銀座のブランドショップ通りにある箸店には、“一膳”の箸を求めて古今東西からお客が集まる。販売だけでなく、箸文化の髄を伝えようとする箸マスターにどんな風景が見えているか伺った。
銀座で売れるお箸はトレンドを反映する
「八角形で食い先は角があり、細い箸が流行っています」
「滑らないブームですが、それを優先しすぎた加工だと口当たりが悪くなる……一長一短です」
「今や外国人に『お箸が上手ですね』は失礼にあたります。当たり前に使える時代が来ました」
……など令和7~8年あたりの箸現場最前線の声を聞かせてくれるのは佐藤俊樹さん。銀座で箸店『銀座夏野』を開いている。
店先を覗いてみるとともかく、西洋人の客が多い。日本文化への興味の象徴が箸で、お土産に箸を求める眼差しが熱い。
箸バブルの時代を佐藤さんは、「西洋文化のカトラリーは、ナイフもフォークも同じものをみんなで使う。世界の1/3は箸文化圏ですが、日本の箸だけが『これは私専用の道具』とパーソナルな固有性を持ちます。そこに惹かれるようです。だから多くの方が名入れを希望されます」と分析している。
「今後は(チョップ)スティックと呼ばず、『HASHI』が世界の共通語として広まってほしい」
お箸はその端と端で神様と1対1でつながる道具。それが古来より、そして今も大切にしたい日本人の精神性だった。
「三田佳子さんのCMで『お箸の国の人だもの』というコピーがありましたが、お箸をたどると日本がわかります。日本以外の国は食べる道具を机に縦に置く。日本は横に置きます。あれは結界なんです。手前は人間の世界。お箸の向こうが植物の根や実や葉と獣の肉がある神の世界。その結界を恐る恐る外して食事をする。『いただきます』と」
深めれば民俗学や宗教学まですぐさま着いてしまうのが箸の世界。食が(そしてテーブルマナーが)街の文化を代表して表すことがよくわかる。
興味は尽きないけれど、佐藤さんは「お箸は体の器官だと思います」と話す。
「あなたが使いやすい箸が必ずあるので探してみてください。そして木箸と塗り箸、一膳ずつお持ちになると食卓が豊かになると思います。今年どうか、箸に興味を」
『銀座夏野』代表:佐藤俊樹さん
『銀座夏野』代表。箸の抒情性と歴史に惹かれて本職に。日本から箸職人、箸文化が消えないよう発信中。新しい箸がうまくいけるか、実食試験癖あり。
『銀座夏野』
[店名]『銀座夏野』
[住所]東京都中央区銀座6-7-4
[電話]03-3569-0952
[営業時間]10時半〜19時半(日・祝〜19時)
[休日]年末年始
[交通]地下鉄銀座線ほか銀座駅A2出口から徒歩3分
※東京スカイツリータウンソラマチ4階に『夏野』、青山には『夏野』のほか子供用箸『小夏』がある。






















