでいる。ここは昭和29年に初代の女将が始めた居酒屋で、今から30年ほど前に縁あって近田さんが引き継いだ。

白木のカウンターの隅で静かに出番を待っているのがおでん。“味を変えないでね”という初代の言いつけを守り、カツオや昆布、煮干しから丁寧にダシをひき、塩で味を調える。茶色く見えるが実は醤油は一滴も使っていない。

おでん3品600円〜

『志乃ぶ』おでん3品 600円〜 日本酒やみりんを効かせたほんのりとした甘みが酒を進ませる。写真は大根、玉子、ロールキャベツ。他に練り物など種類豊富に用意

営業を終えると半分だけ残し、翌日新たなダシを足すのも昔から変わらぬスタイルで、積み重なった具材のエキスとたっぷりの酒と味醂がまろやかなコクを生んでいる。味の染みた大根や厚揚げをつつきながら、かたわらに置くのは灘の酒、白鶴。杉の四斗樽から片口を介しヒノキの枡へと注がれたそれを含めば清らかな香りが口内をそよいだ。

そんな味と風情を求めてやってくる客の中には、早大職員や卒業生も大勢いて、歴代のアルバイトもみな早稲田の学生さん。祖父と孫ほど年の離れた常連OBとのやりとりを眺めているだけでもほっこりするし、昭和から令和と世代を経ても変わらぬ風通しの良い校風に憧れる。帰って来る人、飛び立っていく人。

近田さんは日々、淡々と仕事をこなしながらこの学生街に佇む宿木を守っていた。

『志乃ぶ』店主 近田千秋さん

店主:近田千秋さん「お酒とおでん&おつまみで、ゆったり過ごして!」

『志乃ぶ』肌触りの良い白木のカウンターや店の風情も創業当時のままの姿を残す

早稲田『志乃ぶ』

[店名]『志乃ぶ』
[住所]東京都新宿区西早稲田1-19-17
[電話]03-3203-1648
[営業時間]17時〜22時(21時半LO)
[休日]水、日・祝
[交通]東京さくらトラム(都電荒川線)早稲田駅から徒歩1分

※画像ギャラリーでは、旨みたっぷり「牛もつ煮込み」の画像がご覧いただけます。

おとなの週末2025年12月号は「冬の温蕎麦」

『おとなの週末』2025年12月号

撮影/浅沼ノア、取材/菜々山いく子
月刊情報誌『おとなの週末』2025年10月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「神保町・御茶ノ水の老舗5選 長年、学生とサラリーマンの胃袋を支える名店揃い」では、歴史と文化薫る街で、ノスタルジックな雰囲気が漂う洋食店やレストラン、和食店を見つけました。

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