ツルの町で「いずみステーキ親子ごはん」(肥薩おれんじ鉄道・九州新幹線)/2015年撮影
1万羽を超えるツルの飛来地として有名な鹿児島県の出水(いずみ)、ここの名物料理が「いずみステーキ親子ごはん」。 もちろんツル料理ではなくて、地元名産の鶏を使っています。 10月中ごろに「鹿児島県の出水平野に今年も鶴が飛来してきた」とニュースに映っていました。 南国九州にも秋が来たと実感させてくれるニュースです。 そこで思い出したのは「いずみステーキ親子ごはん」でした。
出水市は鹿児島県の北部で、熊本県境近くの町です。 九州新幹線の出水駅が玄関口ですが、新幹線ができる以前は鹿児島本線の駅でした。 在来線は現在肥薩おれんじ鉄道という第3セクター鉄道に引き継がれていいて、 1~2両の小さなディーゼルカー、ローカル線気分で旅のできる車両です。
九州新幹線にはN700系と800系の2種類の車両が走っています。 せっかく乗るならば、“800系”はいかがでしょうか? これは九州新幹線のオリジナル車両で、東京ではもちろん、大阪でも見ることはできない珍しいタイプ。車内には木材が使われてゆったりした内装になっています。 外観も芋虫みたいで、ちょっとかわいいスタイルです。 (時刻表を見て、名前が“つばめ”か“さくら”で、6両で運転と書かれているのがこの車両。 ちなみに8両で運転されているのはN700系)
駅前も、田んぼも……、まさに“ツルづくし!”の出水
どちらの鉄道でも博多方面から出水駅に向かい、到着する直前に出水平野が見えてきます。 この田んぼに、運がよければツルの姿を見ることができます。 駅に着けばコンコースにもツルのモニュメント、駅前にもモニュメント……、駅の売店の名前は“飛来里(ひらり)”。 もう、そこらじゅうツルづくし。出水が“ツル押し”なのがよ~くわかります。
飛来地で見たツルの群れ。もう、たいへんなことになっています。
ツルの飛来地は出水駅から車で20分ほどの海に近いエリア。 飛来数は例年1〜2万羽、日本一の飛来地です。 ピークとなるのは12月~1月。トリの病気が広がらないように、以前に比べて集中しないようにはしているようですが、もうびっくりするくらいの数で、じっと見ていると目がまわるほどです。 こちらに飛来するツルの種類は、北海道の“タンチョウヅル”より小さ目の“ナベヅル”と“マナヅル”の2種類がほとんど。 それに混ざって“クロヅル”“カナダヅル”“ナベクロヅル”が数羽程度。 飛来地から車で10分ほどのところに、鶴の博物館“クレインパーク”がありますので、こちらで勉強しましょう!
さて、ひとしきりツルを楽しんで駅に戻って食事です。 出水での食事のオススメは「いずみステーキ親子ごはん」。 歴史は比較的新しくて2011年に登場、現在4件の店が参加しています。 パンフレットを見ると、新しいだけにルールがはっきりと決まっています。 ・出水産の特別飼育鶏「南国元気鶏」もしくは銘柄鶏「赤鶏さつま」を使用する。 ・お客さんがミニ鉄板の上で焼くスタイルとする。 ・モモ肉(70グラム)、ムネ肉(70グラム)、地場産の旬野菜を用意する。 ・出水産の若鶏が生んだ鶏卵を1個つける。 ・卵かけごはんのスタイルで食べてもらう。 ・価格は税込み1300円以下とする。 ……などなど16項目にも及びます。 ルールはしっかり決まっていて、オリジナルのタレやサラダなどそれ以外はお店ごとに自由にできるので、どのお店に行くか選ぶ楽しみもあるんです。
[いずみステーキ親子ごはん]
魚松の「いずみステーキ親子ごはん」に舌鼓!
このときは、オリジナル燻製に惹かれて“魚松”にお邪魔しました。 注文はもちろん「いずみステーキ親子ごはん」。 出てきたメニューは ・鶏の燻製 ・焼き鳥 ・お吸い物 ・モモとムネの鉄板焼 ・卵とごはん ・デザート、コーヒー これで、2015年当時1240円(税込)! まずは品数と量と値段にびっくりです。 香ばしい燻製に、ほっくりとした焼き鳥。 ここまででビール2杯はいけます!
{“id”:13,”sizeSlug”:”full”} –> {“id”:14,”sizeSlug”:”full”} –> {“id”:15,”sizeSlug”:”full”} –>メインの鉄板焼は、しっかりとした味の鶏肉の焼きたて。 それだけでも十分なのに3種類のつけタレを用意。 合計140グラムですが、まだまだ行けそうです。 そしてシメは出水産のごはんに出水産のタマゴをかけた“TKG”。 このタマゴ、今では珍しい2黄卵(……の確率が高いようです!)。 そしてタレは、この料理用に作られた“鶏ダシTKGの素”。 コクがあって、おいしいご飯になります。 九州では鶏料理が多くていろいろ楽しめますが、この「いずみステーキ親子ごはん」は、いろいろな鶏の食べ方ができて、実に楽しい料理でした。 次回来るときには、他の3軒から選んで行ってみます。
佐々倉実(ささくら みのる) 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。 主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など
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