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とんかつ好きなら誰もが憧れる高級とんかつ。それは一体、如何なるものか? ちょっぴり高いけど払うだけの価値があるその魅力を確かめに、潜入取材してきました。

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『とんかつ成蔵』@南阿佐ヶ谷

白雪の衣から現れる淡い桜色の至宝。味わった者だけが知る究極のとんかつ

TOKYO Xシャ豚ブリアンかつ3個(180g)定食 (5780円)
初々しい桜色の断面に悶絶。サクッと口溶けの良い衣のファーストインパクトの後、舌に吸い付くようにしっとりと柔らかい肉の旨みが押し寄せる。
ものすごく上質な究極のヒレカツサンドを食べているかのようだ

伝説の男が再始動 新生”白い芸術”とは

これを読んでいるあなたは無論、とんかつ好きに違いない。ならば聞こう。

とんかつに、いくら払いますか。

この国にはあるのだ。高くとも食べたい最強の”かつ”というやつが。

高田馬場で大行列を作り、業界に革命を起こした伝説店の主が、一時休業後、再始動。彼が揚げる”白い芸術”の真髄が知りたくて、南阿佐ヶ谷に向かった。

店主 三谷成藏さん
「脂の旨さと繊維の細かい赤身の質の良さから『TOKYO X』を選びました」

初めて食べた時の、あの心震える感動が忘れられない。白雪のような衣が衝撃だった。他の追随を許さない旨さだった。

その店は『成蔵』。店主の三谷成藏さんは高田馬場の店を弟子に任せ、今、新天地で高みを目指している。

主に扱うのは最高級ブランド「TOKYO X」。 これを粗めの生パン粉で優しく包み、内臓を包む腸間膜油で揚げる。

「わざと白い衣にする訳じゃないんです。きれいな油と低温で揚げるとこうなった(笑)」。
全ては味を追求した結果だ。

「変えたのはパン粉を振るいにかける手間。細かい粉が省かれ、より花が咲くような衣になった」。

コクのある腸間膜油のラードはこまめに変えて常に新鮮なものを使うよう心掛けている


三谷さんが「一番難しい」と言うのがパン粉を付ける工程。
食パンの中心部だけを使う生パン粉は糖分控えめを特注。
宝物を扱うようにふわっと肉にまとわせる

揚げ方も調整した。鍋に入れる肉は3枚まで。油に余白が増えることで四方から均一に火が入り、蒸したようにしっとり仕上がるからだ。

110℃の低温でロースは約15分、ヒレは約10分かけてじっくり揚げる。様子を見ながら返すのは1回だけ

静かに泳がせるように揚げ、余熱で数分。

目の前に、あの白い芸術が現れた。

TOKYO X特ロースかつ(180g)定食 (4980円)
脂身と赤身のバランスがいい「TOKYO X」ロース。肉にパン粉を植え付けるようにまとわせて揚げるのがコツ。
低温で15分、余熱で7~8分休ませて仕上げる。まずはそのまま、岩塩のほかにゴマ油&塩で食すのもおすすめ

何もかもがパワーアップしていた。

ピンと立った衣は淡雪の如き口溶け。スッと歯が入る桜色の肉は驚愕の柔らかさ。
ローストポークのように口を潤す豊満な旨みに、自然と目が閉じる。

大げさかもしれないが、この感動を知るか否かで人生が変わる気がする
とんかつ好きのあなたにこそ、確かめてほしい。

[住所]東京都杉並区成田東4-33-9
[電話]03-6882-5214
[営業時間]11時~14時(13時半最終入店)、17時半~20時(19時半最終入店)
[休日]不定休
[交通]地下鉄丸の内線南阿佐ヶ谷駅1出口から徒歩6分

