仕上げは炭火で3時間。完成まで丸3日のローストポーク!
ナイフに肉の抵抗を感じない。ローストポークはとても柔らかく、口に入れるとほのかに炭火の香りが鼻を抜ける。ごはんと好相性の醤油がきいていて、ツーリングで疲れた体が欲しそうな塩加減なのもいい。
ソースはしょう油以外に炒めた玉ねぎ、ローストポークの肉汁、赤ワイン、バルサミコ酢などから作られている。これが20年前のオープン当初からのカフェのグランドメニューとは、なんともおしゃれ!
ローストポークは木曜日に仕込む。前日から1本2.5kg✕5本の肩ロースに塩コショウをふりスタンバイ。フライパンで焼き1日半冷蔵庫で寝かせた後、店舗外にあるバーベキューキットを使い炭火で3時間焼きあげる。
ベースは同じローストポークなのに、キューバサンドとは全く味わいが異なる。スパイス使いの妙でパンチを出した味わいで食べさせるのが「キューバサンド」、豚肉本来の味わいと柔らかさを楽しめるのが「ローストポーク」だ。
バイカーだけじゃない、ご近所さんも集うカフェへ
20年前の芝浦は正直「何もなかった」街で、交通の便が悪かった。この近くに住んでいたデザイナーと打ち合わせする時はバスで向かい、仕事以外ではオンワードのファミリーセールに行ったくらい。不便な倉庫の街であった。
しかし、店を立ち上げた広報担当の河西さんとシェフの青柳さんは、芝浦を「東京っぽくない、辺境のイメージ。でも、エッジが立っていた」と感じ、佇まいが気に入ったこのビルに「モータリストカフェ」をコンセプトにした『Cafe Superracer』の出店を決めた。
「店に一番長くいるのが俺らだから、気持ちいい空間じゃないと」と、壁を塗り直すほか内装は自分たちで手がけた。オープン当初は客足もまばらで暇だったが、河西さんと青柳さんは車やバイクで出勤するプロセスから楽しんだ。
やがて店の評判は口コミで広がり、バイク雑誌に紹介されるなどして、バイカーの常連客がついた。都心部はエンジンの騒音トラブルで移転を余儀なくされる場合もあるが、交通の便の悪いエリアのリスクをとったのが功を奏した。
マンションが増えてきたため、最近では近隣住まいの子連れのお客も増え、客層の幅が広がったという。取材当日も近隣住まいらしい女性グループが、ティータイムの会話に花を咲かせていた。
周辺環境の変化を察し、最近では店に近づくとニュートラルを入れて静かに訪れるバイク客もいるそうだ。理由は、「この場所がなくなったら困るから」。常連客にそう思われるなんて、オープンからどれほど素敵な時を重ねてきたのだろう?
訪れた人が、自分の思うように過ごせる。適度にほっとかれる距離感が、とても心地良いカフェである。最寄りの駅からも歩けるから、カフェ巡り好きな人も、電車で東京へ訪れたバイカーも徒歩でいいから一度は訪れて欲しい東京自慢のバイカーカフェだ。
■『Cafe Superracer(カフェ スーパーレーサー)』
[住所]東京都港区海岸3-12-9
[電話番号]03-5484-3403
[営業時間]11時半~14時LO、カフェ14時~18時、ディナー18時~20時半LO、水ランチ11時半~14時半LO、土11時半~21時、日・祝11時半~20時
[定休日]不定休
[駐車場]あり ※店舗敷地内
[URL]http://www.ne.jp/asahi/motoristcafe/superracer/
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、休業や営業時間の急な変更の可能性があります。ホームページで確認の上、訪問ください。
取材・撮影/Naviee