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秋が深まり、寒さを実感する日が続くようになりました。服を重ねて「暖」を取ることに加えて、体を芯から「温」めてくれるような食べ物にも意識を向けたい季節です。そこで、体がポカポカして免疫力がアップし、健康への効果も期待できる「生姜」をオススメします。この秋刊行された『生姜屋さんとつくったまいにち生姜レシピ』(監修・GINGER FACTORY レシピ・こてらみや、池田書店・1430円)には、生姜の魅力が伝わるコラムや多くのレシピが紹介されています。『おとなの週末Web』では、その中から役立つ知識とレシピ3品を厳選し、特別に公開します。

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身近な食材「生姜」に秘められたチカラ

生姜には実に多くの体によい成分が含まれています。インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」では万病を治すものとして薬効が認められ、漢方薬では主に使われる薬の7割以上に生姜が含まれていたり。 

また、アメリカ国立がん研究所による「がん予防の可能性のある食品ピラミッド」のトップ群のひとつに生姜が挙げられています。最近ではアメリカ・ミシガン大学の研究で、生姜の成分によってがん細胞が自滅する「アポトーシス」という現象が誘導されることも報告されました。 

生姜の健康作用は非常に多くありますが、そのほとんどが「体を温める」という作用によるもの。生姜に含まれるジンゲロール、ショウガオールという成分にはそれぞれ、末消血管を広げて血流が促進したり、脂肪や糖質の燃焼を促す効果があり、それによって体温が上がるのです

生姜で体を温めれば免疫力もアップ!

体温が1℃上がると代謝が12〜13%ほど上がり、同時に免疫力も30%もアップするといわれています。その理由は、私たちの体内にある酵素の働きがよくなるから。酵素はあらゆる細胞をスムーズに働かせるためのキーマンです。白血球の働きをよくして菌をやっつけたり、食べ物の消化や吸収を促したり。その酵素が最も活発に働く温度は37〜40℃。体温が上がると酵素が活性化するので、免疫力がアップするのです。とくに最近はウイルスの感染予防などで免疫力の強化が叫ばれています。生姜を食べるだけで免疫力がアップするかも? と考えると、食べない手はないですね。

体温が上がると次々に嬉しい健康効果が現れる

生姜によって体温が上がると、他にも体に嬉しい影響がいくつも現れます。ダイエット効果、老化予防、うつ症状の改善といったものまで。代表的な作用を下にまとめました。

さらに生姜には、強い殺菌作用があるジンゲロン、抗酸化作用のあるポリフェノール、「気」の流れをよくする香りの成分シネオールなど、心身の健康と美容に欠かせないさまざまな有効成分が含まれています

生姜の根本的な作用

血管拡張・血流促進・体温め
辛み成分で血管が広がり血流を促進。血行がよくなり体温が上がる

殺菌作用
ジンゲロンのみならずジンゲロール、ショウガオールも殺菌作用が

抗酸化作用
抗酸化作用によってがん予防やアンチエイジングに役立つ

生姜の代表的な関連作用

酵素活性化・免疫力アップ
体温が上がると酵素が活発に働くので、免疫力が上がる

抗ウイルス
白血球の働きがよくなりウイルスや病原菌に対する抵抗力が高まる

血液サラサラ
体温によって代謝が上がり、老廃物が燃えて血液の状態がよくなる

発汗
体温が上がって汗が出ることによって解毒にもつながる

鎮痛(リューマチ、生理痛、肩こり等)
血流がよくなると生理痛や肩こりなどの痛みがやわらぐ

消化促進
胃腸の内壁の血行がよくなることで消化を助け、栄養の吸収力もアップ

アレルギー改善(花粉症、アトピー等)
免疫力が正常に働き、老廃物を処理。皮膚を修復する力もある

安眠
体温UPの好影響と、シネオールという香り成分によってリラックス

胃の調子を整える
血流が促されると胃の働きが活発に。胃の痛みや吐き気も緩和

駆風(くふう)
胃腸内に溜まったガスの排出を促す。便秘解消にも

気分の落ち込み改善
血の巡りによって「気」の巡りも改善。気分が上がる

抗がん
抗酸化作用により体内の活性酸素が除去され、がんを予防する

生と加熱、それぞれに健康によい作用がある

生の生姜と加熱した生姜、それぞれに違う働きも望めます。

生の生姜に多く含まれる成分はジンゲロールです。血流を促進して体を温めるのは、この成分の働きによるものです。その他、頭痛や吐き気を抑えたり、抗がん効果も報告されています。生特有の辛み成分が白血球の働きを刺激するのも特徴です。

生姜を加熱すると、このジンゲロールの大部分がショウガオールという成分に変化します。コレステロール値を下げたり、血液をサラサラにしたり、解毒作用、抗酸化作用、消化・吸収能力を高める作用があります

家庭で簡単に作れる「蒸し生姜」のストックを

脂肪や糖質の燃焼によって体温を上げるのはショウガオールの作用です。つらい冷えで悩んでいる方は、こちらを意識的にとるとよいでしょう。

生の生姜はもちろん、「蒸し生姜」を常備しておくのも、いつでも料理やドリンクに使えて便利です。この蒸し生姜は漢方薬では「乾姜かんきょう」と呼ばれています。それが家庭でも簡単に作れるのです。

