扉を開けて足を踏み入れると、時の流れがふっと変わる。それはまるで、別世界を旅しているような ……。俗世と離れ、心ゆくまで過ごしたい6軒をご紹介します。
振り子時計の音が響く…50年前から変わらぬ風情『物豆奇(ものずき)』@西荻窪
飴色の艶を帯びた壁や柱にかかっているのは数えきれないほどの時計たち。そんな不思議な空間は、まるで異世界にあるどこかの家に迷い込んだ気分になる。
この光景、喫茶店好きの読者なら既視感を覚えるかもしれない。そう、ルーツは国立にあった名喫茶『邪宗門(じゃしゅうもん)』にあり。
かの店に惚れ込んだのが不動産業を営んでいた初代オーナー。古材やアンティーク家具を買い集め、そのノスタルジックな世界観を引き継いだ。それから少しして、ここを譲り受けたのが現店主の山田さん。ふと店内を見渡せばきちんと掃除が行き届き、開店から半世紀の時を経たとは思えぬほど整えられていた。
そんな場所で飲むブレンドは1杯ずつ豆を挽くところから始めるのも昔からのスタイル。モカをベースにした軽い酸味が心地良く舌を包んで、ほっと心を和ませる。
シフォンケーキ350円、ブレンド500円(セットで-50円)

ジャズの調べに混じって時折ボーン、ボーンと重低音を響かせる振り子時計が、今日も初代と2代目の想いを見守ってくれている。
[店名]『物豆奇(ものずき)』
[住所]東京都杉並区西荻北3-12-10
[電話]03-3395-9569
[営業時間]11時半〜19時
[休日]不定休
[交通]JR中央線ほか西荻窪駅北口から徒歩4分
いつもの日常を手放して心ほどける時間を過ごす『アール座読書館』@高円寺
棚にあった積読本と財布を持って電車に乗った。今日ばかりはスマホも家でお留守番。それもちょっとした冒険のようでわくわくしてくる。
急な階段を上がって扉を開けると、そこに広がっていたのは背の高い植物が生い茂る癒しの空間。日差しが入る窓側の席を選んですべり込んだ。
ここでのお約束は会話禁止。静かな店内にはページを捲る音が響いていて、こちらもそれに倣って物語の世界へひとっ飛び。思えば、なんて忙しない毎日を生きているのだろう。こうやって本に没入するのも本当に久しぶりのことだ。
ブラウニー350円、スパイス・チャイ800円
ふと机の引き出しを開けてみると、そこに現れたのが、なぜか岬のジオラマ。そんな遊び心にクスッとしながら隣の引き出しを見れば落書き帳。この席に座った、たくさんの人の想いが綴られていて、なんだか見知らぬ誰かと対話をしている気分。そうこうするうち、あっという間に陽も傾いてきた。
いつもの日常を手放してみる、大人にはたまにこんな時間が必要だ。
[店名]『アール座読書館』
[住所]東京都杉並区高円寺南3-57-6・2階
[電話]03-3312-7941
[営業時間]12時〜22時(21時半LO)
[休日]月(祝は営業、翌火休)
[交通]JR中央線ほか高円寺駅南口から徒歩5分
































