月刊誌『おとなの週末』9月号が発売されました。巻頭の特集は「ブーム到来!焼売(しゅうまい)」。ブームを牽引する“焼売酒場”をはじめ、街中の中華料理店など幅広く調査した充実の内容です。その中から、「スタッフ覆面座談会」の模…
画像ギャラリー月刊誌『おとなの週末』9月号が発売されました。巻頭の特集は「ブーム到来!焼売(しゅうまい)」。ブームを牽引する“焼売酒場”をはじめ、街中の中華料理店など幅広く調査した充実の内容です。その中から、「スタッフ覆面座談会」の模様を転載してお届けします。
焼売人気の実力は?意識革命なるか!
約1ヶ月にわたった焼売の調査を、担当編集武内、戎、ライター肥田木、藤沢が振り返ります。その人気と実力を4人はどう感じたのか!?
戎「今まで焼売のイメージってどんな感じでしたか?」
肥「んー、餃子が学校イチの人気者なら、その陰に隠れたぽっちゃり系癒しキャラの親友。スター的存在の友人をニコニコ見守ってる“包容力抜群”の幼なじみって感じ」
武「絶妙な例え(笑)。確かに焼売と餃子は比較されがち。どこの中華店にもたいていあ
るポピュラーな存在なのに餃子のひとり勝ち状態がちょっと不満だったんですよー」
藤「私も肥田木さん寄りのイメージ。お弁当の隙間を埋める脇役、数合わせのような……(ゴメン焼売)。ぶっちゃけそんなにおいしい? って。でも焼売意識革命が起きました!」
戎「それですよ、それ。今こそ焼売にスポットライトが当たる時代が来たんです!!」
肥「で、この特集なんだね」
戎「です。ここ1、2年、焼売を看板に掲げる店が増えたなあと思って。特にネオ大衆酒場系。本当のところ、人気と実力はどうなのか知りたくて企画を提案した訳です」
肥「実は昨年夏、別件で焼売ブームの裏側を取材したことがあって。研究家や企業に話を聞いて回ったんだけど、人気の理由は今まで餃子の陰に隠れてた焼売の価値に食品メーカーや消費者が改めて気付いたからじゃないかってことだった。きっかけのひとつは冷凍焼売の売れ行き。コロナ禍の巣ごもり需要で冷凍食品そのものが売れたから焼売も注目されたんだね。ほら、小栗旬がガツガツ食べる肉焼売のCMあったでしょ。脇役だったイメージを一新させて、食事のメインになると見直された。それで専門店も続々」
戎「そうかあ。じゃこの特集も読者のみなさんに焼売の魅力を改めて知るきっかけになってほしいですね。実際に回ってみてどうでした?」
藤「新店を調べてみると、確かに焼売専門のネオ酒場が増えてましたね。そういう店は従来のオーソドックスな味よりトッピングなどでアレンジしたものが多かったかな」
武「作り方の基本はどこも似ているんですが、挽き肉の大きさ、玉ねぎの量、ダシ的に干し貝柱や干しエビを加えたり、カレー粉を入れたり、店によって味はさまざま。その違い(哲学・主張)を感じつつ味わうのが焼売の楽しみ方なんだなあと感じました」
戎「イマドキだなと思ったのは『岩瀬蒸店』。味の多彩さはもちろん、鶏焼売というジャンルも良かった」
もう脇役とは言わせない、お酒にもご飯にも合う
肥「豚肉以外に鶏肉を使う店が増えたのも昨今の特徴のひとつらしいよ。酒場系のイチオシ『シュウマイルンバ』も鶏&チーズの組み合わせがあっておいしかった。メイン食材に何を使うかで味が一変するし、焼売って具の魅力を味わう料理だと改めて思った。今後の展開も楽しみ」
藤「アレンジの可能性があるんですよね。私が取材した店も独自の素材を使うところが多かった。キノコやフルーツなど、肉と異なる旨みがある素材と合わせることで定番のおいしさを倍増させてる。『no. 506』のスモモを使った焼売は他にない」
武「え、スモモですか?」
藤「驚きでしょ? フルーツは季節で変わるけど、店が推すオレンジワインに合わせるならこれしかないという納得の味。まさにフレンチと融合した焼売。店主に聞いたら、シャルキュトリーを作るように、餡を練る時も温度帯に気を遣うとのこと。確かに粗挽き肉の歯切れの良さがパテに似てるような気もした!」
武「僕が好きだったのは玉ねぎを使わない『千の香』のもち米焼売かな。ちまきに少し似ているのですが、甘過ぎないので食べ飽きることなくパクパクいけるんです」
肥「あー、そこおいしかった。某ライターいく子ちゃんもよく飲んでる店(笑)。同じく中華料理店の味なら『Foo』や『廣安』。まさに名シェフの安定の味。技術が確かだから文句なくおいしい。やっぱ基本大事」
戎「確かに。トッピングを変えて種類をたくさん出す店もありますが、基本の味がおいしくなければどんなにアレンジしてもごまかせないんですよね。そんな中、調理法の違いでプレゼンしてくれたのが『一本堂』。蒸、焼、揚、炊があって、僕は揚げに心を奪われた。春巻きみたいにパリッとした皮から肉汁ジュワっ。く~、思い出すだけでサワーが飲みたくなる!」
藤「わかりますっ、焼売ってシュワシュワ系のお酒が合いますよね。肉の脂を流して口の中をさっぱりさせてくれるから、その度に新鮮な気持ちで味わえる。一方で意外な相性に驚いたのが日本酒。『MIKIYA GYOZASTAND』の焼売は肉汁のスープに日本酒を合わせるとヘヴンリーな気分になる!」
武「ビール、サワー、紹興酒、ハイボールなど合わせたいお酒がいろいろあって、1個で1杯……なんて勢いで楽しんでたら結構飲み過ぎるので要注意。特に肥田木さん!」
肥「コラコラ、私だって最近はしっぽり飲んでるのよぉ。そういう意味ではゆっくり老舗町中華で昔ながらの焼売をつまみにビールってのもまたいい。『平和軒』なんて最高。グリーンピースがのった王道が仲良く皿に並んでいるのがもう愛おしくて。よしよし今から食べてやるから待ってろ~ってほくそ笑みながらチビチビ楽しみたい」
武「想像したらコワイ(笑)」
藤「アハハ、シンプルな調理だからこそ、作り手次第、食べ手次第で好きに楽しめる焼売は器が大きい料理かもしれませんね。中華なのに洋食になってしまう『銀座スイス』の味はその一例かも。ほかに調査していて気付いたのが自分の焼売の好み。もっちり系、ほろっと系、さっくり系の餡があって、もっちり系は豚肉の細挽きをしっかり練った餡、ほろっと系は脂身多めの肉を粗挽きにした餡、さっくり系は豚肉の粗挽きや鶏肉、エビなどを使うんですけど、私はさっくり系が特に好きみたい。みなさんも食べ比べて好きな味を見つけてほしいな」
戎「焼売は奥が深いですね。寒くなる秋冬にかけてさらに専門店が増えそうです」
肥「だね。実は焼売って年配の人ほど好んで食べるらしいよ。蒸し料理なので脂っぽくなくて食べ応えもあるし、焼くより旨みや栄養価も損ないにくい。よっ、優等生♪」
武「もう脇役とは言わせない。お酒にもご飯にも合うし、似てるけど個性が違う焼売の世界を楽しんでください!」
文/肥田木奈々
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