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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第12回目は、「カツオ」です。

カツオの旬は2回 江戸っ子が特に好んだ「初ガツオ」

「目に青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)」江戸時代の俳人、山口素堂(そどう)が詠んだ一句は、時代を超えていまなお親しまれています。まばゆい新緑が映える青空にほととぎすの美しいさえずりが聞こえ、縁起物の初ガツオを堪能する――。旬を五感で楽しむ江戸っ子たちの活気に満ちた暮らしが伝わってきますね。

カツオは餌を求めて群れで太平洋を回遊しており、旬が2回あります。春から初夏にかけて黒潮に乗って北上、九州から四国、伊豆や房総半島沖へやってくるカツオを「上りガツオ」と呼び、そのうち4月上旬から6月頃に獲れるのが初ガツオです

美味しいものに目がない江戸っ子たちにとって、特に初ガツオは初夏を知らせる食べ物として珍重され、値は張るもののこぞって買い求めるのが粋(いき)とされていたようです。

クッパパ流「初ガツオ」レシピはたっぷりの野菜とともに「たたき」で食す

このように貴重な初ガツオですが、脂のノリが少なく、赤身には透明感があり、さっぱりと味える特徴を活かして、調理してみてはいかがでしょう。

クッキングパパ「COOK.32 今が旬(しゅん) 季節を食べよう初ガツオ」では、新鮮なカツオを香ばしく炙(あぶ)り、たっぷりの野菜とともにサラダでいただきます。本来の生臭さが消え、新鮮な味わいは、魚が苦手な方にこそ、おススメの食べ方です。

まずは、カツオをおろすことからはじめるのが、いつもの“荒岩流”。スムーズに捌くために、包丁研ぎは欠かせません。カツオにあてる包丁の動きを逐一レシピで確認しながら、中身を切り離します。切り離した身はそれぞれ皮付きのまま鉄串に刺し直火でさっと香ばしく炙り、すぐさま用意しておいた氷水につけて〆ます。

キッチンペーパーなどでカツオの水気を拭き取ったら、1センチ程度に切り分けてできあがり。いわゆる「カツオのたたき」ですね。
ところで、なぜ炙るのにたたきなのか!? 本場・高知県では、稲藁(わら)を燃やしてカツオを炙り焼きした「たたき」が、郷土料理として知られています。一説には、その昔、高知では炙ったカツオの味付けとして、手にまぶした塩や調味料をカツオにたたいてつけて食べていたからとか。

さて“荒岩流”は、たたきを一枚ずつレタスにのせ、トマトやタマネギ、キュウリなどの野菜を重ねてマヨネーズや漬けダレでいただきます。漬けダレは抗菌作用のあるワサビ、おしショウガやニンニクなどの薬味に醤油やポン酢を用意しておきましょう。また、カツオとレモンは相性抜群。絞ったり、輪切りにしてぜひ添えてみて。爽快感がたまりません。

一方、北上していたカツオが8月末ごろから南下をはじめ、10月頃まで獲れるのが「戻りガツオ」です。餌をたくさん食べて南下をする際、水揚げされるので、脂ノリがよくこってりした味わいが「トロカツオ」という名称でも親しまれています。

良質なたんぱく質やビタミン類、ミネラルなどをバランスよく含み薬効のある魚といわれるカツオですが、なかでも「オメガ3」と称されるEPAとDHAを多く含んでいます。これらは、血液をサラサラにして中性脂肪を減らし生活習慣病を防ぐほか、脳を活性化させるなどの働きがあります。

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近海一本釣りのカツオ漁獲量 ピーク時の10分の1まで落ち込み...
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中島幸恵
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