お花見の桜からサクランボは収穫できる?
ところでこのさくらんぼ、春にお花見をする桜の木から収穫したものなのでしょうか。答えは「ノー」。サクランボがなるのは、実桜(ミザクラ)桜桃(オウトウ)と呼ばれる品種で、私たちがよく見かけるソメイヨシノとは別物です。
名前の由来は「桜の子(坊)」が訛って「サクランボ」になったと言われています。そのコロンとした愛らしい実には、鉄分やカロチンといった栄養素がたっぷり詰まっています。
また、家の庭にサクランボの木を植えてみたものの、実がならないという悩みも。そもそも、さくらんぼの木は同じ品種だけでは受粉しない性質があるため、相性の良い別品種の木を近くに植えて交配させるようにしなければなりません。ハチなど自然に頼りすぎず、人の手で受粉させるデリケートな一面もあります。
余談ですが、愛媛県でタルトと言えば、ユズや栗などの入った餡が巻かれたロールケーキの和菓子「タルト」が一般的だとか。
江戸時代、長崎に入港したポルトガル船が持ち込んだ菓子の製法が、愛媛・松山に持ち帰って広まったそう。農林水産省が選ぶ「うちの郷土料理」にも入っています。
一方、アメリカでは、赤黒いダークチェリーやサワーチェリーが入った「チェリーパイ」が、定番スイーツの一角を占めています。人気サスペンスドラマ「ツイン・ピークス」で、主人公が度々コーヒー片手にチェリーパイを頬張る姿が、日本でも話題に上りました。また、7月4日の独立記念日を祝うデザートとしても欠かせないものとなっています。
このように、サクランボの小さなひと粒が放つ存在感は、まさに宝石のような輝きと尊さを秘めているのです。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/kei-u-Stock.Adobe.com
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中に数ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。
週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年5月現在、単行本は161巻。
※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.130 中年四銃士のチェリータルト」を一話丸ごと読むことができます。