美味しいニンジンは葉っぱの付け根で判断すべし!
――基本的に手作業ですか?
大貫:掘り上げるのは手作業です。1回の出荷量はそれほど多くないので、手でやっちゃえという感じです。
ニンジンは9月から3月までは、畑に置いたままで貯蔵できるのが素晴らしいところなんです。時期により味わいがどんどん変わってくるのも、ニンジンの面白いところですね。
ちなみに8月は暑すぎるので、関東でニンジンは穫れません。夏場に出回っているのは、大規模に作っているところで貯蔵されているものなどです。
――美味しいニンジンを見極めるポイントはありますか?
大貫:葉っぱの生えていたところが小さくキュッとまとまっている方がきれいに成長しているため、味が整っています。
先の通り、下に成長するので、例えば石があるとストレスがかかり横に成長して足が分かれたりします。
根っこと葉っぱが連動しているので、ストレスがかかると葉っぱを伸ばそうとしたり、肥料を吸い込みすぎると成長しすぎて大きくなるなどバランスが崩れます。
縦に割ったときに見える真ん中の部分は「木部(もくぶ)」というのですが、ここは硬いので大きくないほうが美味しいと思います。
ちなみに穴が空いたようになってしまう、“す”が入っているものは育ちすぎですね。
農家さん直伝! ニンジンの食べ方&保存方法
――大貫さんはふだん、どのようにニンジンを食べていますか?
大貫:大根や豆腐などと一緒に味噌汁の具にしたり、カレーやらニンジンしりしりにしたり、千切りにしてサラダにします。ピーラーで薄く切って、鍋で大根やゴボウなどと一緒にしゃぶしゃぶするのも好きですね。
――葉っぱはどうしていますか?
大貫:たまに食べます。刻んでジャコなどと炒めてふりかけにすることがいちばん多いですね。あとは天ぷらやかき揚げにもします。
――ニンジンの葉っぱはけっこう主張の強い味ですよね。
大貫:そうですね。葉っぱだけを求められるお店さんは、刻んでハーブや柑橘類などと和えてサラダにされたりしているようです。
ニンジンはセリ科でセロリの仲間なので、葉っぱの扱いはセロリと同じでいいと思います。
――ニンジンをおうちで保存する場合はどうしたらいいですか?
大貫:ニンジンは比較的長期保存が可能なので、買ってきた袋や新聞紙に包んで常温保存でいいと思います。
6月を過ぎて暖かくなってきたら、冷蔵庫に入れてあげたほうがいいでしょう。
――栄養も見た目も万能なニンジン。後編では、岡田シェフによる、おうちでの食べ方などをご紹介します。
■『Bonz farm(ボンズファーム)』
米作りが盛んな羽生市で数少ない野菜農家。
飲食にまつわる仕事に従事したのち、味がしっかりかつ日持ちすると料理人から絶賛を受ける茨城県の「久松農園」で修業し、2015年に独立。露地栽培・無農薬で「旬であること」「鮮度が良いこと」「美味しい品種を育てること」をモットーに、少量多品目で50品目100種類以上を生産。受注収穫で都内や埼玉県内などの様々なジャンルのレストランに卸している。
いずれは野菜がメインの飲食店を開くのが大貫さんの夢。※農場での直販は行っていません
https://ja-jp.facebook.com/pages/category/Agricultural-Cooperative/Bonz-farm-909476659074224/
■『PAZZO-DI-PIZZA GYODA(パッツォ ディ ピッツァ ギョ−ダ)』
国産ピザ窯を備え、シンプルな中にもヒネリのきいた料理が魅力のピッツァ&窯焼き料理の店。
大貫さんの『Bonz farm』だけでなく、『秩父やまなみチーズ工房』や「米豚」を養豚する『ハッピーズ合同会社』など生産者と積極的につながり、こだわりの逸品を提供している。地元・行田市の農家と共に、オリジナルの小麦の生産に取り組む。2022年の収穫を目指しており、完成した暁にはピッツァ生地などに使用される予定だ。
[住所]埼玉県行田市佐間2-14-16
[電話]048-507-5917
[営業時間]ランチ11時〜15時LO、ディナー18時〜21時LO
[休日]水
[交通]JR高崎線ほか吹上駅よりバスで約12分、「佐間団地」下車徒歩3分
https://www.instagram.com/p.d.p_gyoda/?hl=ja
※記事中の価格はいずれもディナータイム価格
取材・撮影/市村幸妙
参考文献:『からだにおいしい 野菜の便利帳』(板木利隆 監修/高橋書店)、『そだててあそぼう ニンジンの絵本』(かわしろ ひでお へん·いしくら ひろゆき え/農文協)