名工による宮造り建築と日本庭園が圧巻!
荒川と隅田川に囲まれた千住エリアは、最盛期には37軒もの銭湯があったそうだ。現在、営業しているのは7軒になってしまったものの、それでも他の街よりも銭湯密度は断然高いと言ってもいいだろう。
そんな中、電車に乗ってでもわざわざ訪れたくなる銭湯がある。それが『タカラ湯』だ。
1938(昭和13)年に建てられた、二段構えの千鳥破風を持つ風情たっぷりの宮造り建築で、まずは靴を脱ぐ前に入り口上部の彫刻を堪能してほしい。一畳分ほどの中に、七福神が細やかに彫り込まれている。なんでも柴又帝釈天も手がけた名工による作と伝わっているとか。
そしてぜひ、柱に掲げられた木札にも注目を。「わ」がかかっていれば「わ板(沸いた)」、つまり営業中の意味、「ぬ」になっていれば「ぬ板(抜いた)」=準備中で、何とも粋なしゃれが効いている。
さあ、いざ銭湯の内部へ。フロントでお会計をしてから、ずずいと奥へ入ってみるとそこには見事な日本庭園が広がっていた。ツツジやアジサイ、紅葉などの花や木々が植えられ、四季折々の眺めを楽しめる。さらには色とりどりの錦鯉が泳ぐ池も。
男湯エリアでは、脱衣所からそのまま出られる縁側もあり、この銭湯についた称号が“King of 縁側”。こんな縁側で湯上がりのビールでも飲んだら最高の気分だろうな、と思った読者のみなさん! フロントでは銭湯定番のフルーツ牛乳の他にも、ビールや缶チューハイもしっかり揃っています。
とはいえ、この縁側があるのは男湯のみ。しかし、毎週水曜日限定で男女入れ替えになるので、気になる女性は水曜日を狙って訪れてみては?
また、男女共有スペースにも、庭園の眺めを楽しめるテーブルも設置されているので、そこを利用するのもいいでしょう。