女性誌やテレビの旅番組がこぞって台湾特集を組み、書店に数えきれないほどのガイドブックが溢れたのは、ここ十年ほどのこと。気軽に行ける台湾旅は多くのリピーターを生みました。そこを襲ったのが長引くコロナ禍。台湾が好き、台湾ごはんが大好きな人たちは、まさに「台湾ロス」の日々を送っています。ならば、あの恋しい味をうちで作っちゃえ! でも食材は? 調味料は? いえいえ、日本にあるものでパパっと作れるレシピが、ここにあります!
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日本でも定番になった魯肉飯、鶏肉飯
あなたの好きな台湾料理はなんですか?
かの「鼎泰豐」の日本初出店がニュースになったのは1996年。台湾の味といえば小籠包と思われていた頃の話です。
時を経て2013年、台中にあるメニュー発祥の店、春水堂の代官山店オープンから始まったタピオカミルクティーの一大ブームの背景には、香港、韓国に次いでやってきた、日本における台湾旅熱の高まりがありました。
そして今や、日本の街のそこかしこに、魯肉飯(ルーロウファン)、鶏肉飯(ジーロウファン)や大鶏排(ダージーパイ)を看板メニューにした店があり、台湾ごはんはすっかりおなじみに。
日々のごはんにしっくりとくる気取りのなさや、やさしくホッとする味わいが、時代の気分にマッチしているのかもしれません。
台湾ロスから生まれた画期的料理本
テレビの料理番組や雑誌で活躍し、料理本も数多くある沼口ゆきさんも、今で言うなら台湾の「沼にハマった」ひとりです。
台湾ごはんのおいしさとおおらかさに魅了され、台湾に通いつめ、ついには台北に留学して台湾料理修業。
その後は現地の飲食店のアドバイザーを務めたり、日本からの台湾食べ歩きツアーを主催したり。
さらには日本で出した台湾スイーツ本が現地で翻訳出版されるまでになりました。
でも、そんな沼口さんもコロナ禍には抗えません。
現地との仕事も、台湾人の友人たちとの交流も、オンラインだけの不自由でさみしい毎日。
行きたくても行けない、食べたくても食べられない台湾ロスに陥りました。
そんななか生まれた企画が「行けないなら、家で作りましょうよ」という思いを一冊の本にすることです。
そうして形になった『はじめてなのに現地味 おうち台湾菜(タイワンツァイ)』は、台湾の人たちがふだん食べている、食堂、屋台、家のごはんや、素食(スゥシー)と呼ばれるベジタリアン料理、スイーツなどのレシピを紹介したもの。
それも、日本で身近に手に入る食材や調味料で簡単に作れるものばかりという、台湾好きなら心惹かれずにはいられない一冊です。
夏に冷え冷えのビールで食べたい絶品おかず
南国・台湾の料理には、日本の暑い夏にぴったりのものがたくさんあります。
というわけで、この本の中にある簡単料理をひとつご紹介。
それが胡椒蝦(フージャオシャー)。
読んで字のごとし、こしょうで炒めたエビです。
これは台湾で熱炒(ルーチャオ)と呼ばれるいわゆる居酒屋の定番人気メニュー。
白こしょうとにんにくが効いた味は、キンキンに冷やしたビールにぴったりです。
●材料(2人分)
えび(殻つき)…10~12尾(250g)
にんにく(みじん切り)…1かけ
サラダ油…大さじ2
酒…大さじ3
白こしょう…小さじ1
黒こしょう、塩…各少々
●作り方
1 えびは背にキッチンばさみなどで切り目を入れて背わたを除き、水けを拭く。
2 フライパンに油を中火で熱し、にんにくをさっと炒める。1と酒を加えてふたをし、えびの色が変わるまで火を通す。
3 塩、白・黒こしょうを加え、汁けをとばすように強火で炒める。
初心者でも気楽に作れる全87レシピ
本書のタイトル『はじめてなのに現地味 おうち台湾菜』の台湾菜とは台湾ごはんのこと。
目次には、「世界一楽しい! 台湾の朝ごはん」「いつでも食べたい! 小腹を満たす小吃(シャオチー)」「ご飯にもお酒にも合う 食堂おかず」「台湾ごはんに欠かせない いつものスープ」などなど、食欲をそそり、台湾ロスを癒してくれそうな見出しが並んでいます。
小松菜、ほうれん草、空心菜、ロメインレタスなど、サッと炒めたりゆでたりするだけであっという間にできる青菜料理のバリエーションあり、今夜すぐにもビールのおつまみにしたくなる超簡単小皿料理あり、レシピの数は全部で87品。
またいつか、飛行機でひとっ飛びできるその日まで、台湾愛を胸に、おいしい台湾菜を味わってみませんか。
『はじめてなのに現地味 おうち台湾菜』
著者:沼口ゆき
定価:1595円(税込)
発売日:2022年7月19日
発行:主婦の友社
電子書籍も同時発売