今、心地よい睡眠を得られていないのでは?と悩む人が増えている。そこで、そもそも質のよい睡眠とは何か?どうすれば快眠につながるのか?などについて日々研究を重ねる方たちにアドバイスを伺った。今回は、室町時代の創業から460年。睡眠環境の大切さを誰よりも長く調べ、訴えてきた会社『nishikawa』さんに睡眠に大切なものを教えていただきました。
『nishikawa』さん、教えてください。睡眠に大切なものって何ですか?「布団内の温湿度、そして体にあったマットレスや枕が大切です」
「人が快眠しやすい”布団内の温湿度”の目安があるのをご存じですか?我々の研究で導き出した数値は、”温度は33±1度、湿度は50±5%RH”です。これが眠りの快適さを決める大切な条件のひとつです」
永禄9年の創業からずっと、どうしたらすやすやと眠れるかを考えてきた会社。最初は蚊帳を作り、のちに布団に転じ、睡眠の総合メーカー&シンクタンクに。そこで研究を重ねる安藤さんはまず、そう語ります。
少し天気予報に似ていますね。布団内の気象条件みたいな感じ。
「ええ、そうなんです。心地よさにはいろんなファクターがありますが、この数字を参考に寝具を開発しています。昨今は、快眠のため、エアコンと加湿器の組み合わせを推奨しています。冬場は最低限10度以上、夏場は28度以下に設定する。その上で、布団の組み合わせを工夫して快適な環境を作るのが第一歩です。
例えば、夏場は、寝入り時と起床時だけクーラーをタイマーでつける人がいますが、あれは、クーラーが切れたタイミングで、眠りの質が下がるというデータがあります。冬場は布団をいくら重ねても、あまりにも部屋の温度が低すぎると鼻から冷たい空気が入って体が冷えます。睡眠中は意識がないのですが、温度変化には人体は敏感なんです」
急に思ったんですが、こちらで働く方はよく眠れていそうですね。
「自宅の睡眠環境が整いすぎて出張先で眠れなくなったという社員もいます(笑)。それは置いておいて、寝室環境や代謝などもふまえ、一人ひとりにおすすめの掛け布団を教えてくれる『掛けふとんデジタル診断システム、スリープインデックス』も稼働中です」
快眠のために、掛け布団と敷き布団はどちらが大切なんですか。
「片方が欠けるとうまく眠れないです。敷き布団はその人の体型、例えば背中の形、お尻の形が関係します。ぺしゃんこの人もいれば、凹凸がある人もいて。硬い床だと出っ張ったお尻が当たって痛いのはわかりますよね。お尻に圧を集中させず、上手に全身に分散させたい。それを体圧分散性と言います。
ただ分散だけすればいいわけではなく、立ち姿をそのまま後ろに倒した形をキープできる力=寝姿勢保持性。この両方が備わることが大切。また加齢で体型が変わると、昔よく眠れた寝具が眠れなくなったり、気に入る寝具が変わったりすることがあります」
そうだ、nishikawaさんといえば、大谷翔平選手との契約が長い。彼が使う[エアーSX]マットレスに横たわらせてもらいました。
柔らかいのに硬い。接点では柔かく奥でしっかりと硬く支えてくれる感触だ。ここで大谷選手は成長ホルモンを出しているのか…(想像中)。
最新モデルでは、これに厚さ2ミリのセンサーが内蔵されていて、睡眠状態のグラフをスマホに送れる。goomoという睡眠アプリと連動し、自律神経バランスの働きや無呼吸リスクまで計測できる。睡眠状況に応じた行動の提案をする仕組みをこちらでは開発している。ここまで来た。なんと、寝具の未来像は「アドバイスしてくれる寝具」だった。
最後に、深夜に行われるWBCでの大谷選手もたっぷりと観たいので、夜更かしのコツを教えてください。
「翌日どうなってもいいなら、十分昼寝をとる。15時以降に昼寝をとると夜に目が覚めやすくなります。これは劇薬的方法になりますね(笑)」。
睡眠リズムを崩さないために、できれば翌朝は普段と同じ時刻に起きる。そして、12~15時頃に15~30分程度のお昼寝をとり日中の眠気を抑え、その日の夜は夜更かしせず早めに布団に入る。これが私がお伝えできる最強技ですね!」
Q.アイマスクがどれほど有効かを知りたいです
A.[エアーリカバリー]スリープテックウェアアイマスク(3850円)かなりおすすめで私も毎晩使っています。ひとつは光を遮断すると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が抑制されにくくなるので、眠りやすくなります。もうひとつ、温熱アイマスクがよくて、目元を温めると眠るときに体をリラックスさせる副交感神経が働きやすくなる効果があります。眠れない時はアイマスクもぜひお試しください。
Q.布団に入ってもなかなか眠れないときの対策
A.寝入り時に眠れないこともあれば、途中で目が覚めることもあるでしょう。そのときは、一回、布団から出ることを推奨します。薄暗い環境で温かい飲み物を飲んだり、アロマを嗅いだりするのが◎。心理学的に「布団=眠れない環境」と条件付けされるのがよくないんです。
Q.目覚まし時計の上手な使用テクが知りたい!
A.起きるときは副交感神経から交感神経への交替を促します。いきなり変わると負担があるので、徐々に音量が大きくなるものを推奨します。スヌーズ機能の多用は、私は推奨しません。5分間ずつ3回伸ばすよりも、連続して15分寝たほうが、体にずっといいです。
『nishikawa』安藤翠さん
日本睡眠科学研究所所属。全米ヨガアライアンRYT2000の資格も持つ。
撮影/谷内啓樹、取材/輔老心、イラスト/倉本トルル
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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※月刊情報誌『おとなの週末』2026年4月号発売時点の情報です。
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