マッキー牧元の「立ち食いそば探訪」

年間700食の外食をするタベアルキストが最も通う店/マッキー牧元の「立ち食いそば探訪」(1)

年間700食の外食をするタベアルキストが最も通う店/マッキー牧元の「立ち食いそば探訪」(1)

年間700食の外食をするタベアルキストが最も通う店/マッキー牧元の「立ち食いそば探訪」(1)

本誌『おとなの週末』の連載『往復書簡』でもおなじみ、タベアルキスト・マッキー牧元さんの連載がスタート! テーマは「立ち食いそば」です。初回はマッキーさんが一番通ったお店、東京・中野の『田舎そば さかい』について。通う理由が10項目あると言います。

画像ギャラリー

僕は、毎日食べて歩くことにより、日々の糧が得られるという矛盾した生活を送っている。そのゆえ、年間700回ほど外食をしなければならない

そんな食生活の中で、最も通っている店が『田舎そば かさい』である。立ち食いそば連載第1回は、中野駅北口前にあるこの店を紹介したい。

『田舎そば かさい』

通う理由は、10項目ある。

  1. 立ち食いそばのツユは総じて濃い目であるが、それを爽やかにし、後口が心地よくさせる、おろし生姜が置いてある
  2. 麺が太く、絶妙な食感と食べ応えを生む
  3. ワカメの質が高い。立ち食いそば屋では、ペナペナのミイラ状となった、存在感が薄いワカメが多いが、ここは、厚くしなやかな徳島産天然わかめで、実にうまい
  4. ちょいと小腹が空いた時や、二日酔いなど、あまり食欲がない時に最適なハーフがある(二日酔いの時に食べようという魂胆が間違いだが)
  5. 具をひとつ増やすと、それぞれが10円安くなる
  6. サービスがいい。立てば水が置かれ、無くなれば直ちに補充される。またカウンターは常に拭かれている
  7. 夏季の冷やし(プラス50円)は、ぶっかけではなく、冷たいかけ汁がなみなみと注がれる、冷やかけ。こちらの方が断然おいしい。
  8. たぬきの天かすは、桜エビや青菜などが入って、お得感満載
  9. 天ぷら類の冷やしは、それぞれの天ぷらを熱いかけ汁にくぐらせてから乗せる。そのため、馴染みが俄然良くなる。
  10. 吹きさらしの外に面し、席数6席の正統派立ち食いそば屋形状
「田舎そば 並」(300円)に「イカ天」(130円)トッピング

ベストは、ワカメたぬきである。夏季限定の冷やしワカメたぬきそばもおすすめしたい

「田舎そば 並」(300円)に「たぬき」(50円)と「わかめ」(60円)をトッピング。この場合、たぬきが40円、わかめが50円となる

たぬきの上に、おろし生姜をふた匙乗せて、ずるるっとそばをたぐる。天かすがカリッと音を立て、桜エビの香りが抜け、つゆの旨みが食欲を掻き立て、生姜が後口を軽くする。

生姜をワカメの上に落として、ワカメの香りとの相性の良さを確かめ合うのもいい。僕は半分ほど食べたら、「かき揚げお願いします」と、裏技に出る

ここで「かき揚げ」(90円)をトッピング

温かいかけ汁に潜らせたかき揚げを千切り、蕎麦と一緒にたぐれば、なにか裕福な気分となって、箸を置く。

「ごちそうさん」

そう告げて、僕は日常へ帰っていく。

立ち食いそばは、最後のこの掛け声が大切だと思う

取材・撮影/マッキー牧元

画像ギャラリー

この記事のライター

関連記事

収穫を感謝する「加薬うどん」 美智子さまと雅子さま夫妻で交わす大切な重箱

講談社ビーシー【編集スタッフ募集】書籍・ムック編集者

【難読漢字】地名当て かの有名な物語の里

【11月22日】今日は何の日? 辛い!おいしい!美容にうれしい!

おすすめ記事

“タワマン”の日本初の住人は織田信長だった? 安土城の「天守」ではなく「天主」で暮らした偉大な権力者の野望

芝浦市場直送の朝締めホルモンは鮮度抜群 高円寺『やきとん長良』は週末の予約は必須

不思議な車名の由来は「ブラックボックス」 ”ミレニアム”に鳴り物入りでデビューした革命児の初代bB 

大分県に移り住んだ先輩に聞く(2) 移住でウェルビーイング「移住とはコミュニティの中でその想いを受け継ぐこと」

収穫を感謝する「加薬うどん」 美智子さまと雅子さま夫妻で交わす大切な重箱

講談社ビーシー【編集スタッフ募集】書籍・ムック編集者

最新刊

「おとなの週末」2024年12月号は11月15日発売!大特集は「町中華」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…