潜入!『目黒新ばし』飲食街 お酒好きの理想郷?それとも“魔境”か

目黒新ばし 飲食街

再訪!自制心が試される美食、お酒の数々 再び『目黒新ばし』を訪れたのは2日後のこと。「これじゃ原稿書けない。今日は酔うほど飲むのは止めよう」とさすがの私も心に誓った矢先、居酒屋『aki』で出されたのは、ソーダとウイスキー…

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その1階に、小さくて怪しげな飲食店がみっちり軒を連ねたビルが目黒にあるという情報を入手! 会計&いざという時の用心棒として編集・武内を引き連れ、ライター・菜々山、突撃いたします!

目黒に佇む酒飲みの聖地 10店そろった大酒郷

時短営業になる前のとある日、目黒川沿いに建つマンションの1階に到着すると、目に飛び込んできたのが右上の看板。「大酒郷」、なんていい響きだ。それに誘われるように中へ入ってみると、7~8席の小体な店が長屋のように連なっていた。今や都内各所にある昭和風に作り込んだ横丁ではなく、統一感の無さがガチの昭和。どうやら、元々バラックで営業していた店舗を、昭和40年代のマンション建築時に丸ごと1階部分に移転させて飲食街にした、という経緯らしい。

『目黒新ばし』の入り口

通路を歩いていると18時半という飲食店にとってはゴールデンタイムのはずなのに、なぜかまだオープンしていない店ばかり。とりあえず“営業中”の札が出ていた『ナッツ』の暖簾をくぐってみる。つかず離れず、でもどこかホッとできる女将さんとのおしゃべりも弾んで、気づいた時には焼酎4杯目。 いい感じにガソリン(酒)が入ってエンジンも回り出した。

続いて向かったのが『cozy』。飲んでいると、ちょこっとつまみたくなる寿司があるのも飲んべえのツボを抑えている。さすが“大酒郷”。カウンターに座ってしばらくすると、年配の女性がやって来た。「鉄火巻き3本作っておいて。10分後に取りに来るから」。どうやら『目黒新ばし』内では、他店からの持ち込みも、フレキシブルに対応みたい。こちらの寿司は絶妙な締め具合のサバの握りに、巻物とどれも抜群! となれば自然と勢いも増す。ワインから日本酒へと移行。もう今日はこの店で飲んじゃお、と腰を据えたにも関わらず編集・武内は、他店も回りたいなどと言い出し、どこかへ消えた。正直に言おう。この辺から記憶がない。無事に武内と『18(イッパチ)』で合流できたらしい。へろへろに酔った私を優しく迎え入れてくれたママの笑顔だけが脳裏に焼き付いている。ごめんなさい。

以下、武内の報告。「酔った菜々山を帰らせ、ひとりで向かったのが『スパイスバグ』。世界を旅した店主・佐藤ユウさんが現地で食べた料理、なかでもアジア各国の料理を中心に提供。味にも香りにもパンチがあってどれも旨い。さらに氏のオカルト話(テーマは河童はいる)も面白く、気がつけば2時間近く飲んでいました」

再訪!自制心が試される美食、お酒の数々

再び『目黒新ばし』を訪れたのは2日後のこと。「これじゃ原稿書けない。今日は酔うほど飲むのは止めよう」とさすがの私も心に誓った矢先、居酒屋『aki』で出されたのは、ソーダとウイスキーが約半々の特濃ハイボール。「愛情とお酒は濃いめでってね」とマスター。最初はチビチビやってたものの、繰り出される料理が酒によく合う逸品揃いなのがいけない。最初は「キツッ」と思った濃さにも慣れてぐいぐい進んじゃう。当初の誓いは目黒川に放り投げた。

この日の2軒目は『ラ・オフィシーナ』。テキーラの店だ。テキーラと言えば、階段からの転落、電柱への激突と、まあ私に数々の怪我を負わせた魔酒である。ショットでカッといって、ライムをかじるのが正解だと思っていたけれど、店主のサマンさんによれば、上質なテキーラはゆっくり嗜むものなんだそう。舐めるように口に含むと、強烈なアルコール感の中にも、エレガントな甘みや香りが広がる。水も飲みつつじっくり堪能したのが功を奏し、酔いどれゲージはシラフ方向へ針を戻した。

そして締めが『てんてこまい』。ここはウイスキーのバー。店主は舞さんとおっしゃる女性
で、全く知識のない私に選んでくれたスコッチで作るハイボールが旨すぎ。ま、その後のことはご想像に任せします。

『目黒新ばし』の目黒川寄りの入り口

ここ『目黒新ばし』は酒好きにとってのユートピアか、はたまた魔境か。この原稿を書いて
いて、今すぐにでも舞い戻りたい気持ちになっている。次回はウコンと自制心を忘れずに持って行くことにしよう。

『10店そろった大酒郷』のうち6店をご紹介!