蒸し生姜の作り方

1 生姜は皮付きのまま流水でこすり洗いし、皮の縞模様と平行に1mmの厚さにスライスします。

2 蒸し器の場合:クッキングシートの上に生姜を重ならないように並べ、30分蒸します。生姜を取り出して、新しいクッキングシートやざるなどに並べます。天日干しなら1日、室内干しなら1週間かけて乾かします。オーブンの場合:耐熱皿またはクッキングシートを敷いた天板の上に生姜を重ならないように並べ、80℃で1時間ほど加熱します。生姜が干からびて茶色になったら取り出します。生姜が冷めたら完成です。

3 密閉容器に入れて保存します。パウダーにする場合はミルやすり鉢などで粉砕します。

※100gの生姜を蒸し生姜にすると、およそ10gになります。

監修 石原新菜先生(イシハラクリニック副院長)

医師・イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法が得意分野。生姜の健康効果について詳しく、自ら日々食事やドリンクに生姜を取り入れる。同クリニックでの診察の他、講演、テレビ、執筆活動と幅広く活躍。著書に『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)他多数。

「ジンジャーシロップ」

ジンジャーシロップ

炭酸水で割ればジンジャーエールに。他にも、ホットケーキや杏仁豆腐のシロップ、カレー、中華料理などスパイシーな料理の隠し味に使ってもおいしい。生姜はシロップから取り出して乾燥させれば、お茶請けにぴったりの、風味豊かなお菓子になります。

ジンジャーシロップの作り方

材料(作りやすい分量/約400ml分)
生姜…300g
グラニュー糖…300g
水…300ml

1 生姜は繊維を断つように薄切りにする。
2 鍋に生姜とグラニュー糖を入れ、1時間以上常温に置く。
3 生姜の水分が出て、フチがチリチリになったら水を加えて中火にかける。ひと煮立ちしてあくが出てきたら取り、弱火で30分ほど煮る。
4 シロップにつやが 出るくらいが煮上がりの目安。ざるで漉し、粗熱が取れたら清潔な保存容器に移して冷蔵庫で保存する。

1 生姜は繊維を断つように薄切りにする。

2 鍋に生姜とグラニュー糖を入れ、1時間以上常温に置く。


3 生姜の水分が出て、フチがチリチリになったら水を加えて中火にかける。ひと煮立ちしてあくが出てきたら取り、弱火で30分ほど煮る。


4 シロップにつやが 出るくらいが煮上がりの目安。ざるで漉し、粗熱が取れたら清潔な保存容器に移して冷蔵庫で保存する。

◎ 保存期間目安1か月
※お好みでシナモン、クローブなどのホールスパイスを入れて煮たり、仕上げにレモン汁を加えてもおいしい。

「新生姜ごはん」

新生姜ごはん

みずみずしい新生姜を塩揉みし、出てくる水分を加えて香りよいごはんを炊きます。

材料(作りやすい分量)
新生姜…40g
米…2合
水…350ml
酒… 大さじ2
塩… 小さじ1弱
いり白ごま… 小さじ2

1 米は研いでざるにあげて30分ほどおく。
2 新生姜はきれいに洗ってせん切りにし、塩をなじませて10分おく。水分が出たら、炊飯用の水にさっとくぐらせてからぎゅっと絞り、絞り汁を炊飯用の水に混ぜる。絞った生姜は炊き上がるまで乾かないようにして取り置く。
3 炊飯用の土鍋(または炊飯器)に1、2の水、酒を入れてさっと混ぜ、炊く。
4 蒸らした後、2の生姜をほぐしてのせ、さっくりと混ぜる。茶碗によそい、白ごまをふる。

生姜をほぐして、炊きあがったご飯にのせる

「いわしの生姜煮」

いわしの生姜煮

魚の中でも、生姜ととくに相性のよい青魚。煮物に生姜は定番ですが、ここでは厚めにむいた生姜の皮を一緒に煮て臭みを抑え、仕上げには水にさらした針生姜を天盛りにして、生の生姜のすっきりとした風味も楽しみます。

材料(作りやすい分量)
生姜…20g
いわし(頭と内臓を取る)…6尾
A しょうゆ… 大さじ3強
砂糖… 大さじ2
みりん… 小さじ2
酒…1/2カップ
水…1と1/2カップ

1 生姜は皮を厚めにむき、ごく細いせん切りにして水にさらす。皮は取り置く。
2 いわしは腹の中まできれいに水洗いし、水気を拭き取る。
3 いわしがちょうど重ならずに並ぶ大きさのフライパンか鍋にAの材料と1の皮を入れ、2を並べ入れる。クッキングシートかアルミ箔で落し蓋をして中火にかける。
4 ひと煮立ちしたらあくを取り、常に煮汁が落し蓋にあたるくらいの火加減で10~15分煮る。煮汁が好みの味加減に煮詰まったら火から下ろし、そのまま粗熱が取れるまでおく。
5 いわしを器に盛って煮汁をはり、水気を切った1の生姜をのせる。

『生姜屋さんとつくったまいにち生姜レシピ』(池田書店・1430円)

レシピ/こてらみや
監修/GINGER FACTORY
撮影/公文美和
スタイリング/駒井京子

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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