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創業100年超の老舗麺類食堂「森田屋」の絶品うどん&かつ丼

今、世の中は新元号「令和」の話題で持ちきり。
名古屋市東区赤塚町に明治、大正、昭和、平成、そして令和と、5つの時代を駆け抜けた店がある。
創業1888(明治21)年の麺類食堂『森田屋』がそれだ。老舗だからといって敷居が高いわけではない。
131年間にわたって地元の人々に愛されているのだ。

「戦後は、うどんやそば以外にラーメンやチャーハン、オムライスも出していたようです。
お客さんの7割は出前だったそうです。45年前に店を改装したのを機に、メニューをうどんとそば、丼物に絞りました。
あ、それでもラーメンは30年前くらいまではやっていました」と話すのは、
4代目の店主、玉津亮さん。

自慢のうどんは、北海道産の小麦粉を使用した自家製麺。
やや細めに切ってあるのが特徴で、噛むごとにしっかりと小麦の味が広がり、もっちりとした食感が楽しめる。

これから暑くなるにつれて注文が増えるのが、冷たいつゆで味わう「えびおろしうどん」(1080円)。
たっぷりの大根おろしと、車海老とアスパラ、カボチャ、ナスの天ぷらがのるボリューム満点の一杯だ。

薄衣で揚げた天ぷらは別皿で出される。
1つずつつゆに浸して食べるのもよし、全部のせてつゆに染み出す旨みを楽しむのもよし。
つゆはムロアジとカツオをベースにたまり醤油をはじめ、数種類をブレンドした醤油を合わせてある。
しっかりきいたダシが、麺の美味しさを引き立てている。

老舗麺類食堂の「森田屋」を語るうえで、絶対にハズせないのがかつ丼!

もうひとつ、『森田屋』で絶対に注文したいのが、「かつ丼」。
一見、ごくフツーのかつ丼に思えるが、まったく違う。
揚げたとんかつをご飯にのせて、その上から丼つゆで煮込んだフワフワの卵をのせてあるのだ。
とんかつを煮込んでいないので、衣のサクサク感が楽しめるのが特徴だ。

最近では、東京でもこのタイプのかつ丼を出す店があるらしい。
“かけかつ丼”と呼ばれているそうだが……。
『森田屋』に限らず、名古屋の麺類食堂では、昔からこのスタイルが多い。
それはなぜか?

「出前が大きく関係しています。
たとえば、かつ丼5人前の注文が入ると、底の浅い丼鍋でとんかつを1人前ずつ煮込んでいては時間がかかります。
そこで人数分の卵だけを丼つゆで煮込めば、鍋一つで済むわけです。
作り手側の事情と思われるかもしれませんが、揚げたての衣が楽しめますし、注文先へ届けられるころには、卵が吸った丼つゆがいい具合にご飯に染みますからね」と、玉津さん。

『森田屋』のかつ丼は、信州産のSPF豚を使用。肉の旨みと甘みがしっかりとしていて、これをラードで揚げるというからたまらない。
丼つゆはやや甘めの味付けながらもダシの旨みがしっかり。
フワフワの卵をたっぷりとかつに絡めて食べると、肉の旨みと相まってご飯がすすみまくる。
名古屋的合理主義から生まれた名古屋の麺類食堂のかつ丼は、ひと味もふた味も違うのである。

森田屋
[住所]愛知県名古屋市東区赤塚町15
[電話番号]052-931-6848
[営業時間]11時~15時
[定休日]日曜・祝日

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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永谷正樹
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