「育て続けてくれた音楽に義理がある」 横山剣は“イーネッ!”な人間
1981年、クールスRCのヴォーカリストになり、自作曲「シンデレラ・リバティ」が、最初のシングルとして採用されるなどソングライターとしてのセンスも認められた。横山剣、21歳の年だ。1984年、クールスRCを脱退しバンドを組んだが所属事務所から解雇された。そして昼はサラリーマン、夜は曲を作りながらバンド活動も続けた。
1995年、現在も代表を務めるダブル・ジョイ・レコードを設立。1997年にクレイジーケンバンドを結成。1998年、アルバム『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』でデビューし、すぐに人気を得た。
ぼくはクールスRCを辞めてからサラリーマンと音楽活動で辛い時代を過ごしていたと思っていた。クレイジーケンバンドまで約13年もかかったのだ。
“辛いなんてことはまったく無かったですね。好きな音楽ができてましたから。クールスRCもそうだったけど何かに媚びてまで音楽は作りたくない。そう思って音楽をやり続けていたら、たまたま、皆さんが認めてくれた。もし認められなくても、音楽はずっと続けてたと断言できます。自分を救い、育て続けてくれた音楽に義理があるんです。義理はとても大切なものと思いますね”
音楽に対してだけの義理では無い。今でもクールスRCを愛し続け、昔から彼を知っている人間には義理を欠かさない。たまたま、彼のクールスRC時代、無名時代を知っているぼくにも彼は先輩として立ててくれる。彼は得意のセリフのように“イーネッ!”な人間なのだ。
岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。