訪れたライダーが撮影したくなる、昭和レトロなビルディング
『Cafe Superracer(カフェスーパーレーサー)』は、ウェブ検索で「東京 ライダーズカフェ」と検索すると、上位に出てくる店だ。当たり前である。オープンから21年目、東京を中心に関東近郊のライダーならば「1度は訪れたことがある」といっても過言でないほど超有名店だ。
そんな背景からか、バイク歴20年超の知人は「あんなの観光カフェだよ」と毒づいた。オープン当初は嬉々として通ってたんじゃ? 心の中で舌を出しながら聞き流し、免許を取得した2年前にはじめて店のドアをくぐった。
天井が高く、全面窓のため明るく気持ちいい。ほとんどがひとり客で、聞こえるのはオーダーの声くらいだ。読書がはかどる。同じ空間を共有していながら、ひとりが保たれている距離感が心地よかった。
ある時、店を出ると残念そうな顔をしている20代らしきライダーがふたり。ツーリング終わりに食事のため立ち寄ったそうだが、まん延防止期間で閉店が通常時より随分と早く、ラストオーダーに間に合わなかったのだ。
ナンバーを見ると、千葉と茨城。違う方向に帰るふたりが “今日の思い出”を語りながら食事をするのに都合がいい場所だ。私には身近すぎて想像できなかった使い方、なんかいいじゃん! そして、また別の日のこと……。
平日の昼間、ひとり入ってきたミドルエイジのおじさま。すっかり体になじんだ革ジャンを着こなす佇まいは、確実にベテランライダー。20年前から通っているのかもしれない。
ふと思った。きっと誰かの人生と寄り添っているカフェなのだ。そこには、それぞれが主人公の物語がある。ロマンを感じた。勝手な妄想だけど素敵だ。
とはいえ、この日まで取材するつもりはなかった。紹介し尽くされている超有名店だ。しかし、食べた「キューバサンド」が美味しかった。紹介したい!