週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第16回目は、「梅干し」です。
梅干し、梅酒、梅シロップ…テッパン保存食の“クッパパ”流レシピとは?
毎年、6月11日頃は、暦の上で梅雨に入る日「入梅(にゅうばい) 」にあたります。一方、気象上の「入梅」は「梅雨(つゆ) 入り」と呼ばれ、気象庁が梅雨(ばいう)前線や気圧配置から判断して発表するもので、地域や年によってマチマチです。
いずれにしても、ちょうど梅の実が熟す時期に降る雨なのでこう呼ばれています。梅の清々しい香りとフルーティーな酸味に誘われて、梅干しや梅酒、梅シロップ作りなど、梅雨ならではの手仕事「梅仕事」を楽しんではいかがでしょうか。
クッキングパパ「COOK.82 梅干しを漬(つ) けよう」では、日本の保存食に欠かせない梅干しの作り方が紹介されています。いまの時期、スーパーマーケットの一角には「梅仕事コーナー」が設けられ、青梅やら完熟梅から赤ジソや焼酎、氷砂糖に塩、保存容器まで一式売られていますので、上手に活用してレッツトライ!
販売期間はわずか! 梅干しに最適な梅の見分け方は?
レシピの中からいくつか、ポイントをピックアップしてみましょう。
まずは梅の実ですが、青梅ではなく少し黄みがかったもので傷みや変色がないものを選びます。こうした梅干しに適した梅を購入する際は、販売期間が短いので、急ぎましょう。
塩は「あら塩」を梅の重さの20%程度用意します。
ちなみにあら塩は食塩と違い精製していないため、海水に含まれるにがりやミネラル分を多く含み、うま味が凝縮されているもの。食塩ほど強い塩辛さはありません。料理のほか、海のパワーで邪気を祓うといわれ、昔からお清めや魔除けにも使われてきました。
梅の実はデリケートなので、取り扱いには細心の注意を払いましょう。竹串か爪楊枝でキズをつけぬようヘタをとったら、ひと晩水につけてアク抜きをします。ザルにあげて水気を布巾でそっとふきます。梅の実にキズをつけたり、水分が残っているとカビの原因になるので要注意!
さて、梅の実に紅(べに)を纏(まと)いましょう。容器に上がってきた白梅酢と塩でアク抜きした赤ジソをもみ込むと、赤黒から紅色に変わります。これが梅の実に美しい色と風味を与え、熟成を促してくれるのです。
1カ月程度保存している間、陶器でできた甕(かめ)があると便利です。甕には目に見えない無数の穴があり、通気性が良く発酵調味料の微生物が生かされるほか、温度が一定に保たれ食品が傷みにくい利点があります。昔はどの家庭にもあったものです。