江戸時代から栄えていた人形町界隈は、路地を歩けば歴史を感じさせる老舗がそこかしこ。しかし今、オフィス街と住宅地が混在した落ち着きあるエリアに、勢いある新店が相次いでオープンしていた。中でも“名店の予感”を醸すお店をご紹介します。洋あり和あり、シックあり、カジュアルあり。夜だけでなくランチもあり。人形町の奥深さを味わってみてください。
ワインを持つ手がぐいぐい進む骨太のビストロ料理『Bistro tercera(ビストロテルセラ)』@人形町
オーナーはワインショップも営むソムリエ、シェフは「銀座レカン」など名店出身。縁あってふたりが交わり、誕生した話題の新店がここ。
「歴史あるこの街で僕らは新参者。だからこそ自分達らしい店を」。
さあどんな店かと言えば。フランスを中心としたナチュールワイン×骨太のビストロ料理、互いの味わいが心地よく響き合う美食空間、と書けばいいだろうか。とにかく街にとっても地元に人を呼び込むこの店の開業は朗報でしかない。
で、冒頭のシェフが27歳の若き実力者、田島優己さんである。意識するのは「フランス料理の伝統的な考え方はブレずに、いかにワインに寄り添う味を作るか」だ。それは王道の調理法から独自のアレンジを加えた味まで実に魅力的。
まあまずは鴨肉を見てほしい。しっとり潤いを帯びたロゼの火入れは完璧も完璧、クセがなく繊細な「近江鴨」に合わせてやさしく仕上げたオレンジのソースの組み立てにも唸る。
近江鴨胸肉ロースト(基本2人分)6600円、スープ・ド・ポワソン1600円

ちなみに食材は島根から届くものも多く、ワイン泥棒「シャルキュトリ盛り合わせ」は上質な「石見ポーク」の各部位をパテやリエットなどに、「スープ・ド・ポワソン」は漁師直送の魚をたっぷり使う。素材の選択、生かし方、味の組み合わせ、その全てに拍手を送りたい。これぞ期待の新星だ。
シェフ:田島優己さん「縁あって開業前に滞在した島根の食材を多く使っています」
[店名]『Bistro tercera(ビストロテルセラ)』
[住所]東京都中央区日本橋人形町2-11-8
[電話]080-6725-7280
[営業時間]18時~22時
[休日]月4回不定休
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A2出口から徒歩3分
和&洋をアレンジ、センス抜群の料理をナチュラルワインと『人形町cado(カド)』@人形町
小皿料理をひと通り楽しんだ帰り道、思わず口に出たのがこの言葉。ご近所さんがうらやましい~!
実は五反田に1号店があり、人形町は2店目の出店だ。コンセプトの「大人のワイン酒場」という基本軸は両店とも同じだが、料理はそれぞれのシェフの個性を生かした”味わい”だそう。
「派手さはなくてもじんわりおいしい味をイメージして作っています」と語るのは高橋惇シェフ。そのセンスがまあいいこと。
例えばこの日のカルパッチョは真鯛に生海苔のソースを、ホタルイカとカブのマリネにはナスのピューレを。
蛍いかとかぶのマリネ~茄子のピューレで1000円、蓮根とズッキーニのカポナータ800円、鶏せせりと菜の花のアヒージョ1300円、ウフマヨ~トラパネーゼソース400円、真鯛とマッシュルームのカルパッチョ~生のりソース1500円

シンプルな構成ながら、和の素材を洋の調理法で、またその逆もあったりして楽しいったらない。ポーションも多過ぎず少な過ぎずつまみに適量。
おまけにグラスワインが15種ほど揃うとくれば泡、白、赤と次々に手が伸びる。軽く1杯でもしっかり食べても、楽しみ方は気分次第!
シェフ:高橋惇さん「地域に愛される店にしたいと思っています」
[店名]『人形町cado(カド)』
[住所]東京都中央区日本橋人形町1-7-6HSビル1階
[電話]03-6822-0555
[営業時間]17時~23時(22時LO)※土・日・祝は15時~
[休日]月・他不定休
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A2出口から徒歩1分
魚愛あふれる店主の心意気に出合える名酒場『居酒屋ノスケ』@人形町
人形町は高級店が多い印象があり、どこか敷居が高く、縁遠い場所というイメージ。しかし、味はそのままにカジュアルに楽しめるのがこの店だ。
日本料理店が「居酒屋」を始めたらどうなるのか。その好奇心から、2025年11月に店をオープンさせた。調理するのは、『御料理 はませい』の若手料理人たちで、日本料理の技が光るひと皿を気軽に味わうことができるのだ。何といっても驚くべきはその価格。
「かしこまらず日本料理を自由に楽しんでほしい」と話すだけに、食材もお酒も質の高いものを揃えながらも、若年層でも通いやすいようになっている。
ノスケの酒肴盛り1人前1500円~(トマトのカクテル、煮玉子、海老の洋南蛮、蒸しあわび、ポテトサラダ)、カニ茶碗蒸し500円

安心して濃厚な肝ソースと一緒に蒸しアワビを食せば、噛むほどに旨みがあふれ日本酒がすすみ、一合があっという間になくなってしまう。
今後、料理もお酒もメニュー数を増やしていく予定だという。期待しかない新店だ。
料理長:井本諭さん「22時までお惣菜のテイクアウト販売もやってます」
[店名]『居酒屋ノスケ』
[住所]東京都中央区日本橋人形町2-1-7
[電話]050-1792-5162
[営業時間]17時~23時(22時LO)、日・祝:15時~21時(20時LO)
[休日]水
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A2出口から徒歩3分、半蔵門線水天宮前駅7番出口から徒歩1分