『銀座かつかみ』@銀座

コースで知る部位の旨さに目からウロコ。豚肉の新たな魅力を体感せよ

ひれかつ(Aコース 5500円)
前菜の後、揚げ物はヒレからスタート。断面にうっすら浮かぶ肉汁を軽く吸ってからいただく。肉質はきめ細やかだ。

かつの魅力をコースで堪能 感動の連続が待っている

業界は豚肉の部位食べ比べの波がきている。
コース専門の珍しいとんかつ料理店として2019年夏に開店したのが『銀座かつかみ』。

寿司や天ぷらと同じように、その日その時に一番美味しい瞬間のかつを部位ごとに味わってほしい、そんな想いからカウンター中心のコース形式で客を楽しませるという。

何やら面白そうだ。胸躍らせ、扉を開けた。

Aコース 5500円
1.前菜(トマトの出汁サラダ)
2.ひれかつ
3. 本日の赤身のかつ(1)(ナカニク)
4. 本日の赤身のかつ(2)(ウチモモ)
5.メンチカツバーガー
6.口直し(パイナップル100%ジュース)
7.生車海老のエビフライ
8.ロースかつ
9.肩ロースかつ
10.お食事(カツカレー)

前菜(トマトの出汁サラダ)


本日の赤身のかつ(1)(ナカニク)
赤身は日によって部位が変わる

本日の赤身のかつ(2)(ウチモモ)


メンチカツバーガー


口直し(パイナップル100%ジュース)
中盤でパイナップルジュースが出るのは酵素で胃袋を調整して後半も楽しめるよう

生車海老のエビフライ


ロースかつ
ワサビを添えて

肩ロースかつ
トリュフバターを添えてひと工夫

お食事(カツカレー)
〆は数種から選べる。
写真は人気のカツカレーで、あっさりしたルウにコクをプラスするため脂多めの「はね(ロースとヒレの間)」の部位のカツを乗せる

写真の定番コースは10品からなる。肉は脂と赤身にしっかりした旨みがある「米澤豚一番育ち」。つなぎの卵は贅沢にも奥久慈卵を使う。

人気のロースやヒレから、日によってシンタマ(モモ肉の中心部)といった希少部位、メンチカツ、〆はカツカレーなどが用意される。肉オンパレードの中盤に車エビが登場するのもニクいじゃないか。

完璧に計算された構成に脱帽だ。客はその流れに身を任せればいい。

料理長 小林久展さん
「お客様にしっかり肉の魅力を説明し、楽しんでもらえるよう心掛けています」

「米澤豚一番育ち」は脂がサラッとして香り高い。
基本は約160℃で8割程度火が通るように揚げて余熱で火入れ。
すぐカットすると肉汁と一緒に旨みも出てしまうためヒートランプの下で馴染ませる

料理長の小林久展さんは素材について肉のプロから徹底的に学んだ。だから季節で違う個体の水分量などを見極め、部位により揚げ方も変える

完成手前まで火入れしてヒートランプの下で休ませ、余熱で旨みのエキスを隅々に行き渡らせるのが基本。

「下味を付けないし、柔らかくするのに肉を叩いたりもしない。食材がいいのでほぼそのまま、本来の味を生かしています」

差し出されたヒレは、ロゼの断面に肉汁がキラキラと滲んでいた。「吸ってみてください」と言われるままチュッとやれば、旨みのジュースにイチコロ。

舌に直接肉が当たるようカットも工夫され、トリュフバターを添えた肩ロースなど部位別に食べさせ方も考え尽くしている。

パン粉は細かめを使用。衣は肉汁を閉じ込める役目もあり、剥がれないようしっかり付ける


ヒマラヤ岩塩などのほか、夜はバルサミコ酢入り特製ソースも用意

小林さんの自信に満ちた肉の説明も加わって、最後まで客を飽きさせない。

部位の魅力を知り、最高の瞬間を味わう喜び。とんかつは実に奥が深い。改めて、心に刻まれる時間だ。

[住所]東京都中央区銀座5-6-10銀座ミヤコビル5階
[電話]03-6263-8720
[営業時間]11時半~14時LO、夜は18時~、20時~の2部制
[休日]不定休
[交通]地下鉄銀座線銀座駅A1・B3出口から徒歩3分

撮影/鵜澤昭彦(とんかつ成蔵)、小澤晶子(銀座かつかみ) 取材/肥田木奈々
※店のデータは、2020年3月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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