ブーランジェリーがひしめく世田谷区。その数は200軒を超えるとも言われています。また、年に1度「世田谷パン祭り」という日本最大級のパンイベントを開催。“パンの街”といっても過言ではありません。そのなかで有名店が集まる、世田谷線沿いと三宿エリアでとびきり美味しい店を探してきました!
画像ギャラリー世田谷おすすめパン地図
世田谷エリアの本当に旨いパンの情報をまずは地図でご紹介します。
屈指のパンの街で 激ウマ店を探せ!
食パン1斤丸ごと一気に完食は当たり前の私、肥田木にピッタリのパン企画が舞い込んだ。つい最近も自宅近くの数軒を回って趣味のパン食べ比べをしたばかりだが、今回は三宿から若林周辺がターゲットだ。おーし、心も胃袋もやる気満々! まずは世田谷線沿線へGO。
(撮影/小澤晶子 取材/肥田木奈々)
~情熱あふれる 名店を各駅で発見「世田谷線」~
若林で新たに出発 夫婦二人三脚の 新生ナイーフ
実は気になっている店があった。三茶から東急世田谷線でふたつ目の駅、若林にある『ナイーフ』。もともと中目黒にあった人気店で、10年ほど前に一時閉店し、2015年に新天地で再オープンしたのだ。
赤い扉の小さな店を覗くと、ガラスケースに並んだパンに目が釘づけ。とりわけ気に入ったのが地名を冠した『若林ブレッド』だ。外側はパリッと中はモチモチ、むぎゅっとした弾力がヤミツキになる旨さ。中目黒時代は数々の星付きレストランにも卸していた名シェフだけあって、その腕の良さにいやはや感服だ。
接客を担当する上品な奥さまと、パン作りに専念する職人気質のシェフ、夫妻で切り盛りする雰囲気もいい感じ!
『ラ・ブランジェ・ナイーフ』
食事としてのバゲットなど基本のパンのスタイルは同じだが、「新しい技術を得て製法を変えた」と中身は進化。国産小麦にほぼ切り替え、自家製天然酵母を駆使した味はどれも仕事への実直な姿勢そのものだ。
専門家も唸るしっとり食パンは必食の逸品
食パンが美味しかったと言えば三茶から歩いて8分の『ヌクムク』。いえね、食パンにハマってるもんで、調査店では全部それを食べてみたのです。さてココのスペシャルな食パンはしっとりを通し越して、もはやプルップルでみずみずしい食感。本誌連載中の女優の木南晴夏さんもお気に入りだそう。てことは私、美人女優と同じってことね(嗜好は)。
『ブーランジェリー ヌクムク』
シンプルな食パンから惣菜系まで、店内にはバラエティ豊かなパンが揃う。
ズラリと並ぶ美味の共演に毎日でも通い詰めたい
世田谷線ではほかに松陰神社前駅にある昔ながらの老舗『ニコラス精養堂』やアットホームなパンが並ぶ若林の『ピーターセン』なども調査したが、ぜひ足を運んでほしいのは……松陰神社前の『スドウ』だ。こちらも予約1ヵ月待ちの食パンが有名。でも人気の理由はそれだけじゃない。ソーセージや野菜を豪快に盛り付けたタルティーヌや、フルーツたっぷりのデニッシュなど、見て興奮、食べて感動のパンが目白押しなのだ。
あーもう、ここでは魅力を書き切れない!ぜひご自分の目で舌で体感してくださいませ。
『ブーランジェリー スドウ』
▲目指すのは「幅広い年齢層に楽しんでもらえる、見た目もきれいで食べても美味しいパン」。香り高く滑らかな口どけの食パンはなんと予約1ヵ月待ち。それを使ったハニートーストもすぐ売り切れてしまうほど!
~池尻大橋駅を中心に良店が集合「三宿」~
お次は池尻大橋近辺の三宿エリア。ここは駅近の『TOLOPAN TOKYO』に、ズキュンと恋に落ちたような衝撃を覚えた。例えるなら、ドンピシャタイプのオトコに出会った時の気分って感じ?とにかくパンの旨さが全部完璧なのだ。
常識を打ち破る独自の製法で実現した香りと食感
ガラス細工のように繊細な生地の看板商品クロワッサンをはじめ、肉がゴロッと入ったカレーパン、サクサク生地に甘いリンゴとパイナップルが乗った「アップルパイン」なんて、指に付いたクリームまできれーに舐めちゃうほど。甘いものが苦手な私にとってはすごいことなのです!
改めて取材に伺った際に聞くと、シェフの田中さんがパンに目覚めたのは10代の頃だったそう。ドイツの伝統菓子パン、シュトーレンを焼いて近所にふるまったらすごく喜ばれ、「パン屋っていいな」と思ったのがきっかけとか。少年のような笑顔でアツくパンを語る姿が印象的で、いい店だなあと再確認。
『TOLOPAN TOKYO』
▲クロワッサンをはじめ、田中シェフおすすめパン。マテ茶で炊いた粒あんの洋風大判焼き「モダアン」やカルヴァドス(リンゴのブランデー)で炒めた紅玉とパイナップルが入る「アップルパイン」などここでしか味わえない品ばかり。
「クロワッサン」 270円、「モダアン」 190円、「アップルパイン」 370円、「イチゴのノアレザン」 340円、「パンオショコラ」 240円、「シナモンロール」 320円、「カレーパン」 210円
仕込みの際、生地に折り込むバターが溶けると食感と風味が損なわれるため、独自の製法で5時間かけて低温発酵させるという。ほかにも絹豆腐と豆乳で作るシフォン型食パンなど、とにかく探究心とアイディアに脱帽。どれを味わってもパンに注ぐシェフの情熱が伝わってくる。
2軒隣にサンドイッチ店もあり
『TOLO SAND HAUS』
名店で腕を磨いたシェフが配合を見直しリニューアル!
名だたる有名店でシェフ・ブーランジェをしていた志賀さんが06年にオープンした『シニフィアン シニフィエ』も忘れちゃいけない。世田谷公園のすぐ近くにある本店はオシャレなブティックのよう。
店の代名詞ともいえるバゲットや、フルーツやナッツが入ったハード系のパンが整然と並べられ、どれにしようか選ぶのも楽しいひと時だ。値段は若干高めだが、こだわりの材料や手間を考えたらそれも納得。味もピカイチ!
『シニフィアン シニフィエ 世田谷本店』
数々の名店でシェフ・ブーランジェを務めた志賀勝栄シェフの店。
パリの味を再現した本場仕込みのバゲットサンド
最後は池尻大橋からも三軒茶屋からも徒歩10分ほどの『ボネダンヌ』。わずか3坪ほどの小さな店が、私をトリコにしてしまった。何てったってパリの街角にあるようなアートなインテリアが好み。
でもって注文してから作ってくれるバゲットサンドがいい。「ジャンボンフロマージュ」はハムとグリュイエールチーズ、削りバターを挟んだもので、パリで修業した店主が記憶の中の感動の味を再現したんだって。店を出るやガサゴソと袋を開けてかぶりつくと、パリッとした皮のバゲットにハムのコクとチーズの塩味、バターの香りがこの上なくいいバランス。うう、旨いよお。
また好みのオトコのような店を見つけてしまった。こりゃしばらく世田谷エリアに通っちゃいますな。
『ブーランジュリー ボネダンヌ』
ここは世田谷の小さなパリ。20代で渡仏して修業した『ブーランジュリー ボネダンヌ』店主の荻原さんが焼く本場仕込みの味が評判だ。
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