『aki』 肉も魚も酒も安しで旨しな居酒屋

この飲食街の立ち上げの頃から続く古株の1軒で、母親から店を引き継いだマスターが切り盛りしている。蕎麦やエスニック、和食など、多ジャンルで腕を磨いたマスターの作る料理は、どれも絶品!! 日替わりメニューも多いので、お腹具合や気分に合わせて相談しながら選ぶのが吉。アルコールでは、ぜひハイボールを試して欲しい。サービス満点の特濃で、一部では“廃ボール”と呼ばれているとか。

シンプルな味付けでさっと炙った「ラムステーキ」(850円)と、特濃でも1杯550円とお手頃のハイボール

『ラ・オフィシーナ』 テキーラでほろ酔いたいなら

メキシコ・グラナフット州のテキーラ「コラレホ」のアンテナショップ的にスタートしてから、今年で7年目。カウンターに立つのは陽気でキュートで日本語も上手なサマンサさん。テキーラ愛も、メキシコ愛もたっぷりに、それらの魅力を伝えてくれる。テキーラに合わせる南米料理のつまみも本場の味でどれも美味!

テキーラやカクテルなどドリンクは800円~

『アジアンキッチンバー スパイスバグ』 小さな店で楽しむ美味しさの世界一周

料理は麻婆豆腐やハイナンチキンライスといったアジア系を中心に、お酒はさらに南米のものまでを揃える。小さなお店で多彩なメニュー、特に料理はなんちゃってかと思いきや、これらが実に美味。シンガポールの麺料理「ラクサ」は、現地の人から「東京で一番」とお墨付きをもらったほど。

「石焼花椒麻婆豆腐」(800円)。+80円~でさらに辛くも。お酒が進む味わい

『sushi bar cozy』 江戸前寿司だってあります

ネタの仕入れや仕込みに妥協なし! すこぶる気軽な雰囲気ながらも味はまさにホンモノ。しかも刺身や乾き物で1杯飲むにも、握りや巻物でしっかりお腹を満たすのもOKという自由度の高さで、立ち寄り不可避の1軒だ。

握りは1カン150円~、細巻きは250円~。写真はトロタク巻。ワイン類や、センス良く揃えた日本酒などアルコールも豊富だ

『ナッツ』 癒しのおでん、おいてます

女将さんお手製のほっこりするつまみに、お酒、それに常連客も交えた楽しい会話で、1杯のつもりが2杯、3杯……。一見客でも隔てなく接してくれる温かさに満ちている。目黒の癒しスポットとは、この店のこと!

カウンターの角で煮込まれているのが、ダシが沁みた「おでん3種盛り」(380円)。他にも昭和世代がぐっとくる手料理を用意する

『てんてこまい』 ウイスキーで締めたい夜は

居酒屋風の看板を横目に、店に入ってみると、カウンターやバックバーに並べられたウイスキーボトルの数に圧倒された! その数はスコッチを中心に約160種類にもおよぶとか。とは言ってもかた苦しさは一切なし。初心者ならばウイスキーコニサー(鑑定家)の資格を持つ、店主の舞さんに委ねてみよう。

この日のチョイスはリンクウッド12年(写真)とグレンカダム10年のハイボール。シングルモルト900円~、ブレンデット600円~。チャージは350円で日替わりのスープ付きだ

『目黒新ばし』の情報
東京都目黒区目黒1-24-19
※上記6店以外に、カジュアルなバー『18』、『日本酒とおでん べろべろばー』、1番の古株『のぶ』、ダイニングバー『GONG!GONG!』
営業時間、定休日は店によって異なります

取材/菜々山いく子

※2022年3月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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